習慣は恐ろしい
夜な夜な、レティシアはいつもの時間に目が覚めた。
自分の気配を消しつつ目をつぶり、辺りに人の気配がないか魔力の気配がないか確認する。
ソファーに人の気配がして、ルカがいることがわかった。
(そういえば、そうだった…無意識にやってた……)
レティシアの体がソワソワしだす。
(本当に習慣って怖い…)
そう思いレティシアはルカが熟睡してるのを確認すると、気配を消したまま、そっとベッドを降りてドアへと、音を立てることもなく歩いて向かった。
レティシアはドアの前に着くと、後ろを振り返りもう一度だけ、ルカが寝てるのを確認してから静かに魔法で扉を開け部屋を出た。
(書庫は、この時間誰も居ないはずだから書庫でやるか…予備の宝石も、アイテムボックスに入ってるし例え寝ちゃっても朝に言い訳できる)
そう思いレティシアは、浮遊魔法を使ってほくそ笑みながら書庫へと向かった。
◇◇◇
書庫で準備が終わり「よし!」今から魔力を込めるぞってなった時、レティシアがあれだけ警戒してたにもかかわらず、レティシアの背後から。
「ねぇー? なーにしてんのー?」
っと声がしてレティシアは、ビクッと身を縮こませながら、恐る恐る後ろを振り返ると、ニッコリ微笑んだルカが立っていた。
でもその声も眼も全くもって、にこやかでわなく、なんなら頭に角と背後に赤い炎すら見えてきそうだとレティシアは、思った。
「なぁ? お前護衛の意味をわかってる? 起きたかと思ったら、気配を消して何も言わず、護衛を置いて部屋を出ていくって、何考えてんの??
エディット様だってまだ俺の事、いろんな意味で認めてないのお前もわかってるよね???
もし仮に俺が、お前が ” 起きた事 ” にも ” 気配を消して部屋を出た ” 事も ” 浮遊魔法を使ってここに来た ” 事も知らずに、お前がここで ” 朝を迎えてたら ” どうなってたと思う?
確実に俺、お前の護衛を外されてるよ??? あれれ〜??? もしかして俺に喧嘩売ってる〜? ねぇねぇ、レティシアちゃん???」
( 全部バレてる〜!)
そうレティシアが思うと、トンっとルカに頭を小突かれた。
『いったいなぁ…小突く必要ないじゃん…』
「ぁあ?」
『いえ……なんでもありません…ご迷惑おかけしました』
そう言いながらレティシアは、頭を下げた。
(私が起きた時から気がついていたのね、探知が甘かったの?)
「んで? ここで何してんの? 本を読むって感じじゃなかったよね?」
『えっと… 』
「言えないなら俺の近くでやって? 見ないように後ろ向いてるから、それが許可できる最低ライン」
『いや、多分言ったら怒るかなぁっと…』
そう言ってレティシアが困ったように笑うとルカは、溜め息をついて頭をかいた。
「部屋でも出来そうか? 部屋でもできるなら部屋に戻りたい」
『いつもは部屋でやってるから大丈夫』
「んじゃ戻るぞ」
そう言ってルカはレティシアを抱き上げると見つからないように部屋へと戻った。
◇◇◇
部屋へと戻るとレティシアは、自分達の周りに消音魔法をかける。
そしてルカに、魔力を宝石に溜めていた事と、ダミーの宝石の事、やり方やそれをやると、どんな効果があるのか事細かに説明した。
「はぁ!? お前バカじゃないのか!? 普通やらねぇよ! もう、やるな! 危ないだろ!」
『ほら! やっぱそう言うじゃない! だから言いたくないのよ!』
「言うに決まってるだろ! 何考えてんだよ!!! 魔力を使い切ったら最悪、死ぬんだぞ!!! 本当にわかってんのか?!」
『わかってるてば! それに死なないよ! 危なくなったら自分でわかるし保険だってかけてるから!』
「感じるじゃダメなんだよ! 体内にある魔力がある程度減って少なくなったら、普通は危険だから魔法を使うの辞めるんだよ! ギリギリまで使うとか魔物討伐で危険な時だけだ!」
『……視えるから問題ない……』
「はっ?」
『魔力量視えるから問題ないって言ったの…視ようと思えば覗ける…』
「マジかよ……」
先程まて怒り心頭で、顔が真っ赤になってるんじゃないかと思う程、声を荒らげていたルカが、今度は口元を隠して血の気が引いたように絶句する。
『嘘偽りなく、本当です…』
「俺のも…見たのか? …だから……」
『あー…ルカのは、観てないよ? だけど瞳の揺らぎがあんまりなかった事と、あの距離を移動してこれる魔力量を持ってる事、それにモーガンより上って考えたらそうかな? って』
「そっか…やっぱお前は、ちゃんと俺を見てくれてたんだな……でも、お前…教会の奴らも、魔塔の奴らも来たんじゃないのか??」
『あー…、なんか来てたわね…だけどその時、魔力を押さえ込んでいたし、魔力測定検査や属性適性検査とか適当に引っかからない程度に、やったからいろいろと誤審してくれたよ? 私は、普通レベルの4属性って判定だったかな? 確か…だから何事もなく、ここにいるじゃない!』
「まぁ、確かにな…」
っと二人で納得した後、沈黙が流れてから二人して声を出して笑いあった。
その後ルカと話すと、ルカも魔力量が視えるらしく、夜の日課が独りぼっちから二人になった。




