69話 カズス猛る【カズス視点】
最終試練の場近郊の砦跡地下
あれから一夜明けた朝方。
何度目かの召喚陣を作っては、その無反応に私はあせりを感じた。
「……ダメか。幾度やろうとも、ネウディシが召喚に応じない。ネウディシの身になにかあったのだ」
そうだ。思えばネウディシがここにいないのも、あの小娘にいっぱい食わされたせいだ。
小娘は緊急事態を示すの光弾を放ったという。
その言葉で急いでこの最終試練の場に飛んできたものの、そこには緊急事態のような慌ただしい様子はまるでなく、平穏そのものであった。
たしかに小娘の言うことがハッタリだという可能性は考えた。
それでもネウディシが不覚をとるとは考えられなかった。だが……
「あの場をネウディシのみで処理可能とみたのは早計だったかもしれん。あそこにはアカラチア山で無敵の吸血鬼勇者シェインを葬ったシーザ、それにまんまと我らをあざむいた小娘がいた」
やがてこのアジトに何者かが入って来た気配がした。
それは竜の力を与えた我が僕のもの。
「カズス様」
「どうしたワーグよ。会場の方で何か動きがあったか?」
「悪いしらせです。勇者ジャウギの標的の”生死判別確認”が、死亡を示したとの報が出ました。これにより、ジャウギ殿下の第4試練突破が認められたそうです」
「なんだと⁉ それはつまり……」
その”生死判別確認”の魔法刻印は、本来のオーガからネウディシへ移している。
つまりそれは、ネウディシが討ち取られたことを示すのだ!
「そうか……そうか。やはりネウディシはやられていたか。このカズス、またしても不覚をとったわ!」
「ジャウギ勇者パーティーはすでにこちらに向かっており、明日には到着するそうです。いかがいたしましょう」
「ジャウギが? いったいどういうことだ。奴が死んでいることは確実のはずだ。……フフフ、奴らめ。何か考えてきたな。またしても小娘の策か」
明日、奴らが来れば、当然我が企みは露見する。
どうする? いまメイジャの聖石を奪いに動くか……いや、駒が足りない。
成功の確率はほとんどない。
ならばあえて奴らを待ち、策をもって事を成すか。
「よかろう。来るがいい、ネウディシを討った者どもよ。このカズスが歓迎してやろう。ネウディシには勝てても、このカズスには勝てん!」
その翌日。
ジャウギ勇者パーティーは、無事ここ最終試練の場へ到着した。
これにより、勇者ジャウギと勇者ワーグの対決による最終試練が決定した。




