第2話 バイト探し
冒険者――罠士になり早三日。
未だに冒険してません。
仕方のない部分がある。あり過ぎる。
まず、罠士とは罠を張り、相手に先制攻撃を仕掛けたりする人のことである。
その罠を買うには、当然お金がいるわけだが……生憎、俺は無一文。
つまり、俺がこのまま冒険に行ったら、手ぶらも手ぶら。
身体能力が雑魚な俺は、魔物に襲われて即死確定だ。
手ぶらで受けられる容易なクエストもあるにはあるが、途中で魔物に遭遇する確率が高いとのこと。
無理です。死にます。
というわけで、俺は真っ先に仕事を探した。
生きていくには、お金を稼がなければならない。
お金があれば、いい装備だって買える。いい宿にだって泊まれるし、おいしいものも食べられる。
協会のお姉さんに仕事を紹介してもらい、いくつかの候補の中から、自分にできそうなものを選ぶ。
・土木作業員
・飲食店店員
・清掃員
これが絞りに絞った候補。全部で三つ。どれもアルバイトだ。
できれば、早めにたくさん稼ぎたい。この際だ、掛け持ちでもいいと考えている。
「順番に回るしかないか……」
「ハァ〜」と、道を歩きながら吐息を吐く。
早く稼がないと本気でヤバい。
昨日だって、冒険者の人たちに頭を下げてお金を借り、なんとか飯を食べた。水は飲食店で無料だったから飲ませてもらった。……乞食じゃねぇか。
夜は路地裏。
少し戸惑ったが、仕方がないと自分に言い聞かせ、そこで一夜を明かした。とにかく臭かった。ネズミやハエなど、害虫が飛び回る音が絶えず聞こえてきた。眠れるわけがない。
冒険者になればいろいろと援助を受けられるのかと思っていたが、そんな優しい設定は無かった。
このままじゃ死んじゃう。
早くお金を稼がなければ。
「一つ目は、土木作業員か」
土木作業員は、街の外壁や建物の建設、修繕などを主にしている。重い土や石、道具を運んだり、長時間の肉体労働となる。
主に、筋力が求められる職だ。
他にも、建物の設計を考えたりする建築士もあるが、そんなものはわからないため、さようなら。
俺の筋力値はカスだ。
すぐにクビなる可能性は大。
採用すらしてもらえないかもしれない。
だが、俺には奥の手がある。
中学の時に学んだ理科――物理の数々だ。
梃子や動滑車を使えば仕事が楽になるぜ、なんて言えば、涙を流して感謝も感謝。
採用確定。
イケるな。
「ここか」
街の端――外壁の近くに、石と木を使って頑丈に建てられた大きめの建物が、ずっしりと佇んでいた。
店の名前は、〈ドイド土木店〉。
外からでもわかる。
ヤバい奴らがたくさんいる……感じがする。
きっと筋骨隆々で強面のおじさんたちがたくさんいるのだろう。
アウトレイジじゃないことを祈る。
ドアをノックし、恐る恐る扉を開ける。
「あ、あのー、すいません。こちらで、アルバイトをしたいのですが……」
「……あぁ?……ああ、バイトか。
おい!バイトしてぇって奴が来たぞ!」
机の上にズッシリと腰を下ろしていた巨漢が、奥の方に向かい声を張り上げる。
部屋中に声が響き渡り、一気に緊張が更に増していくのを感じた。
しばらくすると、奥の部屋から三メートルは優に超えているであろう大男が現れた。
カラダはもちろん、腕や脚も太い。筋肉なのだろう。
俺の世界だったら、世界記録は余裕だな。
巨人族ってやつかな?ていうかいるのかな、巨人族って。
「ケンさん、コイツがバイト希望ってよ。相手してやってくれ」
「バイト希望か。こっちへ来い」
「はいっ……」
黙ってついて行く。
怖くて声が出にくい。
少し機嫌を損ねただけでもミンチにされそうだ。
何なんだよ、あの上腕二頭筋は。タンクトップを着ているせいで、腕の筋肉が丸見えだ。
ちなみに、名前はケンさんと言うらしい。
案内された部屋へと入る。
案外、きちんとした部屋だった。
綺麗に並べられた机椅子、花壇の飾り、窓から光も差し込み、好印象を与える。
「座れ」と言われ椅子に座る。
「早速だが、ステータスを見せろ」
そう言われ、俺はポケットから冒険者カードを取り出し、渡す。
しばらく、沈黙が続く。
俺のステータスを見ているためだ。
またしばらくすると、ケンさんは冒険者カードを俺に返し、俺の顔を見た。
早速本題に入る、みたいな顔をしている。
俺は背筋を伸ばし、身構えるようにケンさんの顔を見た。
バイトなんて元の世界ではやったことないが、面接は自信がないわけじゃない。俺は一発本番の方が得意なのだ。
どんとこい!
