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02話 勇者パーティーのサポート決定!

 それは故郷の村で、親友のマルクが知らせてきた話がはじまりだ。


 「シーザ! 僕たちの【疾風の仕事屋】が勇者パーティーのサポートに選ばれたぞ! 魔王討伐のクエストに行くンだ!!」


 「はぁ?」


 たしかに魔王が生まれ、各地の魔獣が活性化している話はきいた。

 どこかの村が魔獣のスタンピードをうけ壊滅した、なんてぶっそうな話も聞いた。

 それを受け、国王陛下が魔王討伐のための勇者パーティーを結成、という話も聞いてはいたが。 


 「勇者パーティーのサポート? その依頼が俺たちのパーティーに来たって?」


 「そうなんだよ! 魔王討伐に貢献すりゃ、僕達【疾風の仕事屋】も、念願のAランクだ!」


 たしかに【疾風の仕事屋】はこの村一番のBランク冒険者パーティー。

 しかしサポートとはいえ、王国に選ばれるほどのものかと聞かれれば、首をかしげざるを得ない。

 とはいえ、めでたい!


 「そりゃ凄え! しかし、まさか全員じゃないだろ。出るのは誰だ?」


 【疾風の仕事屋】のメンバーは総勢15名。

 さほどの人数でもないが、全員が行くには多すぎるし、全員が行ってしまったら村が困る。


 「これからリーダーが遠征メンバーを発表する。僕はわからないけど、シーザは確定だよ」


 「あん? 俺が? どうして」 


 俺とマルクはパーティーの中でも若手の下っぱ。

 俺達の能力にほとんどまったく差はない。

 それがどうして俺だけ確定なんだ?


 「【疾風の仕事屋】がサポートメンバーに選ばれたのはね。君のスキルのお陰なんだよ!」


 「はあぁ? 俺のもらったスキルは、冒険者としてはハズレだぞ。まったくガチャ神様も、もうちっと稼業に合わせてスキルを授けてくれりゃ良いのによ」」



 この世界には”スキル”という特殊技能を授けてくれる【ガチャ神殿】という場所がいくつかある。

 そこで”幻霊石”というものを捧げれば、ガチャ神より”スキル”という特殊技能を得ることができるのだ。

 この”スキル”には階級(ランク)があり、どのレベルの”スキル”が与えられるかは完全にランダムである。

 そしてこれらのスキルは、一般にこのようにランク分けされている。


 Cランクは一般生活に根ざしたもの。

 料理、裁縫、栽培、筆記、等。


 Bランクは、戦闘技術、もしくは危険な場所へ行くときに便利な能力。

 剣術、槍術、盾術、棒術、探査、遠目、鑑定、隠密、魔物使い、等。


 ここまでは”スキル”の恩恵を受けなくても、努力と才能と経験次第で身につけることの出来る技能だ。

 だが、Aランクからは努力では決して手にいれられない”魔法”というものが出てくる。

 光魔法、火魔法、水魔法、土魔法、光魔法、時空魔法等。


 これを引いたものは体内に”魔力”というものを宿し、何も無い空間から水や火、光などを発生させ、さまざまな奇跡的なことを起こす”魔法士”という特別な存在となるのだ。


 そしてSランク。

 あまりにレアだが、Aランクの上に存在するスキルがあるのだ。

 俺ごときがその詳細を知ることはできないが、たった一人で一軍の力を発揮できるようになるスキルだそうだ。

 

 どのスキルを得るかは完全にランダムだが、一人が得られるスキルは三つまで。

 四つ目を望んだ者は、皆そのまま神殿で死亡している。

 そして幻霊石の大きさや精製度なんかも、どのランクを授けられるかに関係している。

 一般に大きければ大きいほど、高レベルのスキルを得られる。

 なので貴族や大商人は大きい幻霊石を集めており、高額で取引されているのだ。


 そんなわけで、俺も年頃になった頃、スキルを求めにガチャ神殿に行った。

 ”冒険者”という稼業柄、Bランクのスキルを狙ってそれなりの幻霊石を神殿に捧げたのだが。

 運が悪ければ、捧げた幻霊石のグレードより下のスキルが出てしまうこともある。


 で、結果だが、【料理+】


 こういった自分の生い立ちや稼業と合わないスキルが出てしまうことも、『ガチャ神殿あるある』だ。

 後ろにある(プラス)だが、スキルにはたまに+、-なんてものがついてくることがある。

 +はより強めの能力で、-は弱め。

 つまり俺は、お貴族様に出せる料理すら作れる才能を得たのだ。

 貴族の伝手なんかない俺には無用の長物だが。


 「で、どうして俺の【料理+】が魔王討伐に関係あるんだ」


 まぁ長期の遠征なんかでは、狩った獲物をその場で処理して食えるようになったから、完全なハズレでもなかったわけだが。


 「勇者パーティーってのは、貴族の三男坊四男坊だろ?」


 「そうだな。高スキルを得るには、それなりの財力を使ってグレードの高い幻霊石を用意しなきゃなんないからな」


 「で、その方達は口が奢っている。とはいえ、料理人なんて危険な魔王討伐の道中には連れていけない」


 「……なるほど、わかってきた。冒険者の技術があり、さらに美味い料理を作れる冒険者がいる。ウチのパーティーが選ばれたのはそれか!」


 「実際、狩った獲物で、その場で作ったリーザの料理は信じられないほど美味かったもんなぁ。あれなら、貴族様も納得だぜ! 僕はまぁ、選ばれることはないと思うけど、シーザはがんばってくれ!」


 マルクの言った通り、俺は選ばれマルクは選ばれなかった。

 そしてリーダー直々に俺の料理の意義をさとされ、激励された。


 そしてその勇者パーティーとの顔合わせの日。

 俺は問題の選民思想の塊のような勇者【シェイン・サザンクロス】はじめ胸クソ悪くなるような貴族のボンボンの勇者パーティーの奴らと。

 可憐で美しい【聖女エルフィリア様】に出会ったのであった。

 

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