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1-3

 2人が見えなくなってから、私も歩き出した。足取りは重かった。自分でも自覚できるほどに。今日1日だけで色々なことがあったからかな。なんだか疲れていた。


 今までと同じだと思っていたけど、今日話していて、私は3人に対して、見えない壁を感じてしまっていた。私の考えすぎなのかもしれない。けど、胸が苦しかった。多分疲れとか、そういうものとはまた、別の理由で。


 たまには歌でも聞きながら帰ろう。多少は気が紛れるかもしれない。と、カバンからイヤホンを取り出そうとした時、今朝のチラシが目に入る。そういえば、とカバンからそれを取り出す。

 

 未来屋工房か・・・。


 改めてみると、いや改めなくても胡散臭い。と思いつつそのチラシを読み返している自分がいた。タイミング的なものもあるのかもしれない。普段なら他のチラシとかと一緒にゴミになっていただろう。

 所詮、ただのまやかしであって、真剣に考えて赴くのは違うのかもしれない。私は軽くため息をついてチラシをまたカバンにしまった。


 私は立ち止まって俯き気味だった顔を上げる。目の前には既に閉店したファミレスがあった。窓にはいくつも『空きテナント』という紙が貼られている。


 本当にここなのだろうか・・・?


 口を尖らせながら、もう一度”チラシ”の地図を確認したが、やはりここで間違いない。一応スマホでも見てみたが、はっきりじゃないにしても、ほぼここを指している。

 2階部分を見上げる。カーテンが締め切られ、中の様子は窺えない。誰かいるのだろうか。


 試しに周りを見回してみると、隣の店との間に茂みでできた細い小道がありその手前に小さく、

 『未来屋工房 この先』

 と書かれた看板が貼られてあった。手入れされていないらしく、鬱蒼と生い茂った葉に埋もれていて、よくみなければ見つけることすらできないだろう。

進んでいっても大丈夫なのだろうか。ここにきて足踏みしてしまう。いつもの悪い癖だ、ということは、自分でもよく分かっている。


 ―そもそも何故私は、結局ここに来ているのか・・・。


 あのあと、帰り道を進みながら、私の胸の奥で、もやもやしたものが晴れないままでいた。何も考えていなかったわけでもないけれど、今回皆と会った時、今までと違う感情が生まれていた。それがそのもやもやだったのだろう。


 それに加えて『未来屋工房』のことも気になっていた。そこへ行けば今の私を変えることが出来るのではないか思っている自分がいた。現在いまのメンタル的な都合を含め、所謂"藁にもすがる"という感覚に近いのかもしれなかった。たとえ、"まやかし"に過ぎなかったとしても―。


 細い小道を抜けていくと、少し広けた場所があるだけで特に何も見当たらなかった。本当にあっているのか不安になる。少しうろついてみると、丁度ファミレスの裏側にあたる場所に階段があった。それが正面から見た2階部分に繋がっているのだろう。


 他には何もなさそうだから、その階段を登るしかない。軽く息を落ち着かせてから、恐る恐る登っていって中を覗いてみる。明かりがついていなくて、どういう場所なのかを把握出来ない。本当にここで合っているのか?と、やっぱり疑ってしまう。下が潰れたファミレスなのだから、上だってもう何にも使われていないのでは・・・。


 やっぱりやめて帰ろうか。


 こんな不気味なところなら、早く立ち去りたかった。だけど、咄嗟に後戻りは出来なかった。腰が引けていたのもあるけど、それだけではない。自分の性格は自分がよく分かっているつもりだ。多分、ここで帰ったら二度とここには自分からはやってこない。だから、ちゃんと考えなければ。そこは何故か冷静になれていた。


