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旧作✿現在非公開中  作者: 元・深 夜 現・雪闇影
3章
66/116

嫌な予感は当たる2

 

 ルカが頭を抱えて黙り込んでいると、レティシアはある事に行き着く。


(もしかして……、あの乗合馬車の……。多分そうだわ! だからこそルカは、関わりたくないんだ!)


 レティシアはそう思うと、パッとルカの方に視線を向けた。


(ルカはロレシオにテオが居なくなったことを聞いて、すぐにあれがテオだと思ったのね。そう考えれば、あれだけルカが怒ったのも納得が行くわ。あれがテオなら、ルカにとっても私にとっても厄介でしかない。また会おうって書いたけど、こんなすぐにとは言ってないわよ! もう! 信じられない!)


 そう思ったレティシアも頭を抱えたい気持ちになって、ベッドに座り込んで下を向いた。



 沈黙が流れ誰一人として声を出さないでいると、ルカが深い溜め息をついて話し出した。


「……ロレシオ、疑って悪かった」


『いえ、疑われるようなことをした俺に責任があります』


 ロレシオがそう言うと、ルカは頭を抱えていた手を膝の上で組んでロレシオの方に向いた。


「それでだ、ロレシオに聞きたい」


『なんでしょうか?』


「テオドールの親は、切羽詰まった様子でロレシオの所に来たんだよな?」


『はい。そうですが、それがなにか?』


「それは、いなくなってすぐか? それともある程度、探してからか?」


『そうですね……、居なくなったことに気がついて、すぐだった思います』


「レティシア、マルシャー領を離れる日取りを、マルシャー家の他に誰かに言ったか?」


「マルシャー領を離れることは精霊たちにも言ったけど、日取りまでは言ってないわ……。それに、出発する前にテオの家にメモを置いたけど、すぐに彼が追ってきたら私でもわかったわ」


「そうか……」


 ルカはそう言うと目をつぶり、肘を膝の上に置き組んでいた手をアゴの下に置いた、そしてゆっくりと前を見た。


「そうなるとだ、できれば考えたくなかったが、俺の考えが合っていればテオドールは、皇帝陛下と皇后陛下の子どもだ」


 ルカがそう言うと、部屋の中なのに外の音がよく聞こえた。

 沈黙が流れ、ルカが深く息を吸い込むと今度は、短く吐き出した。


「もしそうなら、皇帝陛下がなぜ、レティシアと精霊たちが会話できることを知っていたのか、そして乗合馬車の中で俺とレティシアが微かに感じた、精霊の気配も納得がいく。前もって出発日を陛下から聞いていたんなら、乗り込むのも難しくなかったんだろう、それに、精霊たちがテオドールの存在を隠していたのなら、俺とレティシアそしてアルノエが彼の存在に気付くことはないからな」


 ルカはそう言うと、体を起こし後ろに手をつけて天井へ向くと。


「ぁあ〜本当にめんどくせぇ〜」


 っと気だるそうにルカがそう言った。



「でも、それなら変じゃない? 皇帝陛下と皇后陛下の子どもなら、ルカはあったことがあるんじゃないの?」


 レティシアが眉間にシワを寄せてそうルカに聞くと、ルカは体を起こして膝の上でまた手を組んだ。


「いや、実は生まれたことは知っていたんだが、会ったことがないんだ……、他の王子たちには城であったことがあるけど」


「精霊が見えるから、隠していたのね」


(精霊が見えることを周りが知ったら、他の王子たちが蹴落としに出るわ……、それを回避するためにも皇后陛下の故郷で見つからないように住まわせたのね)


「多分な……、少し、俺の方で陛下に確認が取りたい、事実が分かったらまた報告するが、もし予想と違っていたなら、悪いが馬を乗り潰してでもテオドールを向かいに来てくれ」


『わかりました』『わかったよ〜』


 そう言ってルカは通信を切ると、すぐにもう一つの通信魔道具を懐から取りだして通信を繋げると、待っていかのように通信が繋がった。


『やぁ、君から連絡が来ると思っていたんだよ』


 音声だけのはずが、その声色から通信魔道具の向こう側で楽しそうに話しているのだと思うと、レティシアは不愉快に感じた。


「皇帝陛下、お聞きしたいことがございます」


『なんだね? 何でも聞いてみるといいよルカ君』


 ルカはそう言われると、苦虫を噛み潰したような顔をした。


「ではお聞きします。テオドールは陛下の息子でしょうか?」


『そうだが? あの子ならそっちに向かっただろう?』


「あなたって人は! 自分が何をしたか、わかってるんですか?!」


 苛立った様子でルカがそう聞くと、通信魔道具の向こう側から楽しそうな笑い声が聞こえた。


『なぁに、もちろんわかってるさ。だからこそ君の仕事にも、あの子を連れて行ってほしいんだ。それと安心していいよ、私からレティシアの本当の名前も、家の事情も、何一つ話してないからな。オプスブル家が怒るようなことは、していないさ』


