指輪と精霊
少し遠くから、木剣と木剣がぶつかる音と男性達の熱気を含んだ声がする
『ねぇねぇルカ〜訓練所に行こうよ〜』
「あのなぁ…」
『いいじゃんかぁ〜訓練所なら行っていいんだよ〜? 行こうよ行こうよ行こうったら行こうよ〜』
「はぁ…わかったよ……」
『わーい! わーい!』
そう言って半ば無理やりに、レティシアはこの訓練所へとやってきた。
ダニエルの滞在期間中は、屋敷内での行動に制限がかかっているため、常に部屋と書庫の往復だけの状態にも三日でで飽きてしまったのだ
そのため四日目には、こうしてレティシア達は外へと出てきている。
レティシアは、まだ冷えた外の空気を久しぶりに吸い込み、ルカが訓練してるのを横目に彼女は妖精と世界と語らう。
そしていろいろと精霊達にエディットが着けてる指輪の事をレティシアが聞くと。
「あれすごくいやな感じするーー!」
「あれ、きらーい!」
「あれ、つけてるエディットいやー」
「何が嫌なのかわかんなーい」
「でもいやー!」
「あれいやー!」
っと原因は、わからないが指輪から精霊達は嫌な感じがすると教えてくれた。
( やっぱ魔力の流れを1度確認する必要性があるわね… )
そう思ってると訓練所の空気が変わっていくのにレティシアは気がついた。
レティシアは何事だろう? っと思い目を開けると、レティシア方にルカが走って戻っくる。
「レティシア、戻ろう。君の父親がこちらに顔を出したみたいだ」
そう言いながら、いつもはレティシアの手を引いて歩いてくれるのに、その日はルカはレティシアを抱き上げた。
レティシアが騎士達の方を見ると、騎士達がダニエルを取り囲むように群がっていてあちら側からこちらが見えないように対応してくれていた。
「俺、汗かいてて嫌だと思うけど我慢してね。部屋に戻ったらアンナに頼んで着替えさせてあげるから」
そう言ってルカは、レティシアを抱き抱えたまま小走りに訓練所を後にした。
◇◇◇
レティシア達は部屋に戻る途中にアンナと出くわし、ルカはホッとしたような表情をした後、アンナにレティシアの着替えをお願いし足早に3人で部屋へと急いだ。
ルカは部屋に入るとレティシアを下ろした後、着替えを持って急いでシャワールームへと入っていった。
普段レティシアの着替えがある時ルカは、レティシアの部屋にあるシャワールームを使わない。
アンナは、そんなルカの様子を見て何かを察したのか、明るくレティシアに話しかけながらドレスを着替えさせ乱れた髪の毛を整えていく。
「ね、アンナ、ごはん、もってこれる?」
「もう、おなかが空きましたか? この後すぐお持ちしますね」
「ぱん! ぱんがいい!」
「サンドイッチがご希望ですね? かしこまりました」
「アンナ、ありがと!」
「いえ! さっ! レティシアお嬢様、できましたよ!」
そう少しだけ大きめな声でレティシアの着替えが終わった事を告げると、シャワールームから髪を乾かしてない少しだけ乱れた服装のルカが出てきた。
「ありがとう、もう戻っていいよ」
そう伝えられたアンナは、一礼して部屋を後にした。
『ルカ、なんでお父様訓練所に来たと思う?』
「お前が、お目当てなのは確かだな、それ以外にあの人が訓練所にくる理由が見つからない」
ルカは、そう言いながら苛立った様子で洋服を整えていく。
『だよね〜。精霊達とも話したんだけどさ、お母様が着けてる指輪を嫌ってたよ』
「それじゃ、尚さら怪しいな。明日確認するか?」
『そうだね。その方がいい気がする…でも今日部屋に居てもお母様の所にいても来そうな気がするから、この後さ昼食を持って書庫に行かない? そしたら入って来れないし外からノックされても無視すればいい事だし』
「そうだな。俺もその方がいい気がするよ」
『ありがとう、さっきアンナに昼食は頼んだから待ってればアンナがサンドイッチを持ってくるよ』
「ありがとう」
『いやいや、私のわがままが原因だから気にしなくていいよ』
「いや。多分部屋に居ても来てたはず。じゃなきゃ訓練所に現れた理由に納得する説明がつかない」
『ふ〜ん…』
(目的がわからないから、ただ子供に会いたいだけなのか他に目的があるのか、わからないのよね…でも子供に会いたいと思うなら、玄関ホールでの事はどうなの?)
『一度お父様と二人で喋る場を設けて見るか…』
「あ?」
『いや、冗談だよ……お母様の指輪確認してからそれは…、考えるよ…』
「……頼むから、無断で行動する事だけはするなよ……」
『はーい!』
怪しむ様な目をしたルカに言われたがレティシアは元気よく返事を返した。
(ルカに申し訳ないけどそれは、お母様の指輪次第だな)




