黒と赤の来客者
昨日、あの後エディットに許可を得たジョルジュがすぐさま息子のモーガンに対し、早急にフリューネ家の屋敷に来るようにっと呼び出した事と到着は、今日の夕方になると昨日レティシアはエディットと一緒に報告をもらった。
そのため今日レティシアは、書庫に行かずエディットの部屋で本を静かに読んでいる。
(それにしても、馬車で一日半くらいで来られる距離じゃないよね)
っとレティシアそう思い、先日にみたヴァルトアール帝国の地図を思い浮かべながら考える。
(私が見た事がないだけで馬車じゃない乗り物があるの? それとも過去の前世でもあった、ワープかゲートのような魔法がこちらの世界にもある? んー。もしかしたら空を飛んでやって来る? でも相当な距離があるから疲れるよね…魔力の消費も相当な量になるし…そうなると、もしかしたら馬を乗り潰してくるのかも…? それとも思ってたよりこの大陸案外小さいとか?)
そう思いながらあの距離をどうやって早く来るのか考えを巡らせてると、いつの間にかレティシアは、本を読む手が止まっていたようでリタがレティシアに紅茶をだした。
『リタ、ありがとう私リタの入れてくれる紅茶が好きよ』
「レティシアお嬢様、お褒めいただきありがとうございます。今後もエディット様とレティシアお嬢様に喜んでもらえるよう、日々精進していきます」
紅茶が入っているカップを手に取るとレティシアは、窓辺に座りながら刺繍を指してるエディットを見つめた。
レティシアは時折エディットのその様子をみて胸が暖かな気持ちになる。
(もう少し大きくなったらお母様に刺繍のやり方を教わろう…出来ない訳じゃないけどお母様と一緒に刺繍がしてみたい)
そう思いながらレティシアは手元にある本に視線を戻し再び本を読み進めていく。
夕方頃、予定通りモーガンが到着したと聞き、レティシアはリタに抱いてもらいエディットと一緒にモーガンのいる玄関ホールへと向かうが、エディットの足取りが少しだけ緊張してるようにレティシアは感じていた。
玄関ホールに到着すると、先程到着したであろう長身の男性が険しい顔をしながらジョルジュと会話をしていた。
ふっとレティシアが男性の背後に目をやると、バランスがよく整った顔立ちの良い少年が立っている。
そしてこちらに気がついたであろう少年は、男性をツンツンっと突っつき目配せをしレティシア達がいる事を男性へと伝えた。
男性はジョルジュとの会話を一度辞めると、一瞬少年の方を見て今度はエディット達がいる方を向いた、そしてエディット達の方へと向かって歩き出すと少年もついてきた。
エディットの様子を斜め後ろからレティシアが観ていると、ほんのわずかな視線などの様子から、少年とエディットが会ったことがない事がレティシアには、わかった。
レティシアはジョルジュの髪色が白髪だったので、訪ねてくるモーガンも白髪かと予想していたが、モーガンだと思われる長身の男性の髪色が焦げ茶よりの黒だった事もあり、レティシアの気持ちが高ぶる。
今までの過去にも決して居なかった訳じゃないが、やはり黒系の髪を見るとレティシアは、懐かしい気持ちが湧いてくるのだ。
男性が連れていた男の子も、髪色が黒だが長身の男性よりさらに黒くて一言で表すなら漆黒だった事もあり。
レティシアは、はしたないと思いながらも長身の男性と少年を何度も交互に見比べてしまう。
それに気がついたであろう少年は少し片眉をあげ不快そうな表情をしたが、レティシアは、感情が高ぶっていてそこまで見ていなかった。
(……うわぁ……綺麗な漆黒だわ…鼻筋や顔も整ってるし、将来絶対美男になるに違いないくらい顔がいい…もしかして、もう既に女の子とかに、騒がれてるのかしら? でもそっち側の人種だよね〜、だけど髪の毛を伸ばしたらあの顔立ちだし…お人形さんみたいな格好もできるかもしれない…。髪の毛を伸ばしてもらって着物とか着せてみたいなぁ…)
っとレティシアは考えながら彼女の中にある遠い古い記憶と彼を重ねた。
(他に転生者がいたなら、着物とかの話もできるのに…)