 ここまで来てしまったのだから。いざとなったら逃げれば良いし・・・。


 と、出来もしないだろうことを、半ば自分に言い聞かせながら、試しに扉を引いてみると、甲高い音を立てながら開いた。扉を開けてそっと中に入っていった。


 「すみませーん」

 少し頑張って大きな声を出してみたが、声は闇にとけて行ってしまう。入ってしまったし、そのまま進んでみる。

 明かりのない室内は、外から光も差し込まないから余計に暗くてよく見えない。流石に時間が遅かったかもしれない。スマホのライトを起動して、足元を照らして慎重に一歩ずつ歩を進めてみる。


 入ってすぐのところに受付の様な窓口があって、そこを過ぎると待合室のような、になっていた。壁際に販売機がいくつか並び、その前に長椅子や休憩用らしいテーブルやいすが置いてあった。人の気配もない。ここは何に使われていたのだろう。


 壁伝いに細く伸びた通路が奥に続いていた。途中途中で両側に、交互にドアがいくつか並んでいる。それぞれに何の部屋か示すものはなく、中の様子を伺うことも出来ない。唯一分かったのは一番奥の部屋だけで、『未来屋工房』と書かれたネームプレートがさがっていた。


 少し悩んでしまったけど、意を決してノックをしてみる。


 ・・・。


 しばらく待っても返事はない。もう一度ノックしてみても、答えは一緒だった。

 やっぱりこんなことに頼ってちゃだめってことか。私は小さく息を吐いた。そんな非現実的なものあるはずないんだ、と諦めて引き返そうとした時、後ろで何かが鈍い音を立てた。振り返ると、扉がわずかに開いていた。どうやらカバンの持ち手がドアの取っ手に引っかかったみたいだ。

 どうしよう・・・。折角空いてくれたのだから、覗いてみようか・・・?誰もいなければ帰ればよいのだ。


 そーっと、頭だけ覗かせてみる。暗くてよくはわからなかったが、中の空気が冷たかったからしばらくの間、人はいなかったみたいだ。

 入ってしまって大丈夫だよね、とゆっくり扉を開いて足を踏み入れた時―。


 「あの」

 いきなり後方から声がして、ビクッとして慌てて振り向く。後ろには、眼鏡をかけた男性が立っていた。

 「あ・・・」

 私は不意に現れた人影に対して、どうしたら良いのか分からなくて、その場で動けなくなってしまった。

 「あの・・・」

 「あ、いや、私は、別に泥棒とか、怪しい人とかそんなんじゃなくて」

 動揺してしまったいた私は、ひとまず言い訳をしなければ、と、気がついたら咄嗟にそんなことを矢継ぎ早に発していた。


 「大丈夫です。一旦落ち着きましょう?」

 かえって怪しく見えたかも、ということに気がついたのは、男性にそう諭された時だった。

 男性は左肩を優しくポンと叩きながら、微笑みかけてくれた。

 

 そして、男性に連れられ部屋の奥にあるソファーに促され、それに腰掛けた。


 男性は温かいコーヒーをいれて私の元に持ってきてくれる。それを飲むと少しだけ落ち着いた。


 「須藤と言います。よろしくお願いします」

 男性は、そう名乗ってから名刺を渡してくれる。名刺には、

 『未来屋工房 須藤 貴人』

と書かれていた。


 「ここのことはどこで?」

 「あ、それはこれをみて」

 私は、カバンの中から今朝のチラシを出して須藤さんに見せる。

 「あぁ、なるほど」

 淡々とした反応でコーヒーを口にする須藤さんだったけど、実は嬉しいということを隠しきるには、コーヒーカップでは少し小さかったみたいだ。


 須藤さんは部屋の奥―私から見て正面―にある大きめの机を経由してから私のところへやってきた。

 「ではまずこちらに記入をお願いできますか?」

 と渡された紙は簡単なアンケートになっていた。名前や年齢、住所、などの記入項目があり、どんどん書き進めていく。その更に下に”依頼内容”と書かれた、大きなスペースが作られていた。色々考えたけど、