「いいんですね? 俺もレティシアもアルノエも決して彼を守りませんよ?」


『あぁ、いいさ。それであの子が死ぬようならそれまでだ、いつまでも精霊が見えるからと言って隠しておけないからな。レティシア、それは君にも言えることだ』


 突然話しを振られたレティシアの鼓動は大きく跳ね上がった。


『オプスブル家はいつまで、フリューネのかわいいお姫様を囲うのかな? エディットが死ぬまでか? それとも一生、隠れるようにして生きてもらうのか?』


 皇帝陛下がそう言うと、失礼だと思いながらも腹が立ったレティシアは、横から口を挟んだ。


「それならなぜ皇帝陛下は、いまだに私を次期当主として認めないのでしょうか?」


 レティシアは通信魔道具を睨むようにしてそう聞くと、また通信魔道具の向こう側で笑う声が聞こえ、レティシアは眉間に皺を寄せた。


『レティシア、君も充分に面白いね〜。それはね〜君にその資格がまだないからだよ。事実を知った上で君がそれを望むなら、私も君を次期当主と認めよう』


「事実とは一体なんのことでしょうか? お母様の病と、なにか関係があるのですか?」


『いや? エディットの病とは無関係だよ。その件に関しては、私も早く解決してもらいところだ。君はエディットから託されたのだろう? ならルカ君の仕事が終わったら彼と共に帝都に来るがいいさ』


「わかりました。ではいつか皇帝陛下にお会いできる日を楽しみにしております」


『私も楽しみにしているよ』


 皇帝陛下はそう言うと通信を切った。


(何よあの人! それに何よ! 私が知らない事実って! お母様は、帝都の屋敷に行けなんて一言も言ってなかったわ! ルカの様子からしても何も知らないだろうし……、何を知ってるのよ陛下は!)


 レティシアは先程の会話に腹が立ち、握りこぶしを作ると力いっぱいに握った。


「レティシア……すごく言い難いんだけどさ……何かわからないけど、陛下のあの様子から考えたら、くだらないことだと思うぞ……あんまり深く考えるな」


 そう言って立ち上がったルカは、レティシアの頭をクシャッと撫でて、アルノエのベッドに置いてあった袋を手に取ると、中に入っていた包みを配り出した。


「ありがとうございます。ルカ様、この後オレがテオドールを探しに行きましょうか?」


「いや、いいよ。アルノエはニルヴィスたちに報告してくれればいいよ、テオドールは俺が探すから」


「私も行った方がいい? あ、ありがとう」


「レティシアもここで待ってて、疲れたから一人になりたい、後レティシアに怖い思いさせて、本当にごめん」


 配り終わったルカは、そう言いながらまたベッドに腰掛けると、包みを開けだした。


「ルカ? もしかして、皇帝陛下に言われたことを気にしてる?」


 ルカの表情から何も読み取れなかったが、レティシアとルカの付き合いは長い、雰囲気から何かを察したレティシアがそう言うと、ルカは包みを開けている手が止まった。

 そして少しだけ眉を下げて手元に目線を落とした。


「そうかもな、エディット様に言われたからマルシャー領で、レティシアにコソコソと生活してもらったが、正直に言ってしまえば俺は安心してたんだ、俺の目が届く範囲にレティシアがいてくれたから、それでいいとも思ってた」


「あら? それなら気にすることなんてないわ、そもそもあの人が貴族の後継者に口を出してるんだもの、あの人がサクッと私を認めていたら、私がコソコソする必要もなかったのよ」


「そうだけど……」


「当主でも次期当主でもない今、教会側に私が精霊と話せると分かれば、弟がいるからっと言って連れていかれるだけよ? 全てあの人が悪いんじゃない」


 そう言ってレティシアは、ルカから受け取った包みを開けると、ライ麦パンに鶏肉を挟んだものだった。

 レティシアはそれを美味しそうに食べると、それを見たルカは少しだけククッと笑う。


「レティシアは、やっぱり変わらないね」


 そうルカは呟くと、レティシアと同じように包みを開けて、食べだした。



「これ美味しいわね! アルノエ私が好きそうな物を、買ってきてくれてありがとう」


 レティシアが嬉しそうに笑いながらアルノエにお礼を言うと、アルノエはやっと安心したのか、ずっと硬かった表情が和らいでレティシアに優しく笑いかけた。


「いえ、喜んでもらえて良かったです」


「食事が終わったら、俺はテオドールを探しに行く。その間、レティシアは汗でも流してくるといいよ」


 そうルカが言うと、レティシアは食べながらうなずいた。

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