そう思うと少しだけレティシアは、日本にいた頃の話ができない人がいない事を残念に思った。
そこからレティシアは、長身の男性と少年の二人をよくよく観察すると二人共ジョルジュと髪の色は違ったが、ルビー色をした瞳をしていた事に気がつき、その瞳の色で彼らがジョルジュの息子達なのでは?? っという考えにたどりついた。
なぜなら赤い瞳の人間はこの国に少ないと、以前にレティシアが読んでいた本にそう書いてあったからだ、実際この屋敷でもジョルジュ以外に赤い瞳を持った人をレティシアは、まだ見たことがなかったのである。
レティシアは、二人を観ながら歴史書を読んだ時の事を思い出していた。
このヴァルトアール帝国では、黒い髪も赤い瞳も忌み嫌われる。
理由はとても簡単な話で、魔族を連想させるというものらしい。
そして魔族の上位には、黒髪をした赤目が多いのもさらに、忌み嫌われる理由になってるのであろう。
このヴァルトアール帝国に魔族はいない…過去には帝国にも魔族が住んでいた事もあるようだが、それも魔族に攻め込まれて以降、なくなったそうだ。
その時魔族を退かせる事には、成功したがたくさんの人が魔族に連れて行かれたっと歴史書に書かれていた。
(その傷跡がまだ癒えないんだろうなぁ、とは言ってもだいたい50年前の事だもんね…そんなに昔じゃないか)
「久しぶりねモーガン。ごめんなさいねぇ〜せっかくのルイズとの時間を邪魔してしまって? ところで、 そちらは?」
っといつもふわふわしているエディットが長身の男性…モーガンに対し高圧的な態度を示した。
「エディット様お久しぶりです。こちらは私とルイズの息子のルカです」
そう答えながらモーガンがルカと呼ばれた少年の肩をぽんっと軽く叩くとルカ口を開いた。
「エディット様お目にかかれて光栄でございます。
私オプスブル家モーガンの嫡男 ルカ・オプスブルでございます。
まだまだ勉強不足ではありますが、少しでもエディット様のお力になりたく本日はこちらに参りました」
そう言い終わるとルカとモーガンは、共に深々と頭を下げた。
エディットは、そんなルカをまるで品定めをするかのように観たあと短く「そう」と返すとリタに目配せをする。
するとレティシアを抱いてエディットの後ろに控えていたリタがエディットの隣に並び立った。
「我が娘、レティシアよ」
いつもより高圧的なエディットの振る舞いにレティシアは、違和感を覚えたが見た目が赤子でも前世の記憶を持った転生者だそんな事は、噯にも出さないように努力はする。
ただ挨拶は大切だと思ったレティシアは、エディットの態度を考えると甘く見られたらダメな相手なんだと認識せざる得なくなり、そんな相手に舌っ足らずな口調で会話をする訳には行かないが、そもそも普通の一歳児ってどこまで喋るっけ? と顔にはださず内心困惑していた。
『フリューネ家長女 レティシア・ルー・フリューネです。
今皆様にテレパシーを使って直接語りかけてます。
私がテレパシーを使えると言うことは、どうかまだ内密に』
そう直接頭の中に喋りかけてレティシアが伝えるとモーガンとルカは、目を大きく開けて驚きを隠せないようすでいる。
レティシアは、生後半年で喋りだしてから発音が上手にできず伝えたい事がなかなか伝わらず…かと言って赤ちゃん言葉を使いたくなくて、考え悩んだ末に過去で転生した時に使っていたテレパシーの使用を思いついた。
そもそもこの世界にテレパシーがあるのか、それすらレティシアには疑問だったが、通信魔法器具が存在していたので、大丈夫だろうと思いそれから使用している。
使用する相手は、エディットやリタそしてジョルジュとパトリックと限られていたが、レティシアは彼らとは、日頃から会話をする機会が多く、レティシアが使うテレパシーには、慣れてる。
その三人がなぜかモーガンとルカの困惑した顔に向かって勝ち誇った顔をしているのを横目でみたレティシアは。
(テレパシーは、失敗だったね…三人とも大人気ない…)
っと思って呆れてしまった。




