表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/89

03話 勇者パーティーは聖女しゅきしゅき団

 「下民の諸君! 我が名は【シェイン・サザンクロス】! 王国侯爵サザンクロス家の第一公子だ。栄誉あるこの勇者パーティーに参加できることを光栄に思い、死力を尽くして我々に奉仕しろ」


 俺達サポートメンバーへのクエスト激励の挨拶に、こんなにも選民思想バリバリなクソ挨拶をしたのが勇者様。

 これだけで、このクエストが(ろく)なモンじゃないって予感できたよ。

 しかし第一公子ってことは、跡取りの次期侯爵さま?

 こんな危険なことは、ほとんど家の財産をもらえない三男坊四男坊とかが、名誉を出世のタネにするためにやるんじゃないの?


 「オレは勇者となるためのS級スキルを得るために、ガチャ神様の儀に40連を行った。家財の半分をつぎ込んだのだ。これだけで、オレと我が家がこの魔王討伐にどれだけ本気かわかるだろう」


 40連ガチャ!!?

 狂ってやがる!!!

 どれだけヤバいんだよ、この勇者様!!!!


 たしかにガチャ神殿で与えられるスキルは、その場限りにおいて拒否することも可能だ。

 そしてもっと良いスキルを得るため、次の儀にのぞむこともできる。

 しかし、幻霊石も儀式を受けるのも非情に高額であるため、どんなハズレでも拒否することなんて平民の俺達にはまずない。

 貴族や大商人なら多少はあるかもしれないが、さすがに40連は異常だ。


 「国王陛下に魔王討伐の使命をうけた勇者パーティーは他にもある。だがしかし! 魔王を倒すのは、このシェイン勇者パーティーだ。そして魔王を倒してオレが真の勇者となった時! 傍らで共に戦ってくれた聖女エルフィリアを妻に迎えよう。フハハハハハハハハハハハハ。ウワァーッハハハハハハ」


 さんざん自分の私利私欲を暴露(ばくろ)して、デカイ笑い声で締める挨拶って…………

 しかも、この坊ちゃん。

 女のためにそこまでして勇者になったのかよ!

 ますます不安になってきた。

 こんなにも不安を(あお)るクエスト激励の挨拶は初めてだ。


 他のメンバーの挨拶も似たり寄ったりの選民思想まる出しのクソ挨拶。

 しかも冒険を舐めているような、胸クソ悪くなるようなものばかり。

 やっぱりこのクエスト。

 今からでもやめた方がいいんじゃ………


 が、最後に立った聖女エルフィリア様を見た時。

 そんな不安もムカつきも、すっかり忘れた。

 あまりに美しく、あまりに可憐な貴族令嬢に目も心も奪われたのだ。


 「みなさま、国王陛下から聖女の称号を与えられたノルデン伯爵公女【エルフィリア・ノルデン】です。どうか皆様の豊かな知識と経験でわたし達勇者パーティーを助けていただけることを、切にお願いいたします」


 そう言って淑女の会釈をする姿は、あまりに美しい。

 心が洗われる。

 俺ら平民にすら敬意をこめて頭を下げるその姿も、さっきまでの連中がクソだっただけに、余計に(とうと)い!


 パチパチパチパチパチパチパチ!!!!


 いつしか俺らは、彼女に心をこめて万雷の拍手を送っていた。

 見ると、勇者パーティーの奴らも。

 シェインとかいう勇者野郎は涙まで流してやがる。

 そして、それを見てわかった。


 勇者パーティーの奴らは全員【聖女しゅきしゅき団】だ!!


 そしてそれ故。

 こんなにも尊い彼女が、俺の”死神”になるとは、この時は思いもしなかった。

作者からのお願い。

この作品を面白いと思ってくれた方は、下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてくれるとありがたいです。

あとブクマや感想もいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 勇者パーティーのメンバーが真面とは限らない。 ――というのは、時々みますけど、これは酷い。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