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旧作✿現在非公開中  作者: 元・深 夜 現・雪闇影
3章
71/116

魔物討伐初日

 

 あれからレティシアは魔の森へと薬草を探しに行ったが、街から近い場所の薬草は既に採り尽くされており、森の奥へとアルノエと二人で進むわけにも行かず、レティシアは薬草を入手する事ができないまま討伐当日を迎えた。


 今日から一週間程度この魔の森の中でレティシアたちは、移動を続けながら野営をし魔物の討伐を行うことになる。


「これから魔物の討伐へ向かう! 通常の魔物よりも魔の森の魔物は強い! そのため弱い魔物だと思っても油断せずに、気を引き締めて行け!」


「「「はっ!」」」


 アランがそう指揮をとりながら森の中へと進むと、エルガドラに出発する前にニルヴィスが作った洋服を身にまとったレティシアは、程よい緊張感につつまれ自然と口角が上がっていくのを感じると、このままではダメだと思い一度だけ自分の頬をたたいて、気を引き締めた。


(討伐部隊の人数は私たちを合わせて十九名、少ない気もするけど他にも討伐部隊が組まれているのを考えれば、妥当な人数なのかもしれないわね……私が想像してた部隊編成とは明らかに違うけど)



 魔の森に入って奥へと進むにつれ魔物の数は増えていき、出発して三十分を過ぎたあたりから、アランの部隊を魔物が襲ってくるようになると、レティシアもルカにもらった短剣を使い魔物を倒していく。


(まだそんなに深い所じゃないのに、魔物の数がもう多いわ……でも襲ってくる魔物もまだ入口付近だから、一角うさぎやウルフ、ワイルドボアと言った動物型が目立つわね)


 襲ってきた魔物を倒しながらレティシアは、そう思うとレティシアの事を横目で見ていたアランはルカに声かけた。


「なぁルカ、あの小さな姫様さ、思ってたより結構やるじゃん」


「あぁ、俺も驚いてる」


 剣の稽古をつけてたとはいえ、ルカも実際にレティシアの戦闘スタイルを見るのは初めてで、二人はレティシアが倒した魔物を見ると、急所を一撃で突いて仕留めていた。

 レティシアの体はまだ幼いが、それを補うように過去の知識そして過去の経験があるため、初めての討伐参加と思えない動きをしていたが、アランの部隊の誰もが一番に驚いたのは、倒した魔物をレティシアが何食わぬ顔で解体しだした事だった。

 初めて討伐に参加した者や、初めて魔物の解体作業をした者は、必ずと言っていいほど一度は目を背けたくなる光景。

 それをわずか七歳の子どもが嫌な顔もせずに、平然とやっているのだから驚くのも無理はない。


(魔核は大きさに関わらず、売れるから取っておいて損はないし、魔物を倒したのなら倒した者が責任をもって素材を取らないとね)


 レティシアは魔物から取れる素材を丁寧に取ると、先日街に出かけた時に買った麻袋の中に入れていく。

 その様子を見ていたテオドールは目をつぶって顔を背けると、アランがテオドールに話しかけた。


「厳しい事を言うけどさ、今あの光景を不快に感じるなら、君はルカに付いてくるべきじゃなかったんだよ。ララは女の子だけど、しっかり自分がやるべきことを理解して、倒した魔物にも敬意をもって対応している。君は何しにここまでルカに付いてきたのか、もう一度考えた方がいいと思うよ?」


 アランはそう言ってテオドールの肩を叩くと、レティシアに「ララ、そろそろ移動するぞ」っと声をかけて再び森の奥へと歩みを進め、レティシアは素材を急いでカバンの中にしまうとアランを追いかけた。



 さらに森の奥へと進むと、先日アランの報告にあったように魔物が強くなり、ゴブリンやオークそしてコボルトといった二足歩行ができる魔物も増えていくが、それでもレティシア、ルカ、アルノエ、アランの四人からは魔物に対する恐れや仕留める時の迷いを感じる事はなく、確実に魔物の数を減らしていった。



 夕方頃に野営ポイントへとたどり着くと、暗くなる前にアランの部隊の人たちと一緒にレティシアたちも野営の準備に取り掛かる。

 部隊の人たちが野営に慣れていたのもあるが、アランの指示がレティシアが想像していた以上に的確で、準備にかかる時間もそんなにかかることもなかった。

 野営の準備が整うと、本日の料理当番が今夜の夕飯を作り出し、移動中に料理に使えそうな薬草を見つけていたレティシアは、ショルダーバッグから薬草を取り出すと、それを彼らに渡していた。


 レティシアはただ待つのも時間の無駄だと思い、食事ができるまで近辺の探索をしてくる事をルカに伝えると、アルノエと一緒に探索に出かけ、少し野営場から離れると、背丈の低い木々の近くや木の根本付近にお目当ての薬草をレティシアは見つけ事ができた。


(やっぱり森の奥に入っていけば、回復薬に使う薬草はあるけど少ないわね……それにこの森……精霊たちが全く姿を表さないわ、何か精霊たちが嫌がるものがあるのか……もしくは居るのか……)


