護衛とレティシア
「だ・か・ら! 子供に護衛をさせてレティシアに何かあったら守りきれないって言ってるの!! モーガンを信用して無いわけじゃないけど子供には、無理よ!!! 貴方にだってわかるでしょ?!」
ルカとレティシアが部屋へと入ると、ちょうどエディットが机に手をつけて怒り心頭のようすで話してる所だった。
どうやら、いまだにレティシアの護衛の事で揉めているようだ。
「あのね、モーガン。自分の子供なら大丈夫って、そう思いたい貴方の気持ちも分かるのよ? 私にもレティシアがいるから。
それでもね? 今は貴方が頭領なんでしょ!? それならそう言う所はしっかりしなくちゃ、本当にもう…モーガンしっかりしてよ…モーガンが出来ないなら、せめてあなたの義弟でも良いわ…そもそも子供に護衛をさせるって何を考えてるのよ…信じられないわ」
エディットは、そう言うとソファーに深く座って頭を抱えながらため息をついた。
エディットの後ろで控えてるリタは、いつものように無表情で静かに立っていた。
レティシアは、その様子を黙ってみていたが、ふっとルカが気になりチラッとルカを見ると彼は、刺すような鋭い視線をモーガンに向けていた。
「いや…だから……」
っとモーガンは口ごもりながら、部屋へと入ってきたルカの方をチラチラと見ては、どうしていいか思い悩んでるみたいで、後ろにいるジョルジュをレティシアが見ると、ジョルジュは困り果てた顔をしていた。
そんな三人をみて、先程のエディットが言っていた事をレティシアが思い返していると。
「はぁ…… 」
っとレティシアの頭の上から、重たい溜め息をルカが吐き出すと、何かを言おうと口を僅かに動かした。
『ルカ!まって!』
とっさにレティシアは、ルカを止めるた。
するとルカは「どうしたの?」って表情で首を傾げながらレティシアの方に向いた。
『ねぇ、ルカ…違ったら恥ずかしいんだけど、モーガンとジョルジュの様子から考えると、ルカが今の頭領なんでしょ? なんのか知らないけど…普通家督なら当主だし……。
だからジョルジュがモーガンを呼んだのに、子供のあなたまで付いてきた。
それに庭で今回、私の護衛をする事を、まるで決定事項のように話してた理由も、ルカが頭領ならそれで説明がつく。
でもまだ…周りにも、お母様にも、それを知られたくないからその事実を隠してて、今回は、その事実を隠したまま、ルカが私の護衛をしたいって事で合ってるかな?』
そう確認するようにレティシアがルカに聞くと、ルカは少し驚いたような表情をしたが、そうだよっとでも言うように満足気にレティシアに優しく微笑んで軽く頷いた。
それを確認したレティシアは、今度は真剣な眼差しでルカをみた。
『わかった、何とかしてみる』
そうルカに伝えて今度は、レティシアはみんなに伝わるように言う。
『お母様、今回の護衛ならルカで大丈夫ですよ。むしろ私と行動するならルカの方が変に目立ちません』
「レティシア!! でも彼はまだ子供なのよ! 大人相手にレティシアを守りきれるわけが無いわ!」
急にこちらを向いたエディットが苛立ちと不安を含んだ声色でそう言い切ると、レティシアはエディットの方を真っ直ぐに向いて、真剣な面持ちでさらに、話をつづけた。
『私は、乳児ですがお母様が思ってるより最低限、自分で自分の身は守れます。それに…仮に危険だと判断した場合でも、私は護衛を見捨てて一人で逃げるような事は、しないと思います。必ずその場にとどまってその方と、どう切り抜けるか考えると思います。それなら、大人より子供の方が、もし逃げる時でも私の負担が少ないです。それとお母様、失礼ですがお母様が思ってるよりずっと、ルカは強いですよ?』
レティシアがそう言うと、ルカのレティシアを抱き上げてる腕に力が入った。
「…はぁ……レティがそこまで言うならわかったわ……」
エディットは額に手を当てて溜め息をつきながら項垂れた。
『ありがとうございます、お母様。それでは、私の護衛は今回ルカで大丈夫って事で良いですか?』
「いいわよ、その代わり何かあったらすぐ2人で逃げてちょうだいね、私だってルカとレティシアに何かあったら嫌だもの…」
レティシアはエディットにそう言われると、ルカの方に顔を向けていたずらっ子のようにニコッと笑った。
ルカはそんなレティシアに対して小さく「 ありがとう 」 っと呟いた。
レティシアとルカのやり取りを、モーガンが驚いてるように見つめている事に、レティシアは気がついたがあえて知らないふりをした。
その後、部屋の事でレティシアとルカが揉めたが、ルカが頑なに譲らなかったのでレティシアが折れることになった。
(鍛錬どうしよう…ルカがいたら出来ないよなぁ……)
早めの夕食を食べて、その日は解散となった。




