他愛もない日々
訓練所に行った日、部屋へと帰るとアンナが待っていてくれ、そんなアンナに対しアルノエは、丁寧にいろいろと説明をしアンナに謝罪をしていた。
そんなアルノエに対し好感を持ったアンナが、レティシアにお茶を提案し、その日から午前中レティシアがアンナと過ごしていても、時間ができるとアルノエは仕事の合間に、レティシアの部屋に姿を見せるようになり、他愛もない話やアルノエがレティシアに文字を教えたりして3人で楽しく過ごすようになった。
「わたし、最近こうやってレティシア様とアルノエ様と過ごす事が増えて、レティシア様がわたしともよくお話をしてくれてとっても嬉しいんですよ!」
「わたしも、たのしいいよ!」
本当に嬉しそうにアンナが言うと、レティシアもまた嬉しく思い向かい側に座るアンナの方に顔を向けて、子供らしい笑顔をしてそう答えた。
「ルカ様が帰ってしまわれてから、レティシア様、どこか寂しそうだったので、最近はよくレティシア様が笑うのは、アルノエ様のおかげですね!」
そう言いながら、今度は少し頬を染め花を咲かせたような優しい笑顔を、レティシアの隣に座るアルノエにアンナは向けた。
アルノエは、最近よく笑うようになったレティシアの事が嬉しいのか、優しく微笑みながらレティシアを見た後、アンナの方を向き。
「いえ、私は何もしておりません。しかし、レティシア様の笑顔が私が来るようになって、以前よりも増えたのでしたら、私も嬉しい限りです」
っと答えまたレティシアに顔を向けて微笑む。
(アンナに心配をかけてたんだね…アンナと2人の時は、私が本を読んでる事も多かったから、アルノエが来るようになって、確かに会話も増えたし笑う事も多くなったわ、アルノエに感謝しなきゃ)
レティシアはそう思うと、周りが自分の事をちゃんと見てるんだって言う事実に嬉しい気持ちがわいてくる。
「アルノエ! これ、こう?」
「そうですよ。上手ですレティシア様、少々お手を失礼します」
アルノエはそう言った後、立ち上がりソファーの後ろに周ると、レティシアの後ろから彼女のペンを持っている手に彼の手を添えて、レティシアの手を動かしながら文字を書く。
「こんな感じで書くと、さらに綺麗にかけますよ」
アルノエはこうしてレティシアに対し、丁寧に優しく教えてくれる。
レティシアはそんなアルノエに感謝をしつつも、盗み見るようにアンナの方を見ると、アルノエの姿をうっとりした表情をしながらアンナが見つめていた。
(人の恋愛に対して、なんか言うつもりはないけど…これは完全に恋する乙女だな……もしかしてアンナ初恋とかかな?)
そう思いながらレティシアは、再び紙に視線を戻すと文字の練習を再開する。
ルカにしか読めなかった、ミミズにしか見えない文字から、ルカ以外にも、少しだけ読めるミミズ文字に最近は、なってきたのである。
レティシアもレティシアなりに、この世界に馴染もうとしている。
「あ、あの! アルノエ様、私の方も見ていただけますか?!」
「はい、いいですよ。……アンナさんは、もう少し文字の繋げ方を意識した方がいいかもしれませんね」
そう言いながらアルノエは、レティシアの後ろ側からまたレティシアの隣に戻ってしまい、アンナが残念そうにするのをレティシアは、再び盗み見た。
きっとアンナもレティシアみたいに、アルノエに手を添えてもらいたかったのだろう。
(アンナ、私は何もしてあげられないけど…頑張れっ! 私は人の恋愛を手伝える程、恋愛経験豊富じゃないのよ……過去でも、相手がいなかったわけじゃないけど、決められた相手とかが多かったから、大恋愛はした事なんてないのよ、アンナ…ごめんねアドバイスとか協力はできそうにないわ…)
そう思い、たまにアルノエに聞いたりしながら、アルノエが戻らなければならない時間まで、アンナとアルノエの会話に耳を傾けたりして、文字の練習を続けた。