 レティシアはそう思いながら薬草を採取しては、使用してなかったもう一つの麻袋に薬草を入れていくと、地面にキラッと光るものが目に止まり、レティシアはそれを拾うと目線の高さまで上げるとまじまじと見た。


(何かの破片? でも変な感じがするわ)


 薬草を採りながら周囲を探すと、さらに同じような紫色の破片をレティシアは二欠片も見つけた。

 その後も黙々と薬草の採取をしていたレティシアは、不穏な空気を森の奥から感じると、これ以上はアルノエと二人で行動するのは危険だと判断し、アルノエと一緒に野営場へと戻ると、自分たちに割り当てられたテントに一人で入っていく。



 レティシアはテントの中に入ると、魔法を使ってテント内を奇麗にしてから、テントの真ん中に座り先程採取した薬草を麻袋から取り出すと、回復薬を魔法を使って作って行く。

 今世でレティシアが回復薬を作るのは初めてだが、過去の知識と新たに本から得た知識を使い丁寧に時間をかけて作り上げると、回復薬が五つ完成した。さらにレティシアが品質を確認すると上質な、中級回復薬四本そして上級回復薬一本を作ることに成功した。


(あの素材と量からじゃこれが限界か……もうちよっと作れればよかったけど、とりあえずこれなら数人が一度に負傷しても大丈夫かな……? 一本だけでも素材が集まって上級回復薬ができたのは大きいわ)


「ララ、入るぞ」


 ルカはそう言いながらテントの中へと入ると、ルカは木椀を手に持っていた。木椀から美味しそうな匂いがすると、レティシアのおなかが鳴った。


「待っててもなかなか食べに来ないから、鍋の中身が終わる前に持ってきた」


 そう言いながらルカはレティシアに木椀とスプーンを差し出すと、レティシアはそれを受け取り「ルカありがとう、助かるわ」とお礼を言って食べ始めた。

 レティシアが食べてると、ルカはレティシアが作った回復薬を手に取って、中身を観察するように見ると眉間に皺を寄せた。


『これを作ってたのか……これはあんまり使わない方がいいな……普通に売られてるものより上質だ』


『使う機会がないのが一番だと思ってるわ』


『レティシアの言うところの保険か?』


『えぇ、そんなに作れなかったから完全に保険ってところよ、思ってたより魔の森で採れる薬草が少ないの。ところで、テオの様子は? 今日の朝もルカとアランで稽古をつけてたのでしょ?』


『あぁ、アランが気にしていたからな……でも、あれはダメだ……魔物を恐れるのは子どもだし、初めてたがら仕方ない、だが剣を抜かないのも、魔法を使わないのはダメだろうな……さっきそのことで、アランからもこの先は危険だと言われたところだ』


『そう……それなら仕方ないわ、私たちが守るべき相手はテオじゃなくてアランだもの』


『あぁ、引き返す隊員がいれば、そこにテオドールを加えてもらうつもりだ』


『そうね……アランにもいらない心配をかけるくらいならその方がいいわ、アランはテオのことを気にしてるみたいだし』


『そうだな、アランは仲間には優しいからな』



 レティシアは食べ終わると、先程薬草を採取してる時に拾った紫色の破片をカバンから取り出し、それをルカに見せた。


『ねぇ、これどう思う? さっき薬草を採りながら見つけたの、ルカは何の破片かわかる?』


 ルカは破片を手に取ると、テントについてるランプの光に当てた。


『いや、何かの武器の装飾品にしては魔力を通さないし、逆に何かが流れてくる気がする』


『私も同じように感じたわ、それの他に同じような物を二欠片この森の中で見つけたわ』


 レティシアはそう言って残りの紫色の二欠片を取り出すと、ずっと持っていたくなくて床に置いた。

 ルカもそのように感じたらしく、その破片を床に置くと強度を確認しようと、短剣を取り出し柄頭の部分を使いその破片を叩いた。

 すると破片はさらに粉々になると、今度は砂のように消えていった。

 その様子を見ていたレティシアとルカは驚き、二人は顔を見合せると、レティシアはもう一欠片を魔法で宙に浮かせ、今度は魔法での破壊を試みる。すると破片はある程度魔力を吸い込むとヒビが入り、先程ルカが叩いた時と同じように消えていった。


『変だわ……武器に使う装飾品ならこうなったりしないし、魔核や精霊核だって色も違うけど、こんなふうに消えてしまわないわ』


『あぁ、明らかに変だ』


 レティシアは本や過去の知識からこの破片の正体に近いものがないか考えたが、すぐに思いつかず眉間に皺を寄せて考えていた。

 ルカは腰に着けていた小さなカバンから小瓶を取り出すと、残っていた一欠片をその中に入れた。


『アランにもこの破片の事を報告してくる』


『えぇ、お願いするわ』


 そう言ってルカはテントの外へと出ていくと、レティシアはすぐにテントの入口を開けて、テント内の空気を入れ替えた。

 そのくらいレティシアは、あの破片に嫌悪感を抱いたのだ。


(やっぱりこの森、何かが変だわ)


レティシアはそう思うと、森の方を目を細めて見ていた。


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