「バイトだって話だが……オマエには無理だ」
「…………え? え、ちょっ……む、無理って、そんな急に言われても……!」
何も言っていないのに、即断られた。
面接するんじゃなかったの?
いろいろ質問とかされて、それに答えて、そこから決めるんじゃないの?
「ステータスを見た感じ、オマエに力仕事は無理だ。筋力だけならまだしも、その他のステータスも平均より大幅に劣っている。これじゃあ、オマエにできる仕事は無い」
キッパリと言い切った。
た、確かに、そうかも知れないけど……。
だが大丈夫。俺には禁断の切り札がある。
「待ってください。話を聞いてください。
僕がこの会社に入った暁には、仕事が捗るも捗るアイデアをお教えしましょう」
自信に満ちたドヤ顔で、俺はそう言う。
「ほう。言ってみろ」
「梃子って知ってます?」
「ああ、知ってる。重い物を動かす時には、便利だからな」
よっし!そしてそのまま……って、今なんて?
え、……梃子知ってる? う、嘘つけ。
「……え、あ、あのー、そのー、
えっと……、梃子、知ってる?」
「ああ、知ってる」
な、ならこれならどうだ。
俺の知識はこれだけではない!
中学で俺が苦労に苦労して覚えた理科用語はこれだけではないぞ。
舐めるなよ!!
「動滑車、と言うものをご存知ですか?」
「ああ、知ってる」
ふふん、やはりか!ならこの俺が……って、
あれ?動滑車知ってる?
いや、これは何かの聞き間違えだ。
最近、耳掃除してなかったしな。
もう一度、落ち着いて、耳の穴を全開にしてよく聴くんだ。
「動滑車、と言うものをご存知ですか?」
「ああ、知ってる」
……。
なんで知ってんの?
異世界ってもっとこう、あんまり技術とか進歩してないんでしょ?
街とか見た感じ、そんな感じだったし。
魔法に頼っているから、知らないと思ってたのに……。
「バイトは無理だ。悪いが帰ってくれ。
最近、ゴタついてんだよ。星降りもあったしな」
「……星降り?
