心情の変化
彼の苦しみなど私には、わからない…。
そもそも人と同じ苦しみなんて他者には、わからない…。
それは、どの前世でも感じた事。
奴隷として最後を終えた人生もあったけど、他の奴隷の気持ちなんてわからない…。
よく同じ立場にならないと、わからないって思ってたけど、同じ立場になった所で心が違うから感じ方も違う、例え私が平気でも、誰かにとっては耐え難い苦痛だったりする。
そう思い考えながら、レティシアはずっと彼を抱きしめたまま、どれくらいの時間こうしていたかわからない…。
『…ごめんねッ………助けられッ…なくてッ…ごめんッ』
またレティシアの口から謝罪の言葉が溢れ出て、ルカをギュッと抱きしめる腕に力が入る。
するとレティシアの頭上から声が降ってきた。
「 え?!? えっ?? なんで泣いちゃってんの??」
ルカが慌てたように言いながらレティシアを地面へと下ろした。
「子供の泣き止ませ方とか俺、知らないよ??? どうしよう、、ね? 泣かないで??」
それでもレティシアの目から溢れる涙が止まらない。
あたふたしてるルカをみて、レティシアはルカが無理してるんじゃないだろうかっと考えると、余計つらくなり心臓を鷲掴みされたかのように胸が痛み、その胸元を抑えた。
ルカは、なかなか泣き止まないレティシアを、困ったようなそれでいてしょうがないなぁっと曖昧な表情でレティシアの涙を指で拭う。
そして少しだけ、今にも泣きだしそうな表情をしたと思ったら、優しくギュッとレティシアを抱きしめた。
「…八つ当たりだった…っと思う。…君がとても愛されてたから……でも……もう大丈夫…俺のために…ありがとうレティシア」
何かを我慢するように、時々止まりながらもルカがそう言い終わると、少しだけレティシアを抱きしめる腕に力が入ったのがわかる。
その腕が緩み、少しだけ体が離れてたと思ったらチュッと頭にキスが落ちてきた。
余りの出来事に驚き過ぎて今度は、レティシアの涙が止まる。
完全に止まった涙に変わって、レティシアは中から血が沸騰する感覚がしてくるのがわかった。
ルカは、レティシアが泣き止んだ事を確認し、そっとさらに体を離そうとするがレティシアは、手を伸ばし彼から離れないようにギュッと抱きついた。
( ダメ! いまルカから離れたら顔が赤い事がわかっちゃう! それはダメ!)
ルカは、一瞬ビクッとした後、レティシアの様子を見て今度は肩を震わせた。
『笑わないでよ! 私だってこれでも立派なレディーよ!』
レティシアがそう言うと、我慢しきれなくなったのか声を出して少年のようにルカは、笑った。
体を彼から少し体を離し、レティシアは、むーっと不貞腐れたように膨れていると。
ルカは笑いながら自分の目の縁の涙を拭う、そしてレティシアの頭に手を伸ばして。
「ごめん、ごめん」
っと、ぽんぽんっとしながら言った。
その後、ルカは、ふぅーっと心を落ち着かせるように、息を吐きだすと決意したような真剣な面持ちでレティシアの目をみた。
「ねぇ、レティシア今回俺は君の護衛をやる、この屋敷から使用人が少なくなるタイミングで何が起きるか分からないから」
そうルカに言われ「?」という顔つきでレティシアは、彼の顔をみた。
すると彼は微笑みを浮かべ。
「だけど、何があっても君を守るよオプスブルとか関係なくね。
だからさ、気が向いたらでいいんだ、気が向いたらさ、いつか君の専属護衛騎士にしてよ。
今すぐは、無理だと思うからいつかでいいよ、待ってるから」
そう言った彼の表情は頼りない普通の少年のようだった。
( この短時間でどんな心情の変化があったのだろう?)
ルカは、そう言うとレティシアを抱き上げて話し出す。
「いまさらだけど、レティシアとエディット様の髪の毛って綺麗なブルーシルバーだけど、レティシアのは、毛先に近づくにつれて瞳の色に近いんだね、すごく綺麗だよ」
っとルカは、レティシアの髪の毛を触りながら観察している。
「ルカの方が綺麗よッ」
っとぶっきらぼうにレティシアが言うとルカは、言われると思ってなかったようで、驚いたように目をパチクリとさせた後。
「そうだなっ」
っと言って笑った。
それからレティシアは、頭を撫でられながら、ルカにどうやってここまで来たかなど聴きながら、エディット達のいる部屋へと戻っていった。




