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旧作✿現在非公開中  作者: 元・深 夜 現・雪闇影
2章
53/116

母の愛と娘

 

『ねぇ、ルカ今日の私はかわいい?』


「ぁあ、かわいいよレティシア」


 くるくる回って嬉しそうにはしゃぐレティシアを、ルカが優しく見つめながらそう言うと、ニルヴィスはレティシアに手を差し出した。


「それじゃボク達のお姫様、参りましょうか?」


『ニヴィ、髪の毛ありがとう! とってもかわいいわ!』


 レティシアはそう言って、ニルヴィスの手を取ると軽く弾むような足取りで歩き出す。


「レティシアちゃんこれくらいなら、ルカ様も出来るから今度からお願いしてみてもいいと思うよ〜」


「そうだな、俺が今度からやってあげるよ」


『ふふふ、それじゃ二人に頼むわ!』



 明日には、ダニエルが屋敷に来るため、今日は早めのレティシアの誕生日会である。

 毎年、屋敷内で働く使用人の人数がダニエルの要求によって減るため、全員でお祝いするならダニエルが来る前しかない。

 そのため今日は、朝から屋敷内が賑わっていた。

 夕食の時にいろいろ渡されると、レティシアが部屋に持って帰るのが大変だからと気を利かせて、レティシアの部屋に何度も今日は昼間から人が訪れた。


 レティシアが食堂にたどり着くと、いつもと違って少しだけ歪な形に切られた野菜や、少しだけ焦げた料理が並んでいた。

 レティシアはそれを見て不思議に思ってると、エディットがレティシアに近づいて声をかけた。


「レティ、まだ早いけど三歳のお誕生日おめでとう」


「おかあさま、ありがとうございます!」



 レティシアがそう言うと、エディットはチラチラと周りを見てはレティシアをみると、頬を赤く染め緊張した様子で話し出した。


「あ、あのね? 少し、見た目は悪いんだけどね? 今日のご飯はお母さんが作ってみたの…そ、その…レティがお母さんの手料理が食べたいって前に言ってたから…レティシアに隠れていっぱい練習したんだけど、ジャンみたいに上手にできなくて…で、でもね? あ、味は、ジャンが保証してくれたわ! レティ…それでも食べてくれる?」


 レティシアは、恥ずかしそうにモジモジしてるエディットの手元をみると、たくさん怪我をしたのだろう、綺麗だった手が傷だらけだった。

 レティシアはその手を見て、自分と会わなかった理由がそこにもあると思うと、どんどん視界が歪んでいくのがわかった、行き場をなくしたそれは、目尻から溢れだし頬を伝って流れ落ちていく。


「…ママ…ありがとう」


 レティシアの口から自然とそうこぼれた。


 レティシアはどうしてエディットが、自分を避けて会わないようにしてるのか、その理由を考えると過去の人生で会ってきた親たちの影が見え隠れしていたのである。

 何度も望まれず…何度も捨てられてしまった…そんな過去があるレティシアにとって、今世でのエディットの存在はとても大きく、どうしても失いたくはない存在であった。

 エディットから受ける無条件の愛情が、レティシアにとっては初めて親から受けた愛だったからである。

 だから、エディットから嫌われたと思えば、簡単に壊れかけの世界の様に足元から崩れ落ちそうだった。


(私は…まだ…ここに居ていいんだね…)


 レティシアはそう思うと、エディットに走って駆け寄って足元に抱きついた。


「ママッ…ママッ…ありッがとうッ」


 涙が押えきれず子供のように泣いてしまったレティシアの頭をエディットは何度も撫でる


「あらあら、レティがそんな事を言うなんて珍しいわね、泣かないでレティ…お母さんはレティの事を、いつも愛してるわ」


 そう言って少しレティシアを離すと、エディットはその場に膝をついてレティシアの事を抱きしめた。


「レティ、いっぱい心配かけたわ、ごめんなさい…でもお母さんは絶対にあなたを守るわ。だからレティシア、覚えていて、何時もあなたの隣にお母さんがいるわ、例え傍に居なくても気持ちは一緒よ? 愛してるわ、私の可愛いレティシア」


 エディットのレティシアを抱き締める腕に少し力が入ると、レティシアは感情が抑えきれず子供のように声を上げて泣いた。

 初めて受けた親からの愛にただただ、気持ちが溢れた。






 ひとしきり泣いたレティシアが落ち着きを取り戻した頃、エディットの膝の上に座りエディットにご飯を食べさせてもらっていた。


「レティ、どお? 美味しい?」


「うん! おいしいよ!」


「良かったわ。来年は、もう少し上手にできるように頑張るわ!」


「わたしも!」


「そうね、来年は一緒にやりましょ! レティと今度一緒に刺繍もしたいわ! やりたい事がいっぱいね」


 そう言ったエディットの顔がレティシアには、輝いて見えた。


「うん!」


 レティシアは、エディットの膝の上で自分を偽ることもなく嬉しそうに笑う。

 この部屋にいるのは、レティシアとエディットだけなので、レティシアに恥ずかしいと言う気持ちは少しもない。

 皆気を利かせて食堂から退室したのである。


 そんなレティシアは、子供のように少しだけわがままを言った


「ママ、わたしもね…ママといっぱい、いっしょがいい…」


「ふふふ、今日のレティは甘えん坊さんなのね。お母さんは嬉しいわ」


 エディットは、そう言ってレティシアの額にキスをした。


「レティシア、お母さんね…レティシアの幸せだけを願ってるわ……世界で一番愛してる」


 エディットはレティシアを抱きしめると


「ママ、わたしもママだいすき」


 レティシアもそう言ってエディットを抱きしめた。


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