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37話 地獄の謝罪ショー

 メディスン街に激震が走った。

 王家からの使者を盗賊と間違え攻撃し、幾人もの死傷者を出してしまったのだ。

 現在、その使者団は街の中央広場へと通っていき、そこにこの街の最高権力者であるオークランド子爵を呼び出して謝罪させている。

 街の主だった人間はこの場に集まり、遠巻きにそれを不安そうに見ているのが現在の状況だ。


 「お~きさまらぁ! この旗に攻撃することがどういうことか分かっているのかぁ? 畏れ多くもわが国、国王陛下への反逆だぁ! きさまら、タダですむと思うなよ」


 王家紋章の旗の下でジャウギはふんぞり返って座っている。

 その前で、その手下が子爵を徹底的になぶっている。


 「おおおおお許しくださいジャウギ殿下、使者どの! すべては誤解からきたこと! どうか寛大なお慈悲をぉ!」


 「ダメだダメだ国王陛下へ訴えてやる! 街の住民はすべて死刑。メディスン街は徹底的に焼き払ってくれるわ!」


 この街のトップのオークランド子爵は平身低頭、涙ながらに許しをこうが、チンピラみたいな使者はなぶりまくって許さない。

 糞、完全にいたぶってやがるぜ。


 「シーザ、あれがぼくが呼んだ王家からの使者だって? いったい状況はどうなっている」


 「あ、アークライト。大丈夫なのか?」


 広場での謝罪ショーを見る俺とエルフィリア、ウサウサの所にアークライトが来た。


 「こんな時にベットに横になんていられないさ。それより使者殿に攻撃をしてしまったというのは本当なのか?」


 「ああ、本当だ。やっちまったよ」


 「王家の旗に気づくのが遅れたこと悔やまれます」


 「でもさ。あんな凶悪なツラした奴らが馬で暴走してきたら、そりゃ誰だって悪者だって思うよ。まったく、あの王子様。チンピラと変わんないよ」


 アークライトは広場の主役、豪華な鎧をつけてふんぞり返っているジャウギという男を忌々しそうに見た。


 「ホルムト王族第三男の【ジャウギ殿下】か。粗暴で凶悪。しかもS級戦闘スキルを手にいれてしまって、手におえない悪童だと聞く。厄介な奴名分を与えてしまったな。ジョイスロウ殿下はどうなされた?」


 「連中に連れてかれちまったよ。逃亡罪と反逆罪の嫌疑だから、どうなることやら」


 「そうか……まさか、あんな奴を送ってくるとは。どうやら王家は、ジョイスロウ殿下を勇者に復帰させるつもりはないらしい」


 ――――!!?


 「ですね。結果として、ジョイスロウ殿下の寿命を縮めてしまったのかもしれません」


 エルフィリアもそう読んでいたのか。

 たしかに、あの糞王子がジョイスロウ殿下のためになることをするとは思えない。

 それどころか、嬉々として断罪するだろうな。

 こんな奴らにつかまって、ジョイスロウ殿下は無事なのだろうか?

 けれど俺達は、広場の謝罪ショーを見守ることしかできない。



 「ああ? テメェら、立場がわかってないようだな。国家鎮護の魔王討伐に赴く勇者を攻撃するなんざ、前代未聞だ。テメェの頭ひとつ下げたぐらいで許されると思っているのかぁ!!」


 え? 勇者様?

 俺達の疑問に、子爵が代って恐る恐る聞いてくれた。


 「あ、あの勇者様とは? 勇者様はジャウギ殿下弟のジョイスロウ殿下では?」


 子爵の問いに、ジャウギ自身が「ニヤリ」と嗤って答えた。


 「フツ、腰抜けに勇者の地位などあると思うか。奴の勇者への認定はすでに剥奪はくだつしておるわ」


 な、なんだってぇーー!!!


 「で、では、王家より新たにご出馬なさる勇者様は……」


 「そうよ! このお方、ホルムト王家第3王子ジャウギ殿下こそ新たに選ばれた勇者! 魔王討伐に赴く真の勇者様だあ!!」


 バカなぁぁぁ!!!!

 こんなヤクザ者が勇者?

 それにジョイスロウ殿下はどうなるんだ!


 「その勇者にきさまらは攻撃した! きさまらは人類が魔王に滅ぼされても良いというんだな? きさまらの罪は王家反逆罪だけではない、人類への反逆だぁ! 死刑は確実だが、楽に死ねると思うなよ? ククク……」 


 「ヒ、ヒィィィッどどどどうかお慈悲を!できるなら、この街の最高議長であるわたくしめの首ひとつでお許しくださいませぇぇぇ!!!」


 意外だ。あのロリコン子爵、街のために命を投げ出す勇気はあったのか。


 「なあにィ~こんなド汚ねぇ皴首シワクビひとつで『お許しください』だとぉ~? そんなムシの良いことを真なる勇者ジャウギ殿下が許すと思ったか!!」


 グシャァッ


 チンピラ使者Aはオークランド子爵の頭を強く踏みつけた。

 頭を下げている人間を踏みつけるなんて、なんて奴だ!!

 そこに、ジャウギは悠然と立ち上がって声をかけた。


 「フッまぁそこまでにしておけ。オレも鬼や悪魔ではない。此度の一件、ちょっとした遊戯にて上への報告はやめてやっても良い。やるか?」


 え?

 オークランド子爵は血まみれの頭をピョコンと上げて応えた。


 「ももももちろんであります! 此度の無礼、殿下を楽しませることでご寛容いただけるなら、メディスン街一同、どのような遊戯にも参加いたしましょう!」


 「フッフッフ『街一同』か。いい返事だ。では、そうしてもらおうか。フフフ……フアッハハハハ!! ハァ~~ッハッハッハハハ!!」


 シェイン以上に勇者になんて見えね―よ。

 その嗤いは魔王の使者としか思えんわ!!!


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