空色のゴム事件、その顛末
本日のお題
1.空 2.髪結い 3.紐
20XX年、急速に発達した科学技術により、「空色ゴム」という新素材を使用したヘアゴムが開発された。
空色ゴムとは、その日その時の空模様に応じて色が変化する、変わった性質を持つ素材だ。例えば快晴の時は真っ青、雨天時は黒に近いグレー、といった具合だ。
発表当時から物珍しさで話題になり、瞬く間に一大ブームを巻き起こした。一時期はヘアゴムで髪を留めていない女性を見かけることがめったになくなったとまで言われるほどだった。
しかし、そのブームは突如として終わりを告げる。きっかけは一人の女性が救急搬送されたことだった。彼女はこれまで心身ともに健康で深刻な悩みなどはなかった。ほかの女性同様毎日件のヘアゴムを使用していた。数か月後、大型台風による連日の豪雨が続くと、女性は急に大声で泣き出したり、部屋に閉じこもったりした。さらに数日後、ついには自殺を試みた。幸いすぐに発見されたこともあり一命をとりとめたが、現在も後遺症に苦しんでいるそうだ。それから間もないうちに、多くの精神的不調を訴え始め、いずれも空色ゴムを普段から愛用していたことが判明した。
その後の調査により、空色ゴムは使用し続けると空模様に精神が影響されるようになると明らかになった。快晴であれば高揚感に満たされるが、雨天または曇天時は憂鬱な気分に支配されることになる。
当然裁判が行われ、被害女性側の勝訴、開発者に対し賠償金の支払いを命じたが、依然として彼女たちの心の傷は深いままだ。ヘアゴム恐怖症となるケースも多くみられる。
一刻も早く傷が癒えることを祈るばかりである。
これは三題噺なのだろうか?不安しかない。