表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧作✿現在非公開中  作者: 元・深 夜 現・雪闇影
1章
22/116

壊れる物のようです。

 

「あら? 指輪の石が壊れてしまったわ? リタ、ダニエルを呼んでもらえかしら? 指輪が壊れてしまったの」


「エディット様、かしこまりました」



 ◇◇◇



( ん? 指輪の石が壊れた?)


 ダニエルが騎士団の訓練所に現れた翌日。

 レティシアがアンナに身支度を整えてもらってると、耳に着けていたピアスから、そう聞こえてきた。

 途端に、考え事を始めたレティシアは眉間に皺を寄せてその顔は、険しくなっていった。


「レティシアお嬢様、ドレスの締め付けがキツかったですか? それとも本日は違うドレスが良かったですか?」


 アンナは自分が粗相をしてしまったのではないかと不安そうにレティシアにそう聞くと、レティシアは鏡に写る自分の顔を見て表情に出ていた事に気が付くと、すぐに何事もなかったかのように、笑顔を作った。


「んーん! ない! なにも!」


「そうですか、それなら良かったです。レティシアお嬢様、着替えが終わりましたら本日は、こちらのリボンにしますね」


 不安そうな表情をしたアンナだったが、彼女も何とか笑顔を作り先日レティシアの誕生日に贈られたリボンをレティシアに見せると、レティシアは笑顔で頷いた。


 アンナがレティシアの身支度を終わらせリボンを髪に終わると、鏡に映るレティシアを寂しげな表情で見つめた。


「レティシアお嬢様、わたしは頼りないと思いますが、いつもレティシアお嬢様の味方です。わたしは、レティシアお嬢様のお力になりたいんです、だからできる事はなんでも致しますので、何かありましたら言ってくださいね!」


 アンナはレティシアにそう言って、笑いかけるとドアまで行き一礼した後ルカと変わるように、レティシアの部屋を出ていった。

 ルカは、部屋へと入ってくるとレティシアに近づき、彼女の髪に手を伸ばすが、それを遮るようにレティシアが呟いた。


『壊れた』


「ん? 何が??」


『お母様が着けてた指輪が、さっき壊れたわ』


 レティシアは、それだけルカに伝えるとソファーへと移動し、またピアスへと意識を集中させた。



 ◇◇◇



「エディット、呼んだか?」


「ぇえ、呼んだわ…、ダニエルあの指輪で商売しようとしていたのでしょう? 時期早々だと思うわ、だって壊れてしまったもの」


「あちゃー… やっぱ壊れたか……この宝石、実は人工的に作ってるんだよ、本物の宝石は貴族とか金持ちしか買えないだろ?

 でも平民だってお洒落したいだろうし、それなら人工的に大量に作って安く売れば誰でも安く買える。

 そうしたら平民達もお洒落を楽しめるって俺、考えたんだよ!

 一応ガラスで作った物もあるけど、エディットに渡したような濃い色のはないだろ? それで、いろいろと研究してるんだよ」


「…そうだったのね。壊してごめんなさいね」


「いや! いいんだよ! エディットが着けてても壊れるなら平民の生活の中じゃ、もっと早かったと思うし、また試行錯誤するよ! リングの所は、本物だから次に出来たらそれにまた石を付けて持ってくるからさ、できれば返してくれないかな?」


「わかったわ…」


「エディットありがとう! 壊れた事も報告したりしなきゃだから明日には、帝都に戻るよ」



 ◇◇◇



(指輪その物も回収したのね…)


『宝石が付いていた指輪も回収されたみたいよ』


 レティシアはそう言うとソファーにもたれかかり、はぁーっと深い溜め息を付いて天井を見つめた。


「壊れたなら、もう心配はないと思うけど…どうするんだ?」


『…ルカには、悪いけど今日お父様と接触してみる、明日には帰るって言ってたから』


「は? 本気? エディット様がお前とダニエル様を接触させるなって言ってんだぞ? だから昼食後テラスにすら行ってないのに!」


『そうなんだけどさぁー…、お父様の本当の目的も気になるんだよ…』


 レティシアが言ったことに対し、片眉を上げて不機嫌そうな表情を見せたルカに対してレティシアは困った様な表情をし考える。


(そもそも、使用人に対しても高圧的な態度をとる人が庶民のお洒落を気にするのかしら? いや、そもそもそれなら平民と言わないわ。それに初日の時点で壊れる可能性や研究の事を言っていれば、資金の方もお母様の反感を買わずに話ができたはずよね? なんか理由が取って付けたような感じがするのよね…)


『あの話し方なら多分またここにやってくると思うし…』


「それなら尚さら…今回は接触しない方がいいと俺は思う、今回レティシアがダニエル様と接触した事を、エディット様が知ったら俺はお前の護衛を二度とさせてもらえないからね」


『そうなんだよねぇー…』


「俺は、接触する事に反対だ」


(まぁ、ルカの立場ならそうなるよね…)





 長い沈黙の後、扉の前に屋敷で働く人とは違う気配を感じて、ルカがレティシアに歩み寄っていく。



 沈黙の後、扉をノックする音が聞こた。



 その瞬間、レティシアは瞬時に透明化魔法(インビジブル)をルカと自分にかけ、さらに浮遊魔法を使い宙に浮く、そして消音魔法(サイレント)をかけた。



「……んだよ…今日も部屋に居ねぇのか……」


 そう言いながらダニエルが部屋へと入ってくると、宝石が置いてある机に近づきジュエリーボックスを開いた。


「たく、自分の父親が金に困ってるって言うのにガキが、いいご身分だな」


 そう言いながら、ジュエリーボックスから宝石を手に取り、目線の高さまで持ち上げ少し動かしながら見ては、いくつか懐へとしまった。


(人の物まで勝手に手をつけるのね…この人は…)


 その後、ダニエルは他の引き出しも開けては中を確認しめぼしい物がないとわかると、レティシアの部屋を出ていった。


 レティシアはダニエルが部屋から出ていった事とその気配が遠のいたのを確認し、ゆっくりと地面に降り立つと自分達にかけていた魔法を解除する。


「あんな事、言ってたから接触するかと思った……」


『接触した所でまともに喋れないし、無意味だと思った』


「…確かにな…宝石も盗られちゃったし…」


 そう言いながらルカはジュエリーボックスの宝石を確認しに走ったが、レティシアは少しだけ得意げな顔をしてルカに話した。


『全部ダミーだったよ。自分の魔法で作ったものだからわかる、正解でしょ?』


 そう言われたルカは、心配そうな表情をした。


「…あー… 正解だ。でも、売りに出したらバレるぞ?」


『売りに出す前に消すよ。そうすれば魔法で作ったダミーだって分からないでしょ、宝石が消えたか盗まれたと思うはずよ?』


「…それもそうだな」



 この後レティシア達は、書庫に移動しダニエルが屋敷を出るまで会う事は、なかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