待っていた報告
アルノエは、あの日からレティシアの部屋を訪れるてくる事はなかった。
アンナが時折寂しそうにしながら、レティシアになぜアルノエが来ないか、理由を知らないか聞いてきたけど、レティシアが考えられる理由はアンナが知るべきじゃないと思い、レティシアはあえて知らないフリをした。
(はぁ〜、あれから十日は、たってるはずなのに音沙汰がないって事は、ルカと連絡がつかないからかな?)
レティシアがそんな事をベッドの上で寝転がって考えてると、ドアをノックする音が聞こえ、レティシアは慌てて上半身を起こし扉の方に意識を向けると、少しだけ緊張が走った。
静寂な時が流れやがてドアの向こうから、ここ数日この部屋を訪れなかった人の声が聞こえてくる。
「レティシア様、アルノエです。入ってもよろしいでしょうか?」
『うん、大丈夫だよ』
「ありがとうございます、失礼します」
そう言ってレティシアの部屋へとアルノエが箱を持って入ってくると、レティシアはアルノエの手元にある箱に目を向けた。
「遅くに申し訳ありません。明日の朝、レティシア様が訓練所に行ける事になりましたので、その報告にまいりました。それと、こちらは明日の朝に着てほしい洋服です、さすがに早朝でしたらアンナさんもまだ居ないので、こちらで準備いたしました」
そう言いながらアルノエはベッドの近くまで来ると、持っていた箱をベッドの上に置いてレティシアが箱の中が見えるように、箱のフタを開けた。
レティシアは開けられた箱の中を覗き込んでから、その中に入ってる洋服を取りだすと自分の前で広げて確認をした。
『アルノエ、ありがとう! 私一人でも着られるように頑張るね…』
広げたその洋服は、厚手のワンピースのようで、白をメインとし首元には大きい青いリボンが着いていた。
襟や胸元にそって入ってる線は青く、スカート部分はふわりと膨らみをもちパッと見、膝丈の長さのあるものだった。
白い生地には切込みが入っており、その切込みの間から存在を主張するかのように青い生地が顔を覗かせていた。
(着れるかわからないけど、かわいい…腰の後ろにあるリボンも青なんだね……)
「…上から着てもらえたら、首元や腰のリボンはオレがやります。腰にあるリボンは、後ろからおなか部分を締めて結ぶようになっているので、レティシア様にはまだ早いと思いますし…」
『わざわざ作ったの?』
「はい。ルカ様からの連絡を待ってる間に、騎士団に女性はおりませんので女性用の隊服を…レティシア様のですが急遽、急いで作らせました。それで…だいぶ日がたってしまったのです。待たせてしまい申し訳ありません」
そう言ってアルノエが頭を下げたが、レティシアは団服を抱きしめながらアルノエ方を向いて嬉しそうな表情をした。
『んーん! 大丈夫! ありがとうアルノエ!』
「いえ。あの…その……デザインを考えたのニルヴィスなので、後で彼を褒めてあげてください。喜ばれると思いますよ」
『ニヴィが考えたんだね。凄いな…』
「ニヴィは、そういうのが得意なので。ところで…レティシア様、オレの事も良ければノエって呼んでもらえますか?」
っと少し眉を下げながら聞いてきたアルノエに対し、レティシアは彼がなぜそのような事を言ってきたのか、特に気にする様子もなくレティシアは答えた。
『うん! 良いよ! ねぇ、ノエ。あの二人がルカの言ってた二人であってたの? 手紙にはノエから紹介があるって書いてあったけど』
「はい。ロレシオ団長とニヴィ…いえ、ニルヴィス副団長が今回、ルカ様に言われて動いてます」
『んー。私のお父様そんなに強いと思わないけど、三人が私の護衛について大丈夫なの?』
顎に指を当てながら首を傾げたレティシアに対し、アルノエは言っていいのか悩むような素振りをした後、レティシアの方を向いて話を続ける。
「他の方々も強いので問題はないですよ。そうでなければ、そもそも我々の隊は名乗れませんので…ちなみに午前中よく、ルカ様とレティシア様が見学なさっていた彼らは、主に屋敷の外周りや街の巡回警備に当たってます。明日その辺も詳しく説明があると思います」
『そうなんだ…問題がないなら良いけど』
「はい。何も心配する事はありませんよ。それに例えばですが…攻め込まれた時、我々三人がレティシア様についてる方が、エディット様もルカ様も安心しますので」
アルノエは、少しばかりまだ不安そうなレティシアを安心させるようにそう言うと、そこでやっとレティシアは安心たような表情をして答えた。
『そっか! それならいいの、ありがとうノエ』
「いえ、では明日の朝、前回と同じ時間にまた来ます。着られる範囲で構いませんので、そちらを着て部屋でお待ちください。レティシア様」
そう言ってアルノエは、振り返ってドアの方へと歩いていく、その後ろ姿にレティシアは声をかけた。
『ノエ! ルカの事と着替え、ありがとう! おやすみなさい!』
レティシアがそう言うと、アルノエは振り返り優しいほほ笑みをして。
「いえ。レティシア様、おやすみなさい」
そう言ってレティシアの部屋を後にした。
アルノエが遠いたのをレティシアは意識を向けて確認すると、少しだけ慌ててレティシアはいつもの鍛錬の準備をする。
一度仮眠を入れてしまうと、魔力の回復が明日の朝には、間に合わない可能性があるからだ。
(部屋に誰かが入って来れないように、魔法で開かないようにする事も今度からは考えないとね…)
そう思いながらレティシアは、今日も宝石に魔力を込めるのであった。




