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12話 王子勇者の事情

 王子殿下が何であんな『ザ・無職』みたいなことになっているのか。

 それはともかく、助けに動くことにした。

 被害にあった店の人にお金を払って、彼を連れてその場を離れる。

 宿で部屋をとり、殿下にはそこに用意した食事をとってもらう。

 その間に、俺とエルフィリア様は外でこれからどうするかを話し合った。 


 「空腹に耐えかねてやってしまったようですね。勇者としての装備もないし、身ぐるみ剥がされたって感じですかね」


 「ジョイスロウ殿下……いったい、どうしてこんなことに。ハッ! きっと仲間たちから『追放』されたのですね!」


 「つ、『追放』?」


 「そうです。この状況からみて、『オマエのような無能はいらん!、パーティーから出て行け!』とか言われて、装備も服もすべて奪われて追い出されたのです。この状況は、そうとしか考えられません!」


 うーん。

 よくある話だし、それがこのお方でなければ、そうかもしれないけど。 


 「勇者の家臣で構成されている勇者パーティーが、主で王族の勇者を追放とかできるもんなんですか?」


 「………あっ」


 「それに『勇者』の称号をうけたってことは、Sランクの戦闘スキル持ちでしょ? それが『無能』と判断されるって、どうなったらそうなるんです?」


 「………………状況はきわめて『追放』ですが、そう決めつけるのは早計ですね。まずは殿下の話を聞きませんと」


 いや『追放』は大ハズレだと思う。

 でも、赤くなってムキになっているエルフィリア様も可愛い。


 「これから殿下に事情を聞きますが、わたしは話すことはできません。シーザ、あなたが聞きなさい」


 「俺が? 宮廷の方への作法なんて知りませんし、エルフィリア様がやるべきでは?」


 「ダメです。殿下にはこの8才の姿は見せたことはありませんが、声を聞けば、わたしと気づかれてしまうかもしれません。わたしは、もう死亡していることになっているというのに」


 「はぁ、さいですか。では謁見の作法なんかを教えてください」 


 「それも無用です。王族が盗みをしたと知られたらマズイでしょう。むしろ何も知らないフリで、ぶっきらぼうに話しなさい。物好きで人助けをしたという風に」


 「は、はぁ」


 「あと演技をしている間は、わたしへもかしこまったしゃべり方は禁止です。わたしはあなたの妹【リン】。『男の人が恐くて上手くしゃべれない』という設定でいきましょう」


 【リン】……ねぇ。

 まぁいいか。こういった演技は得意な方だ。

 では、さっそく勇者王子殿下に謁見といきますか。


 ガチャ


 「よう、バカがドジ踏みやがったな。メシは美味かったか?」


 「あり……がとう。助かったよ。君は?」


 「俺はシーザ。こっちは妹のリン。『男が恐い』って奴だから、あんま話しかけんなよ」


 「そうか……君も大変な目にあったんだろうね。僕は安心してくれていい」


 エルフィリア様を見る目はやけに優しい。たしかに良い奴なんだろう。

 フードで顔を隠しているとはいえ、あんまり彼女に注目されたくないので、背中に隠して話をはじめた。


 「で、助けてメシまで喰わせてやった礼に教えろよ。アンタ、良いところの坊ちゃんだろ? なんで、あんな所で食い逃げなんてやったんだ?」


 「……逃げていない。空腹で目がまわっていたら、いつの間にかあそこのパンを口に入れてしまったんだ」


 ああ、腹が減りすぎると、食い物以外のことは考えられなくなるものね。


 「大事な……大事な使命があったのに、逃げてしまった。僕は最低だ」


 「そしたら盗賊にあって身ぐるみ剥がされたってわけか。何で逃げたんだ?」


 「……大切な人を奪われてしまったんだ。どうしても諦められなくて、使命も忘れて、追いかけてしまった」


 え? それって、まさか?

 こんな所にも、魔性聖女様の犠牲者が!?


 思わずエルフィリア様を見たが、彼女は頭をブンブンふって否定している。

 そうか、エルフィリア様は関係ないのか。

 彼女に狂った男を見過ぎたせいで、つい疑ってしまったよ。

 こんな目でエルフィリア様を見るようになってしまっては、いかんね。



 「エル……フィリア……会いたい」



 ほらあ、やっぱり!

 ぜんぶエルフィリア様のせいじゃですないかぁ!!

 完全に女にふられてダメになった男のソレだよ!!!


 「そ、そうかい。ま、しばらく面倒みてやるから、しっかり心の傷を癒やしな。じゃあな」


 そう言って、ふたたび外に出た。

 エルフィリア様とジョイスロウ殿下について話したが、やっぱりエルフィリア様は、殿下の気持ちに気づいていなかったそうだ。


 「まさか、ジョイスロウ殿下がわたしを想っていたなんて。たしかに殿下とはそれなりに仲は良かったですが、あくまで友人としての仲。 男女の仲のようなものではありませんでしたのに」


 こ、これは【鈍感ヒロイン】パターンだ!

 男は、友達みたいにつき合っている彼女とそういう関係になりたいけど、彼女が友達のままでいたいのを知っているから、言い出せない。

 そういった繊細な男心がわからないの!?

 頭の中身は男のクセに!!

 き、気まずい。

 これから俺はどうすれば良いんだ!?

 

 「あっ! そう言えば、本来はジョイスロウ殿下のパーティーに入る予定だったって言ってましたよね? どうしてシェインのパーティーに入ることになったんです。それが関係しているような気がしてきました」


 「……そうですね。話しましょう。たしかに、あれが原因かもしれません」

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