なんですか? それ」
ケンさんは面倒くさそうな顔になるも、説明を始めた。
「……星降りってのは、その名の通り星が降るってことだよ。神神の贈り物、なんて言われてる。今回は不発だったがな。
四日前に、その星降りがあった。それもこの街の近くでな。だから、オレたちは今忙しいんだ。ていうかオマエさん、そんなことも知らねえのか?」
「い、田舎者なので……」
ここも田舎者という設定で行こう。いや、これからもこの設定は離さない。大事に使おう。重宝しよう。
「で、まだ何か用はあるか?」
ケンさんは俺を軽く睨んできた。
ただでさえ怖い顔が、更に怖くなっている。
大きな大きな鬼にすら見えてきた。
このまま粘り続けても、火に油を注ぐように、ケンさんの怒りパラメーターを上げるだけだ。
このままじゃ、本当にミンチにされてしまう。
「さ、さようならー」
このバイトはやめとこ。
*******************
どうやら、俺が中学で習った叡智の数々は、この世界では通用しないらしい。
街並みは完全に中世ヨーロッパ時代のものだったため、油断していた。
土木作業員は諦め、俺は次の候補である飲食店の店員になろうと思う。
それがダメなら、清掃員しかない。
それもダメだったら、諦めてクエストを受けようと思う。もちろん、死なない可能性の高いやつを受けるが。
飲食店は、冒険者協会の近くにある酒場だ。
店の名前は、〈ハンデリィ〉。
この街に住む人の多くが、この酒場に行くらしい。
協会に行く通り道、見たことはある。協会との距離もかなり近く、立ち寄り易いのだろう。
昨日と一昨日はここで晩飯を食べた。
かなり大きい、四階建てだ。
一階と二階は酒場、三、四階は宿屋になっている。
中に入ると、その奥行きの広さに驚かされる。一階だけでも、相当な人数が入る。
……酒場に宿って、絶対酒飲んでイイ雰囲気になった奴らが、あんなことやそんなことをするやつじゃん。
リア充め。羨ましい。
ドイドの土木店からハンデリィまで、かなりの距離があった。
ドイドの土木店は、この街の西端に位置しており、対するハンデリィはこの街の中心部にある。
この街――オルダムは円状になっており、端から端までの距離は約七キロほど。
この街、かなり大きくないか?
他の街がどのくらいの大きさなのかわからないため、はっきりとは言えないが、かなり大きな街だと思う。
「着いたぁ……」
最近は全く運動していなかったこともあり、かなり疲れた。約半年間部屋に引きこっていたせいだろうか。
俺はハンデリィの前で荒い息遣いをする。
歩いてこれとは……。
そう言えば、異世界に来てから、疲れやすくなった気がする。昨日も、少し街を歩き回っただけで、すぐに息切れした。
元の世界では、片道三キロの本屋まで歩いて行っても息切れなんてしなかった。
なのに、今は――。
俺はしばらく休憩し、呼吸を整える。
――異世界の酒場。
これは憧れであり、夢である。
異世界の酒場と言えば、冒険者がクエストのクリアを祝い酒を飲んだり、話し合いの場として利用している施設。
いろんな人がいるため、いざこざが起きることもあるが、いい場所だと俺は思っている。
そんな場所に、俺は今から入る。
「失礼しまーす」
飲食店には自信がある。
人と話すのは得意じゃないが、できないわけじゃない。
国語のおかげで、ていねい語は割とできる……はずだ。
些細なミスをしなければ、採用してくれるだろう。
そう思い、俺は中へと入っていった。
*******************
「………」
夕日に照らされる男――俺の顔は、怒りと悲しみに染まっている。
だって、バイト落とされたんだもん。
マジでふざけんな。筋力値が低いからって理由で即落としやがって。
少しは考えろよ。
大体、飲食業に筋力なんているか?
飲食業で大切なのは、料理の腕前と接客じゃないの?
まずい飯が出されれば嫌だし、店員の接客態度が悪いと来たくなくなるだろ?
