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旧作✿現在非公開中  作者: 元・深 夜 現・雪闇影
2章
37/116

短剣と付与術

 


「レティシア様、こちらで本を読まれるのですか?」


 プレゼントを受け取った日からだいぶ経つが、アルノエはレティシアが堅苦しいのは、嫌だと伝えたにも関わらず、いまだにこうしてレティシアに対し敬語を使ったりする。

 もちろん、その事でレティシアは怒ったりなどしないが、レティシアはアルノエが少しだけ不器用な人なのだと思った。


『んーん。ルカにもらった短剣に、付与術の術式を書こうと思ってね。部屋だとアンナが入ってくるかもしれないけど、書庫なら一応鍵を持った人しか入れないから、途中で中断されるって事もないし、もし仮に、失敗した時もここなら問題ないから、ここでやるの』



 昼食後少し庭で過ごしてから、レティシアは部屋へと戻り、短剣が入った箱を抱えながら書庫へと向かったが、途中でたまたま彼女の部屋に向かっていたアルノエとバッタリ遭遇し、流れで2人して書庫にきたのである。

 中に入るとレティシアは鍵を閉めて、広そうな所にそのまま座ろうとしたのに対しアルノエは、「少々お待ちください」っと言ってマントを取ると床に敷いた。


『別にそんな事をしなくても良いんだよ? ルカとここに来てた時は、毎回そのまま座ってたし…』


 っとレティシアが言ったものの。


「いえ、レティシア様はまだ幼いですが女性ですので、体をあまり冷やすべきではないと思います」


 っとアルノエは譲らず、しょうがないなぁーっと半ば諦めたようにレティシアがその上に座った。



 それから目の前に箱から取り出した短剣をおき、気持ちを落ち着かせるように深呼吸した後、レティシアは少しだけ魔法で指の先を切り、意識を集中させる。

 そして指先から僅かに属性を含んだ魔力を出しながら空中に文字を書いていく。


【光が()ちし時汝その真の姿を現し主に力を貸し与え、闇が盈ちし時汝その真の姿を縮小し主の為に姿偽り、生命の源盈ちし時汝凍て付かせる氷の刃となり、真炎盈ちし時汝劫火纏いし炎の剣となり、天つ風響く時汝切り裂く風の刃となれ、汝闇を宿し時その力を影に隠し護り抜くものとなれ、我汝の主なり】


 赤く光ながら空中に書いた文字を今度は、属性を含んだ魔力を流してる指で最初からなぞり一文字一文字拾っていく。

 そして拾う作業が終われば

 少しずつ…でも確実に短剣と文字が同調する様に魔力調整をしながら一文字一文字短剣に刻む。

 まだ普通の文字はミミズ文字だが、術式文字は違う。

 なぜなら想いと知識が、その文字を最終的に形成するからだ。


 途中レティシアは疲労感に襲わるが、それでも中断してしまえば、全て最初からになってしまうので最後まで、集中して作業を続ける。



「ふぅーっ」


 作業を終えてレティシアが息を吐き出すと、少し離れた所から見ていた、アルノエがレティシアに駆け寄ってハンカチを手渡した。


「オレ、初めて付与術拝見しました」


 っと驚いたようにアルノエが言うと先程術式を施した短剣を見つめていた。

 レティシアは、その短剣に闇の魔力を流し込み短剣を小さくしながら、返事をする。


『へー。そうなんだ? でも、これは普通じゃないからなんの参考にもならないと思うよ? …うん。大丈夫…魔力感知にも引っかからない…』


 疲労感に満ちた顔をするレティシアに対しアルノエが心配するように顔をのぞき込む。


「あの…レティシア様大丈夫ですか? 顔色が悪いように見えますが」


 っと言われたレティシアは、少し考えるような素振りをしアルノエに対し質問を質問で返した。


『アルノエ、私少しだけ寝るから夕食前に、起こしに来られる?』


「えっと…大丈夫ですが、部屋に戻りますか?」


『ううん。部屋に戻ったら勘づかれるし、ここの方が安全だから、ここで寝るわ』


 そう言うとレティシアはアルノエに鍵を渡し、ゴロンっと横になってから膝を抱えるようにくるまると、目をつぶって今自分の中で暴れている魔力を抑え込むように、小さい短剣を握りしめながら胸を抑えた。


(まだ子供の体で、通常とは違う方法…さらに5属性同時付与は、やっぱキツかったわね…この書庫は元から結界が張ってある…大丈夫…抑え込めれば…暴走しない…アルノエ以外にバレない…大丈夫…)


 そうレティシアは、思いながらひたすら自分の中で暴れ回る魔力と向き合った。



 ◇◇◇



 数時間苦しんだがやっと体内の魔力が収まり、疲労から寝ていたレティシアは、起き上がると周囲を見渡し、変わりがない事を確認すると、安心したように短く息を吐いた。

 アルノエはレティシアが鍵を渡したにも関わらず、レティシアの近くに座って静かに本を読んでいた。


 その姿が僅かに、深紅の瞳を持っている少年と重なりレティシアは無意識に。



「ルカ…」



 っと小さい声で呟くと。


 手の中にある、小さくなった短剣に目を向けてそっと、キスを落とした。


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