父親は娘に会いたい…?
その後、ひと通り街を見て周りお土産を買ってから夕食を外で済ませて帰ろうって事になった。
レティシアは、エディットやリタ達にお土産を選びつつ薬屋なども覗いてもらう。
『ねぇ。この回復薬はどれ程の効果があるの?』
「それでしたら、切り傷や内蔵を傷つけてない打撲程度なら治ります。さすがに大きめの傷には、効きが悪いですが止血程度の応急処置には、使えますよ。切断された箇所は、それ以上効果が高い回復薬じゃないと何もできませんけど…」
レティシアの質問に対しアルノエが丁寧に答えてくれる。
こうやって薬屋を見て周り、どの程度の効果がある薬が一般的に販売されているのか、レティシアは確認している。
レティシアには薬学の知識もあるため、この世界でも本を読んで作り方が似ている事もあり作れる。
なので、仮にレティシアが作った薬を販売するってなった時に、何も知らなかったらちょっとした騒ぎになるからだ。
男性陣へのお土産も買って支払いを終えた所でニルヴィス達の動きが止まった。
レティシアは、不思議に思いながら彼らが見てる方へ目を向けると、人で賑わっている通りにダニエルが居ることに気がついた。
(へぇー。フリューネ家にも主人がわかってない犬がいるのね。必死にキョロキョロしてる所を見ると、相当娘の私に用があるんだね。どんな要件なのか気になるけど、お父様の態度が前回と変わってないのは、もう知ってる。接触した所で二人きりになろうとするはずだから、それはまだ早いわね)
レティシアがそう考えてると、アルノエ達はダニエルと反対側に向かって歩き出す。
「レティシア様、少し遠回りをして、街を見て周りながら帰りましょうか」
『アルノエごめんね。悪いけど私も、そうした方がいいと思う』
そう言い、普通に帰ってくるより倍以上時間はかかったが、レティシア達はダニエルと出くわすこともなく、無事に宿舎にあるレティシアの部屋へと帰りついた。
「それにしても、ダニエル様よっぽどレティシアちゃんに会いたいんだね〜、訓練所だけじゃなくて、宿舎にまで来るんだからさ、去年レティシアちゃんの宝石を盗んだのに良く会いに来ようと思うよ。正直に言ってダニエル様の神経を疑うよ」
『今回私の部屋に鍵をかけてるからだと思う、まぁ去年…宝石を盗るのも失敗してるのもあるんだろうけど…それより、ニヴィ…ジャンのご飯をもらってこれる? またおなかが空いちゃった』
”『あら、また壊れたわ…』”
そうレティシアの耳に着けたピアスから聞こえ、レティシアは反射的に屋敷の方に振り向く。
「レティシアちゃん?」
(これで、お父様が明日には帰ると言えば前回と全く同じ…)
レティシアの鼓動は大きく脈を打ちはじめる。
「レティシアちゃんどうしたの?」
レティシアのそんな様子を心配してニルヴィスが声をかけたが、レティシアは笑って答えた。
『んー? 何でもないよ? ニヴィごはーん!』
「はいはい。ご飯がほしいんですね、行ってきますよ、行ってくるよ…はぁ…ねぇ、ちょっとロレシオも手伝ってよね」
「あぁ…」
『二人ともありがとう! 行ってらっしゃ〜い』
レティシアは元気よく二人にそう言うと、二人に手を振った。
ロレシオとニルヴィスの二人は、レティシアの様子を気にしつつも部屋を後にした。
レティシアがアルノエの方を見ると、彼はレティシアが書庫から持ってきて、机の上に置いておいた本を読んでいた。
そして、またピアスから声が聞こえてきて、レティシアはそこから聞こえる声に意識を向けた。
◇◇◇
「帰ったらすぐ呼ばれたんだけど、エディットどうかしたのか?」
(いま、帰ってきたのならあの後も、私達を探してたのね)
「ダニエル、また壊れてしまったの…前のと同じで…やっぱりまだ販売するのは、早いわ」
「ぁあ…またか、研究の成果がなかなか出ないなぁ…また、帝都に戻って報告するから、明日には帰るよ…レティシアに会えてないのは、残念だけどしょうがないよな……」
「……レティシア…少しだけ人見知りだから仕方ないわ」
「そっか…なら仕方ないね。部屋にも入れなかったからさ…気になっちゃって」
「そうなのね、後でレティシアに確認するわ」
「あぁ、悪いな。それじゃ、帰る準備するよ、愛してるよエディット」
「……ぇえ…おやすみ、ダニエル」
◇◇◇
(去年と同じ…やっぱり指輪に何かしらの秘密がある? それにやっぱり部屋に入ろうとしたのね)
ゆっくりと読んでいた本から視線をあげたアルノエは、おもむろに口を開いた。
「レティシア様、何か気になる事でもありますか?」
そう聞かれたレティシアは言うか言わないか悩んだ後
『ノエ、ルカと連絡が取れたら ” 去年と同じだった ” って伝えといてくれるかな? 私の方でもルカに連絡をとってみるけど、ノエ達の方が連絡をとりやすそうだから』
「かしこまりました」
『ありがとう、お願いね』
レティシアはそう言うと、今日街で買ったお土産を並べて紙袋に渡す人の名前を書いていった。
◇◇◇
「ただいま〜部屋に持っていくって言ったら、ジャンがサンドイッチを持たせてくれたよ〜」
『ジャンのサンドイッチ、美味しいよね! 中身何!?』
「んー。お肉とサラダとハムチーズのがあるよ〜どれがいい〜?」
ニルヴィスは持ってきたバスケットを机の上に置き、中身を確認しながらレティシアにそう答えた。
『私はお肉!!』
「今日お肉や甘いものしか食べてないので、レティシア様は少し野菜も食べましょう」
嬉しそうにそう言ったレティシアに対してアルノエは、そう言いながらレティシアにサラダのサンドイッチを手渡した。
『はーい』
(サラダでもジャンの作る料理は美味しいから、何でもいいけどね!)
レティシアはそう思いながら、サンドイッチを受け取ると幸せそうに食べはじめる。そんなレティシアの様子に自然と、アルノエやロレシオそしてニルヴィスの表情も柔らかくなった。




