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旧作✿現在非公開中  作者: 元・深 夜 現・雪闇影
終わりと始まり
2/116

はじめまして…

 




『貴方は、何を望みますか?』





 そう声が聞こえ何度目かの問に私は。




「私は! 人生をやり直したい! 馬鹿で物覚えも悪いし、容姿だって自信がなかった! 自信が無いから人付き合いも苦手だった! それに…知識がないからいつまで経っても世間知らずで、それが原因で幸せも自分から捨てた! だからこ人生をやり直したい!」






 ◇◇◇






 あー… ” また ” 完全に死んだのか…。


 死ぬ度にこの最初の日の光景が流れる…。


 決して忘れる事なんて出来ないのに…それでも忘れるなよって言ってるみたいに…。


 初めて転生した時は、状況が飲み込めずにいた。


「そうじゃなーーーい!」


 って叫びたい衝動にものすごく駆られた。

 私が望んだのは、一番初めの、あの人生で母の胎内まで戻ってやり直す事だったから…。


 初めての転生は、とにかく散々だった…よく異世界転生の話を読んでたけど想像と全然違った…誰かに望まれる事もなくて…誰かに必要とされる事もなくて、ただ使い古されたボロ雑巾のように扱われた、もちろんチートなんて物もなかったしね…。



 それでも、その世界で死ぬんだと思った瞬間は、やっと解放されたのかと思った…でも目を覚ますと死んでなくて…頭の中が真っ白になって目の前が真っ黒になった。


 そして、ただただ…その世界での終わりが来るのを待った。


 嫌な光景まで目の前に映し出され、こんな記憶なんて忘れたいのにって思ってると、自然に溜め息がこぼれた…。


 はぁ……っと息をつくと、足元から深い深い暗闇に落とされる。


 時間の感覚も、どちらが上なのか下なのかも分からない。


 何も聞こえない、何もない、ただ真っ暗な闇の中を漂うように浮遊していく。


 すると突然、頭を鈍器で殴られたかのような強い衝撃を感じて、今までの経験した全てが頭に流れてくる。



「 ぁああぁあぁあああぁああぁ!!! 」



 そう叫んでるのに、喉の奥が痛いだけで何も聞こえない。



「やめてぇえ!!! 頭が割れるように痛いッ!!!!! 」



 激しい痛みに頭を抱えながら蹲ってると今度は落下をはじめる。


「ぅわぁぁああああ!!!」



 聞こえないとわかっていても、思わず叫ばずにはいられない。


 落下していくと、さらに水中に落とされたかのように呼吸が苦しくなた。


 必死にもがくけど、もがけばもがくほど体が圧迫されて、まるで底なし沼の中で溺れてるみたいだ。


 苦しい…。


 苦しいよ……。


 今度はこの暗闇の中で死ぬの?


 続く苦しみの中そう思ってると、今度は押し出されるかのように広い空間へと開放された。


 途端に空気を取り込もうと、肺が新鮮な空気を求めて慌ただしく働くのがわかった。



 そして赤子の泣き叫ぶ声が聞こえる。


 まだ痛む頭のせいで、その声がとても耳障りだ。


 一向に泣き止まないその声に苛立ちを覚え、誰か、泣き止ませてよ! っと思って声の方へ耳を傾けると、その声は自分の口から発せられてるのだと気がついた。


(ぁ…自分は ″ また ″ 転生したのだ…)


 状況の把握が追いつかない痛む頭で、ぼんやりとそう思うと心の中で、ため息をついて考えた。


 転生後は、だいたい状況の把握が出来ない、このお決まりのパターンだ…。



  「………。 お生れになりましたよ! 元気な女の子ですよ!!!」


 女の人が嬉しそうにそう言うのが聞こえた。



 ――― あぁ…新しい世界…初めまして… ―――


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