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【なろうラジオ大賞4】

おふだのうら

作者: 桜橋あかね

「……ねえ、あの古びたアパートの噂って知っとる?」


「何の話ね、それ」


「あそこの敷地にある『おふだ』、あれに触っちゃいけんらしいよ」


▪▪▪


とある地方に引っ越した俺。

まあ、進学した大学の近くに引っ越そうと思ったんだがな。

独り暮らしをするに最安値とまではいかないが、なるべく安いところを探していた。


で、借りたアパートは住宅街の外れにある。

若干古びた感じだが内装はそこそこ綺麗で、尚且つ近場の相場より2~3割程安値だったから、思いきって借りた。


……そこまでは良かったのだが、実のところ俺しか借りていない。

いや、部屋は何部屋かはあるんだ。

あるんだが、誰も借りていない。


大家さんにも聞いてみたが、「事情は話せんよ」の一点張りだ。

仕方がない、と割り切って大学生活に励もうと思った。


▫▫▫


それから、大学生活はそこそこ楽しい時を過ごしていた。

バンドのサークルに入って、気の合う仲間と活動もしていた。


「……せや、馬場君って他の地方から来たんやろ。今どこに住んどるん?」

一番の仲良しである、樹葉(きは)がそう聞く。


「大学の近く……ほら川沿いにある、科芽荘(しなめそう)ってとこ」


科芽荘(しなめそう)』の言葉を聞いた途端、樹葉の顔が曇る。


「どうした?」

俺はそう聞き返す。


「あ、えっとな……何でもない。そうか、そこに住んでんやな。と、ごめんな……バイトあったの思い出したわ。ほな、またな」


そう樹葉が言うと、その場を去っていく。


「……なんだ?あの態度……」


▫▫▫


それから、俺は『科芽荘しなめそう』の事が気になって仕方がない。

多分だが、樹葉のあの態度と入居者が居ない事が関係するだろう。


まあ、あの後から色んな人に聞いてみたが「知らない」の一言で済まされた。

仕方がないから、ネットで調べる事にした。


一つのサイトを見つけた。それは、オカルトサイトだ。


そこには、『科芽荘(しなめそう)』にある『おふだ』の裏を見ると呪われると書かれている。


こんなの只の噂話だろう、と考えた。

……が、ひと目確かめたい、そうも思った。

呪いとか信じないし――


それがあるのは、アパートのごみ捨て小屋にあるらしい。

部屋を出て行ってみると、裏手にあった。


「こんなもん、只の紙くず……」

剥がして裏を見ると、そこに俺の名前が―――


▫▫▫


『昨日の午後6時すぎ、市内のアパートにて大学生の遺体があったと通報がありました。警察は事件とみて、捜査をしています』

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― 新着の感想 ―
[一言] どの時点で主人公が死んでたのか気になりますねぇ。 キハさんと話していた時はまだ生きていたのかな? その時点でもう死んでたんじゃないかとか、色々考えちゃいました(^-^;
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