 『就職が出来た未来にしたい』

 とだけ書いておいた。


 「ありがとうございます」

 須藤さんと名乗った男性は、私が記入した紙を見て、なるほど、と呟やいてから、

 「依頼のお話しをさせていただく前に、ここについての説明をさせて頂きますね」

 と言って、また1枚の紙を渡されてた。そこには、

 『未来屋工房について』

 と書かれていた。


 向かいに座った須藤さんは、多分同じ紙を見ながら説明をしてくれる。

 「ここには、様々な人からの依頼が送られてきています。その中から依頼を選び達成していく、という流れとなります」

 私は相槌を打ちながら聞いていた。

 「ですがその依頼は、”遡って”から1週間以内に完了出来るものでなければなりません。簡単に説明すると、こんな感じなんですが・・・」

 続けて、何か聞きたいことがありますか、と聞かれる。だけど、イマイチピンと来なくて困ってしまう。だけど、その理由はもうわかっていた。


 「あの、”遡って”って・・・?」

 ちゃんと説明を聞いていたつもりだけど、多分、色んな言葉が引っかかってほとんど入ってきていなかったけど、特にその言葉が―でも言われてみれば、チラシにも”過去を変え”と書かれていた気がする。真に受けていなかったけど、でも、まさかそんなことが現実で・・・?


 「そうですね。確かに、その説明は先にしておいた方が良いですね」

 須藤さんは"そのこと"を覚えているのか、気づいているのか分からないけど、そう返してくれた。

 「実際に見てもらった方が早いかもしれませんね」

 と、突然立ち上がると、別の部屋へと案内された。事務所の部屋を出てすぐ左側にある部屋だった。


 部屋は薄暗かった。あまり広くはなく、私が住んでいる家の部屋くらいか。1人暮らしの部屋なら少し狭いくらいの広さな気がする。そしてそこには、なんだかごつくて厳つい機械が置かれていた。ついている扉も半透明で、中はなんとなくしか分からない。


 何の機械なんだろう。部屋の広さや雰囲気にはおおよそ似つかわしくないものに感じた。いや、あまり綺麗にはされていないし、そこまで似合わないこともないか?


 「これは・・・?」

 「これがタイムマシンですよ。一応」

 「これが・・・」

 本当にタイムマシンって存在するんだ。それが最初の感想だった。呆気に取られた、という感覚が近いかもしれない。想像していた、イメージしていたものよりも凄く機械的な気がした。映画やらアニメの見すぎなだけだろうか。


 だけど、

 『これがタイムマシンです』

 そうなんですか、答えはするけど、素直に信じてはいない。むしろ信じる人の方が少ないだろう。新手の宗教、的な何かの可能性だってある。”一応”という言い方も引っかかるし。


 「仕組みを説明しますと、まず中に置いてある椅子に座ってヘルメットを被ってもらいます。そのヘルメットを通してこちらから、依頼に関わるデータを送り込みます。すると、依頼された日時まで遡れる、という仕組みになっています」

