表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧作✿現在非公開中  作者: 元・深 夜 現・雪闇影
1章
18/116

人の予定も考えて欲しい

 

 レティシアがルカと訓練所から帰ってくると、屋敷内がピリピリしていた。

ルカもそれに気がついたようで、近くに居た使用人に話しかけて話を聞いていた。


 話を聞き終えたルカがこちらへと険しい顔をしながら戻ってくると、「行こう」っと言ってレティシアの手を少しだけ強引に引っ張って部屋へと戻ると、どう伝えるか悩んでから。


「レティシア、お前の父親が多分あと数時間でこの屋敷に到着する、早くてもこの邸宅に着くのは、明日だと思ってたけど、予定を早めたのか夕方前には、到着するっと報告があったらしい」


 そう言いながらルカはシャワーを浴びる準備をして、着替えを持って足早にシャワールームへと消えていった。


(あー…今日、私の誕生日会を前倒ししてやる予定だったけど、それすらもできなくなったのね……それは、皆がピリピリした雰囲気になるわけだよ…突如予定を早めてまで帰ってきたなら何か理由があるはずなのに、その理由が全く分からない…何しでかすか予測が不可能ってところかな)



 そう思いながら溜め息をついたレティシアは、アイテムボックスから青と緑の左右が異なった小さな一粒宝石がついた一組のピアスを取り出し、机の上に置くと神経を注ぎながら付与術式を書いていく。

 小さいものに対し付与術式を書く際は、魔力コントロールや力加減が難しくなるので、あまり付与術師は小さいものに付与術をやりたがらない。


 レティシアは過去に付与術を専門にやっていた同期の付与術師に、お願いしたがお断りされ、その同期とはそこから会議などの絶対参加が要求されていた場面でしか、顔を合わる事がなくなった経験がある。


(確かに小さいものに、術式を一個付与するのもすごく疲れるのはわかるけど、それを隊員全員分を頼んだからと言って逃げ回るのは、あんまりだと思う…報酬も希望額を出すと言ったのに)


 レティシアの指先から流れる魔力は、まるで蜘蛛の糸のように細く、いつそれが切れてしまっても不思議ではないのに、その魔力の糸はキラキラと光り輝いていた。


 (両方、できた!)っとレティシアは顔を上げて、先程のピアスを目線の高さまで持ち上げて完成を確認する、その額にはうっすらと汗が滲んでいた。


「何を付与したのか気になるけど、食堂に行かない?」


 後ろから声がしてレティシアが振り返ると、ルカがシャワーと着替えを終えてソファーの背もたれに頬杖をついた状態で、レティシアの作業が終わるのを待っていた。

 レティシアは、それで思ったより時間がかかったんだとわかると、慌ててピアスをドレスのポケットに入れてルカに抱き上げてもらうと、ルカは足早に食堂へと急いで向かった。




 食堂に着くと既に待っていたであろうエディットが、横目でチラリとレティシア達に視線を向けると「ルカも今日は座りなさい」って言ったので、ルカはレティシアを椅子に下ろしてから、エディットにお礼を言うとレティシアの隣へと座った。



 食事が運ばれルカが一口一口、丁寧にレティシアに食べさせながら自分の食事もしていく。

 いつもは、アンナがレティシアに食べさせたり、レティシアが自分で食べるのでレティシアは、多少気恥ずかしく感じたがご飯が美味しいので、その気恥ずかしさも次第に薄れていく。

 これは料理長のジャンにいろいろと感謝するしかない。


 黙々と食事をしていると、エディットが静かに口を開いた。


「既に聞いてるかもしれないけど、もう少ししたら、ダニエルがこの屋敷に到着するわ。

 使用人の人数も、こちらを守る騎士達も少ないからいつもと違うけどよろしくね。

 あの人が愛人とその子供を置いて突然帰ってくるんだもの、良くない理由が必ずあるはずよ、だからダニエルが帰るまで気を引き締めてもらいたいわ、レティには、少しばかり窮屈な思いをさせるけどごめんね?」


 っと言ってルカを見ながら言った後、レティシアを見てエディットは謝った。

 レティシアは静かに頷きルカはエディットの方を向いて「かしこまりました」っと返事を返すと、再びレティシアの方に向いて食事の続きをさせた。



 食事が終わりレティシアは解散かと思ったが、エディットはそんなレティシアを自分の部屋に招待した。




 レティシアがエディットの部屋へ着くと、リタがいつものようにお茶を入れ始めてソファーに座ったレティシアに出した。

 レティシアはそれを一口だけ飲むと、ポッケトから先程の術式を付与した青色の宝石がついた方のピアスを取り出すと、子供らしい笑顔を作ってエディットに差し出した。


『お母様、私だと思ってお守り代わりに、常に持っていてください!』


 エディットは、それを嬉しそうに受け取るとレティシアに優しく笑いかる。


「レティ、ありがとう…レティだと思って着けておくわ…」


 そう言って今見に着けているピアスを片方を外し、レティシアが渡したピアスを着ける、ファーストピアス並に小さな宝石が付いたそのピアスは、少しだけエディットが身に着けるには幼い気がしたが、しっかりと身に着けてたことにレティシアは安堵した。



 お茶を飲みながらレティシアとエディットが会話を楽しんでると、予想していた時間より早くパトリックがエディットの部屋を訪れる。

 そして握りこぶしを作り怒りで震えながら、さらに予定より早く、ダニエルが既にこの邸宅に到着したのだと、報告をした。


(本当に人の予定とか一切考えない人なんだね…)


 その瞬間、部屋の中は殺気と警戒の空気に包み込まれる。

 そしてダニエルを出迎えるためにレティシアは、エディットと席を立ち、リタがエディットの斜め後ろを歩き、ルカがレティシアを抱いてエディットの後ろをついていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