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最終話 村への帰還

 王都での式典やら、エルフィリアが生きていたことに対する後始末。

 それらを一通り終えた俺は、エルフィリア、ワーグ、クージーQキュー、ウサウサを連れて故郷の村に帰ってきた。

 それにしても、まだ昼間だってのに畑で作業する人間が見えないな。


 「ここがシーザとワーグの故郷? 本当に何もない所ねぇ。畑ばっかりで建物なんてないじゃない」


 「畑に住居なんてないのは当たり前だろ。もうちっと行ったら村落があるよ」


 「私、村に行ってもいいのかな。こんな姿になっちゃったのに、村のみんなに見せるのは恥ずかしい」


 「アタシはワーグちゃんの竜人の姿も可愛いと思うけどな。背中の翼もカッコイイし」


 「魔王と戦うためにその姿になったって言えばよろしいのですよ。魔王を倒したメンバーなら、箔がつきますよ」


 そんな話をしながら故郷の村を歩いていると、向こうから誰かが俺の名を呼びながら駆けてきた。

 そいつの姿が見えたとき、俺はなつかしさについ駆けだした。


 「マルク! 久しぶりだなぁ。こっちは変わりないか?」


 俺の親友のマルク。

 村にいた時はいつも揃って【疾風の仕事屋】の下っ端をしていた親友だ。

 村を出てまだ半年程度しかたってないのに、十数年ぶりに再会したような気さえする。


 「い、いや、こっちはメッシーナさんはじめ【疾風の仕事屋】の大半がいなくて、仕事が大変になったけどさ。それよりシーザ! その立派な服。君が勇者になったってのは本当なのかい!?」


 「まぁ、な。村を出てサポートの仕事をしているうち、いろいろあって、勇者になって、魔王を倒しちまった」


 「えええええっ!!!? 何がどうなったら、勇者のサポートが、勇者そのものになっちゃうんだい!? ヒュトロハイム様の言うことでも、信じられなかったよ! 村のみんなも、大騒ぎになってさ」


 「ああ。畑に人がいないのは、ヒュトロハイムが集めているからか?」


 「ああ、そうだよ。って、お前! ヒュトロハイム様を呼び捨てなんかにして!」


 「もう俺はヒュトロハイムと同じ騎士身分になった。その辺に気を使うことは必要なくなった」


 ポカーン。

 マルクは面白いくらいに口を大きく開けて俺を見つめた。


 「でもな……メッシーナさんはじめ、他のみんなは帰れなかったよ。アカラチア山の試練で亡くなってな」


 「そう、か……家族の人達、悲しむだろうな。シーザの華々しい活躍で、みんな帰ってくると思っているのに」


 「メッシーナさん達を殺した奴は俺が倒した。でも何のなぐさめにもならないだろうな。だから国王陛下から賜った報奨金は村のみんなへ渡す。亡くなった人の家族に多めに分けよう」


 「なんだか、すっかり立派になったねぇシーザ。それで、後ろのお嬢さんたちは? ハッ! まさか、勇者様になったから、ハーレムとか作ったのか!?」


 「勇者でもハーレムは作らん。俺は魔王を倒したあと、スキード・ワゴン財団に入ることになった。で、村の挨拶をすませたら、この近辺の森の調査クエストを命じられている。彼女らは俺のパーティーメンバーさ」


 俺以外みんな女性だから、勇者ハーレムパーティーに見られてしまうが。


 「えええっ!? スキード・ワゴンって、あの世界一の冒険者スキード・ワゴン!? 君はいま、彼の元で冒険者をしてるのかい!?」


 「ああ。魔王討伐にいろいろ力を貸してもらった縁でな。まぁ、詳しい話は村のみんなの前でしてやるよ」


 「ああっ! そうだ、僕はシーザを急いで連れてかなきゃならなかったんだ! ヒュトロハイム様も、村のみんなも、集会所で待ちわびているんだよ!」


 「わかったよ。つい懐かしさに村を見たくて馬車を降りてしまったが、そんな暇もなかったな。急ごう、みんな!」


 と、俺はエルフィリアの体調を思い出した。

 彼女は今現在も心臓の修復中で、激しい運動はできないはずだ。


 「エルフィリア、君は俺の腕へ」


 「ええ。お願いします、シーザ」


 俺は彼女をお姫様だっこで抱きかかえる。

 だが、彼女は魔王討伐の助力をした聖女様という説得力を持たせるため、指輪の魔導具アーティファクトで大人の姿になっている。

 その彼女をお姫様だっこして駆けて、村のみんなの前に出るのは恥ずかしいな。


 「ふふっ、じつに勇者らしい凱旋になりましたね。貴族の姫を抱きかかえて帰るなんて」


 「言うな。しょうがないだろう。それじゃみんな急ぐぞ! ……マルク?」


 俺をかせたはずのマルクは、俺を見たまま固まってしまった。


 「おいおい、どうしたんだ。急ぐんじゃなかったのか?」


 「き、き、き、き、君はその彼女とどういう関係? すごく綺麗なひとがいて、さっきからずっと気になっていたんだけど、まさかシーザと人前で抱っこまでするなんて!」


 「それはどうでもいいだろう。とにかく俺達は急ぐから、固まっているなら勝手にしてくれ」


 俺達が駆けだすと、マルクもついてくる。


 「お願い、教えてシーザ! 僕、結婚相手もなかなか決まらなくて、そういうのにすごく憧れちゃうんだ! その女性も魔王討伐のご褒美にもらったのかい!?」


 ああ、そうか。

 マルクは村から出なかった俺なんだ。

 そんな未来だったら、俺も今頃、こうやって嫁さん探しに頭を悩ませていたのだろうか。

 ……少しは真面目に答えてやるか。


 「いや違う。このエルフィリアが、俺を勇者に導いてくれたのさ。冒険のはじめから、彼女は俺についてきてくれた」


 そういえば、はじめて出会って、彼女が俺について村に行くと言ったとき。

 彼女のことをやけに重く感じたな。

 

 「……そうだな。こうやって君を抱きかかえて村に帰るのが、魔王討伐クエストの終わりにふさわしいのかもしれない。今の君はこんなに軽いんだから」


 俺とエルフィリアは見つめ合って笑った。



                                おしまい




 長い間ご愛読ありがとうございました。

 これにて完結です。

 聖女とジョジョ二部と北斗への愛が行き場を求めて小説にした作品でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] >エルフィリア、ワーグ、クージーQキュー、ウサウサを連れて いつの間にか、ハーレムみたいになっていましたね。 穏やかな終わり方でした。ご苦労様でした。
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