 須藤さんはそう言いながら機械の外側にあるパソコンに触れる。機械とパソコンはコードで繋がれていた。

 「なるほど」

 と返すけれど、話半分にしか聞けていなかった。仕組みを理解は出来たとしても、だからタイムスリップが出来る、という確証にはならないのではないだろうか。


 「あ、あの・・・」

 部屋に戻ってきてから、私は恐る恐る尋ねてみる。

 「なんでしょう」

 「えっと、本当にタイムスリップなんて出来るのでしょうか・・・?」

 正直、胡散臭くて、やはりいきなりそんな話をされてもすんなり信じろ、という方が難しいのではないだろうか。


 「まぁ、今の話だけ聞いたら、私は頭のおかしい人間だと思うかもしれないですね。否定はしませんよ」

 須藤さんは表情ひとつ崩さない。いや別にそこまで言ったつもりはないんだけど・・・。

 「そうですね・・・。もし良ければここで1度働いてみませんか?いや、違いますね。依頼をひとつ受けてみる、所謂、研修のような形をとるというのは、どうですか?」

 「研修?」

 私には咄嗟に理解することが出来なかった。


 「仕事のことで悩んでいるということでしたよね」

 そこまで言われて、なんとなく合点がいったけれど、なんだかしっくりこないというか・・・。

 「大丈夫です。身の安全に問題のない依頼を選びますので、そこは安心してください」

 安心してください、って言われてもなぁ。ただ、ここまで言ってくれるということは本当に大丈夫ということなのか?いや、でもさっき会ったばかりの人を信用しても良いのだろうか。


 「まぁ、安心しろ、と言われても、そんな簡単には安心出来ませんよね」

 須藤さんは苦笑したあと、腕を組みながら顎に手をやり、うーん、と何やら考えている。


 本当にこの人は悪い人では無いのかもしれない、となんとなくだけど思った。ハッキリとした根拠はないけど、ここまで話してくれて、実は悪い人だったとしたら嫌だなって思った。私って単純なのかな・・・。


 「本当に、安全なんですよね?」

 疑っているわけでは・・・いや、疑っているけど、から改めて聞いてみる。

 「安全です。まぁ依頼の内容による、としか言えませんけど。基本的には安心してもらっても大丈夫です」

 私も何度もやっていますから、という須藤さんは、クールでありながらどこか安心させられるような雰囲気を醸し出している様な気がした。

 

 「そうですか。えっと、わかりました。あの、じゃあよろしくお願いします」

 こんな簡単に決めても良いことでは無いけど、今の状況じゃあ時間かけても変わらないだろうし、まぁ、大丈夫じゃないならまた、その時考えれば良いかな。まだはっきり気持ちの整理はついていないけれど。


「ありがとうございます。では早速ですが、依頼の説明を進めて行きましょう」

 私の答えを聞くや否やそう言って机の方へと向かっていってしまう。

 あれ、もしかしたら私、やっぱり騙されてるのかもしれない、なんて、ことが頭をよぎってしまう。それ程の切り替え早さに感じた。


 須藤さんがパソコンをカタカタと弄ると、少しして近くの壁際に置いてあったプリンターが突然動き始め、一枚の紙が出てきた。須藤さんはそれをとって私の前に置いた。

 「未来屋工房ここでの仕事は、『依頼人からの依頼を受けて遂行する』ということになります」

 須藤さんは紙を手に持ちながら説明してくれる。多分同じ紙を見ているのだろう。

 すると急にまた一度パソコンの方へ戻り、紙をもう1枚コピーして持ってきてくれる。また渡された紙にはタイトルと依頼人の名前がずらりと並べられていた。

 「先程も説明しましたが、ここには依頼が送られてきます。その紙に載っているものは、その送られてきた依頼をリスト化してみたものです」

 リストを見ると、メールの羅列とも、何かのWebサイトの目次ページようにも見える。構図やデザインはシンプルで、少し素人が作った感はあるけど。


 「調べたら出てくるんですか?」

 「はい、一応ここのページは、”ネットで探す”と出てくるようにはなっています」

 「一応?」

 「はい」

 須藤さんは答えてくれたのはそれだけだった。同時にそれ以上のやり取りは許さない、というような威圧感を、”確か”に感じた"気がした”から、私はなにも聞けなかった。

 それにさっきから"一応"と言っていることが引っかかっている。本当に安心してもよいのだろうか・・・。


 「この『必要予定日数』ってなんですか?」

 とりあえず早く話題を変えよう、と渡された紙に目線を写す。その中にタイトルや名前の横に、必要予定日数、と一緒に見慣れない文字が書かれていた。その横に日にちがそれぞれ書かれている。

 「それは、その依頼の内容に対して、どのくらいの期間でその依頼を遂行できるだろうか、必要であろうか、の大よその目安の日数です。難易度、と言った方が分かりやすいですかね」