「なのに、筋力が弱いから……!? ふざけんな!」
落とされた時、俺はすぐに抗議した。
筋力値で判断するのはおかしい、と。
そして何を言われようとも、俺は言い返して論破してやろうと思っていた。
なのに、返ってきた言葉に俺は言葉を失う。
『酒場での喧嘩は日常茶飯事だ。その喧嘩も止められんような奴は、邪魔でしかない。今足りねぇ人手は、喧嘩を止める奴だ。ウェイトレスや料理人は間に合ってる』
それを聞いた俺は恥ずかしくなり、黙ってその場を去った。
確かにそうだ。クエストで仲間が死んだり、仲間割れしたりと、いろんなイザコザがあるのは当たり前だ。
酒を飲んだ時、酔った勢いで本音を言って喧嘩になる。
これが日常茶飯事。
接客も料理も特に問題ないと言われた俺だったが、筋力値のせいで落とされた。
逆に、筋力値が高ければ、料理が下手だろうが接客が悪かろうが受かるらしい。
道理で、マッチョな店員が多いわけだ。
料理や接客は、ベテランさんがやるから要らないだとさ。
「ああ……どうしよう……」
俺は弱々しく呻く。
夕日に染まった空を見上げる。
時刻はもう夕方。
最後の候補には間に合うかわからない。
閉店時間はわからないため、今行っても閉まっているかも知れない。
この世界の人は皆、活動を始めるのが早い分、終わるのが早い。
朝なんて、7時になれば昼間と変わらない人通りになっており、夜は23時ぐらいになると、ほとんど人はいない。(酒場以外だが)
早寝早起きがハンパない。
遅寝遅起きだった俺からしてみれば、真逆のためキツすぎる。
帰るなら早めの方がいい。
……帰る? あの臭い路地裏に?
違うだろ。俺の帰る場所はそんな所じゃないだろ。ていうか、あそこ俺の家じゃねぇし。
お金を手に入れて、道具揃えて、冒険行って、更にお金を稼ぐ。
それが今の目標だ。
金さえあれば宿に泊まれるし、飯だってたらふく食える。
ずっと夢見てきたんじゃないか。
異世界行って、冒険して、楽しむって。
それが近くまで来てる。すぐそこまで見えてる。
手に入れないでどうする。
やろう。やるんだよ。やらなきゃ死ぬんだよ。
「掃除屋、行くか……」
そう呟き、俺は再び歩き始めた。
*******************
もう閉まってるかもしれないが、俺は最後の候補の店まで行くことにした。
どうせ帰る場所も金も無いし、ラノベに漫画、アニメも何も無いから暇だしな。
最後の候補は、清掃員。
店の名前は、〈ソレーヌの掃除屋〉。
場所は、オルダムの東部――東区に位置している。
時刻は17時を回ったところだ。
開いてるかな、と思いつつも店の扉をコンコンとノックし、ドアを開ける。
「すいませーん」
ドアを開けると、そこにはいろんな道具や家具が置いてあった。
名前などはわからないが、たくさんの品が棚に並んでいる。
魔道具とかあるのかな?掃除屋にそんな物あるのか?
そして、店の奥の方にあるカウンターに、一人のおばちゃんが鎮座していた。
見た目でかなり歳をとっているのはわかる。六十代くらいだろうか。
だが、年配にしてはかなり背が高い。
俺より圧倒的に大きい。座っている状態でも、それがわかる。175センチくらいはあるんじゃないだろうか。
白髪になってきているのだろうか、髪が鼠色だ。
顔は少し下を向いており、赤い眼鏡を掛けている。
「――――」
反応は無い。
こちらには目もくれない……というか、寝てない?
俺はカウンターに向かい一直線に進む。
中はそこまで広くはない。十二畳ほどだ。
カウンターに着くと、深く息を吸う。
「すいません。アルバイトの募集をしていると聞いたので、伺ったんですが……」
「――――」
……あれ、何も言わない。
目は俺の方を向いたが、何も言ってくれない。
「すいません。バイトの募集を見て来たんですけど……」
「――――」
あ、あれ、聞こえてないのか?
「すいません!バイトの募集をしていると!聞いたので!来ました!」
俺は声の音量を上げ、区切りながらも精一杯声を出す。
「――――」
無反応。
これはあれだ。あれに違いない。
難聴だ。
歳だからな。仕方ないよな。
難聴相手にはこうしてあげないとな。
「すい!ません!バイト!しに!きました!!」
おばちゃんに顔を近づけ、更に大きな声を出して言ってみた。
「――――」
おい、これはひどいなんて話じゃないぞ。
異常だ。異常。
かなりの重症だな。
そして、数十分後。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
このばあちゃん、全く聞こえてない。
もう三十回は言ったはずなのに、一向に返事が返ってこない。
ずっと斜め下を向いたまま、1ミリも動かない。
「す!い!ま!せ!ん!バ!イ!ト!」
「――――」
「おいゴラ、いい加減喋れよこの難聴ババア」
「ん?誰が難聴ババアだ?」
……。……?……!?
