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82話 いざ魔王討伐へ!

 壮麗な出征式。

 本来俺の身分では、国王陛下の御前では跪いて頭を下げっぱなしにしてなければいけないはずだ。

 それが他の兵士と同様に直立して参加できているのだから、大した身分になったものだ。

 いや田舎冒険者としては、王都兵士と同格でも十分だったのだが。


 「シーザ・ツェッペリ。汝、国王の命を授け勇者と認める。王国のため必ずや魔王を討ち滅ぼすと誓うか?」


 「我と勇者パーティー一同。身命を賭して国王陛下と王国に勝利をもたらすことを誓わん。魔王を討ち滅ぼし、必ずや国王陛下と王国に安寧を!」


 国王陛下の御前で跪き、教えられた通りの言葉をのたまう。

 そして国王陛下からやたら飾りの多いまったく実用に向かない剣を授かると、兵士諸君に向かって抜き掲げ、大きな雄たけびを上げる。

 それに呼応し、兵士諸君から歓声が「ウワアアアアアッ」と上がった。


 さて、俺はこの旅のはじめ、【疾風の仕事屋】という勇者パーティーのサポートを担ったパーティーの下っ端だったはずだ。

 それが何故に勇者そのものになってしまったのだろう?


 なんでもエルフィリアがスキード・ワゴンのじいさんに働きかけるよう頼み、さらにジョイスロウ殿下も推薦してくれた結果だそうだ。

 たしかにこのパーティーでは、俺はエルフィリアとジョイスロウ殿下のリーダーではあったが、まさか国王陛下の御前にまでそうなるとは思いもしなかった。



 出征式が終わり、俺たちは別行動になるクージーQキューに挨拶をしに行った。

 彼女は、前回の戦いで多くの負傷者が出たために、治癒院の助っ人に入るのだ。


 「おめでとう。大した出世ね勇者さま。私はあなた達と行けないけど、がんばってね」


 「ああ。クージーQキューも治癒院で負傷者の介護をしっかりやってくれ」


 「本当は、あなたの方が聖女にふさわしいのですがね。わたしなんかより、はるかに」


 「やめて。私なんかが魔王討伐に行ったって、足手まといになるだけだわ。エルフィリア、悔しいけど、あなたの実力は認めている。あなたなら必ず魔王を倒せるってね」


 「ありがとう。やっぱりあなたは、わたしの理想の聖女です。帰ってきたら結婚しましょう」


 「またその冗談? いい加減それやめないと、悪趣味疑われるわよ。お嫁さんの修行ならさせてあげる」


 エルフィリアは多分、本気だと思う。

 前世からの聖女嫁の執念、聖女に生まれ変わっても消えてないみたいだし。

 そこへ、やはり別行動になるスキード・ワゴンとアムドウルもやって来た。

 スキード・ワゴンは財団の総帥らしい仕立ての良い服を着ており、周りに幾人もの財団関係者らしい人間がいる。 


 「坊主に嬢ちゃん、しっかりやれ。とくに坊主。お前さんを勇者に任命させるのに、安くない札を切ったのじゃから、しっかり結果を残すんじゃぞ」


 「俺の知らない所で決められたことを持ち出されて借りにされてもな。けど、あのヤバイ魔王は放っておけない。エルフィリアの考えた作戦でしっかり消滅させてやるさ」


 アムドウルのおっさんは立派な魔法学導師の服を着ていて、一目でお偉いさんだと分かる。

 何でも魔法学院の学長の他に王家主催の学術チームを統括しているとか。

 彼はエルフィリアと話した。


 「お久しぶりですアムドウル師。前に会ったときは素性を隠していたため、ご挨拶もできず申し訳ありませんでした」


 「うむ。まさか君が、本当はまだ8歳の少女だったとはな。育成聖女の修士で君ほど優秀な者はいなかった。どういった教育を受ければ、その年でそれほどの実力を身に着けられたのかね?」


 「それは両親に聞いてください。わたしも自分の説明は難しいので」


 前世の記憶を持って神様からチート能力を授かった転生者だからな。

 その説明を専門家にするには、本当に難しいだろうな。


 

 彼らと別れて馬車発着場へとたどり着く。

 そこでは勇者パーティー【駆ける疾風】のみんなが集合して待っていた。

 明らかに俺より強い奴や偉い奴がほとんどだ。

 けど俺は、勇者になってみんなを率いていく立場になっちまった。

 やるだけやるぜ!


 「みんな待たせたな。これより俺たち【駆ける疾風】は守城関へむかう。そこで防衛線には参加せず、作戦行動のため、時間まで待機だ」


 「了解」と歴戦らしく軽快に、騎士の敬礼で応えるジョイスロウ殿下とポルマレフ。

 不承不承と嫌そうな顔で応えたのはシュウザ。

 大きな弓を掲げて応えたのはウサウサ。

 小さい声で応えたのがワーグ。

 これが新編成した【駆ける疾風】の全員だ。


 みんな、旅の途中で出会って仲間になった者たち。

 ジョイスロウ殿下は最初あんなに頼りなげだったのに、立派な王族として成長した。

 ウサウサは相変わらず可愛い女の子に弱いけど、斥候と気配探知は優秀でパーティーにいたら頼りになる奴。

 ポルマレフは最強剣士なのに、それを感じさせない明るい兄貴みたいな奴。

 再開したときは敵だったけど、いまは仲間になったワーグ。

 彼女の竜人の体を治すことが、この戦いが終わった後のクエストになるだろう。


 「【駆ける疾風】出発! 場所は【守城関】‼」


 俺とエルフィリアとウサウサとワーグはポルマレフの駆る馬車に乗って。

 ジョイスロウ殿下とシュウザは馬に乗って出発した。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] ついにシーザが勇者になっちゃった。 いやこういった成り上がり自体はよくあるストーリーだけどね。 聖女の動機がねぇ。とても他人に言えないよ。 もと弟のシーザを勇者に仕立てて手柄を立てさせて。…
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