 少ない日にちのものは、時間があまりかからない、どちらかと難易度が易しめのもの、最短で1日。それに対して、長くかかるものはその通り時間を要すると予想される内容のもので、最大で7日で振り分けられる、との事―ただ、1日で済む依頼も7日かかる依頼も滅多になく、基本は2日から6日の間でわけられるらしい。


 「とりあえず、今回は比較的易し目のものをこちらで選んでおきました」

 とまた新しい紙を渡される。そこには、依頼人の名前や年齢、依頼の内容が書かれていた。

 見ながら、研修といって依頼を私が請けるのは問題ないことなのか、という疑問が生まれる。


 「何か聞きたいことはありますか?」

 「え、えーっと・・・」

 見透かされているかのようなタイミングで聞かれたから、少し焦ってしまう。


 「研修って、正直そういうスタンス、というかカタチで依頼を受けてしまっても良いのかな、って」

 「うーん、まぁ、大丈夫では無いでしょうか」

 え、なんか急に適当・・・?


 「決して無責任な意味ではなくて。 実際難易度は低めと判断されていますし、こちらとしてもあなたに請けて貰って大丈夫と判断していますので、問題ありませんよ」

 須藤さんは優しくそうつけ加えた。須藤さんなりの考えがあってということか。適当なんてことはなく、失礼なことを考えてしまった自分を恥じたい。


 「他は大丈夫ですか?」

 色々聞いておいた方が良いのかもしれないけど、かえって余計なことを考えてしまうだろう。そうしたらもっと訳分からなくなるし悩んでしまうかもしれない。

 私は、大丈夫です、と頷いた。


 それから私はまた、"タイムマシン"のある部屋へ案内される。

 もう始めてしまうのか、展開の早さについていけていなかった。


 半透明な扉を開けると、マッサージチェアをみたいな椅子が置かれていた。外側と違ってシンプルだったから、なんだか拍子抜けする。そこに座るように促された。一見すると普通の椅子だけれど、これからのことを考えるとそうは思えなくて、私はびくびくしながらゆっくり慎重に座って見る。


 なんだか落ち着かない。扉はまた開いているけど、中はそこまで広くはないから妙な圧迫感がある。

 「では、固定していきますね」

 須藤さんが言うと外側で何か操作していた。すると腕や足を固定される。それから中に戻ってきて頭にもヘルメットが被せられた。

 そこまでするの?いや、ヘルメットは聞いてたけど、手も足も?どういう状況なんだ、これは。やらしいことされたりしないよね・・・。ますます不安になってきた。

 「あ、あの」

 「はい?」

 須藤さんのことなげな声が聞こえる。どうやらヘルメットの様子をみているようだった。

 「あの、大丈夫ですよね・・・」

 私は固定されて動かない首のまま心配になって聞いてみる。まぁ、今更大丈夫じゃない、なんて言わないだろうし、言われても困るのだけれど。


 「はい、大丈夫です。あ、でも」

 こちらを覗き込みながら須藤さんは答える。

 「で、でも?」

 しかし、それ以上須藤さんは何も言ってくれない。

 「え、なんですか?」

 「ん?あぁ、いえ。大丈夫ですよ」

 たまにこういうことする人いるけど、ただでさえ不安なのに、更に不安になるからやめて欲しい。

 「言ってくださいよ」

 「大丈夫です、気にしないでください」

 気にしないで、と言われて、素直に気にしない人なんていないだろう。


 とはいっても、それ以上粘ったところで教えてくれなそうだし、頑張って考えないようにしよう。

 「では、はじめますね」

 早速須藤さんは次の行動へ移っていってしまう。そして言い終えるが早いか、どんどん頭締め付けられていく。心の準備をする間もなく、徐々に耐えるのも辛いくらいの痛みに襲われる。最早他のことを考える余裕もない。

 

 次第に意識が遠のいていく。


 そして次に目を開けた時には―。

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