「あ、き、聞き間違え……じゃ、ない……ですかね?」
「へぇ。聞き間違えか。
ワタシャ確かに「おいゴラ、いい加減喋れよこの難聴ババア」って聞こえたんじゃがなぁ?」
「す、すいませんでしたああぁぁあああああ!!」
俺はこれまでの人生の中で最も大きく、誠意のある言葉と共に土下座をした。
********************
「本当に、すいませんでした」
俺は、もう一度頭を下げる。
どうやら、このおばちゃんは難聴じゃないらしい。
始めから全部聞こえていたのだとか。
「じゃあ、なんで一回目で反応してくれないんだよ」と訊いたら、「誠意を試してたんじゃよ」と言ってきて殴ろうかと思った。
俺は何度も謝り、なんとか許してもらった。
そして、今はバイトの話をしている。
「改めまして、バイトをしに来ました。雇ってください、お願いします。もう後がないんです」
「いいぞ」
アッサリと、俺の願いは受け入れられた。
「…………え、いいの?」
「なんだ、嫌なのか?」
「あっ、ありがとうございますっ!」
どうしよう、まさか本当に採用されるなんて思ってなかったから、嬉しすぎて涙が出そうだ。
今回も筋力が無いからとか言われて、不採用になるオチかと思っていた。
やっと職を見つけた。
これで生きていける。
飯も食えるし宿にも泊まれる。
「で、でも、いきなりオッケーしちゃって大丈夫なんですか? 俺、筋力値カスですよ?」
「筋力値なんて要らんしどうでもいい。大事なのは、どれだけ綺麗にできるかじゃ」
なるほど。
つまり、めちゃくちゃ綺麗にできれば給料アップも考えられるな。
「やる気は誰よりもあります。どんな仕事でも、完璧にこなして見せます!」
俺が唯一まともにできるものと言えば、掃除くらいしかない。
自分の部屋もかなり綺麗にしていた。
俺は綺麗好きなのだ。
「と、ところで、お給料はどのくらい……?」
「そうじゃな……一日十時間で2500ミリンじゃな」
「低くすぎだろ!労働基準法に反してる!」
「あぁ?」
「な、なんでもないです……」
威圧されるような目つきで見られ、怖気てしまった。
十時間働いて2500ミリンって、1ミリンが1円だから、日本円に換算すると時給250円ってことでしょ?
少なくね?労働基準法とかないの?ないか。あるわけないよね。それが異世界の良いところでもあるが……。
普通バイト代って時給700〜1000円とかじゃないの? 地域によって違うらしいけど。
……雇ってくれるだけマシか。
「やるのか?やらんのか?」
「や、やります。やらせていただきます」
これ以外に職は見つからないだろう。我慢するしかない。
冒険に必要なお金が貯まるまでの辛抱だ。
肉体労働だろうが頑張って耐えよう。
「で、仕事はどんなことを?」
「基本的には、依頼による掃除じゃ。
冒険者協会には掃除の依頼をすることができない代わりに、ここで依頼をするんじゃよ」
なるほど。
それなら依頼が全く来ず、ただ座っているだけにならないと言うことか。
「依頼がない日の給料は?」
「もちろん、ゼロじゃよ」
……ですよね。
「明日から、もう普通に出勤していいんですか?
掃除のやり方とか、そういうのを教わったりは?」
「ないよ、そんなもん。ただ普通に掃除してくれたらそれでいい。綺麗になってれば、文句は言わんよ」
おお、これは案外楽な仕事かもなしれない。面倒なことをするのかと思っていたが、これならいけるな。
というわけで、やっと職が見つかりました。