11話 新たな勇者登場! ただいまボコられ中
しかし異様に女性キャラの少ない小説だなぁ。
いまだ出てくる女性キャラはエルフィリア様しかいないよ。
新キャラも男だし。
ここはスキル獲得のためのガチャ神殿もある大きな街【メディスン街】。
だが最近、近くに連なる【アカラチア山】に最上級幽鬼リッチが現れて、街の人達を脅かしている。
それが『勇者の試練』として選ばれ、シェイン勇者パーティーは挑むことになったのだ。
さて。それはともかくとして、俺とエルフィリア様はクビになったはずの【疾風の仕事屋】を探して、あちこちの店を回っている日々だ。
だが彼らは見つからず、代わりにあるポーション屋で彼らの動向を伺うような話を、店主と某冒険者の話から聞くことができた。
「おいおい、ポーションがいま値上げってどういうことだい。オヤジ、ちょいとアコギじゃねえかい?」
「悪いな。勇者パーティーの方々が大量に買っていきやがったんだよ。こんな無茶な”買い上げ”は普通は了承しねぇんだがな。国王陛下のお墨付きじゃあしょうがねぇ。これから試練でリッチとやりあうって言うしよ」
――――――え?
「だったらしょうがねぇな。ま、アレがいなくなるなら悪くねぇ。アレのせいで、ここらの冒険者稼業はえらい命がけだからな。しかし、勇者様が来たってんなら、一目見ておきたかったねぇ」
「残念。買い上げにきたのはサポートメンバーの方さ。えらく憔悴してて、勇者様の試練のきびしさを感じたねぇ」
【疾風の仕事屋】はサポートメンバーをお役御免になっていない?
そして勇者どもも、白魔法使いなしでリッチに挑むつもりか?
さすがにリッチなんて高レベル魔物を相手にしたことのない俺でも、これは無謀と分かるぞ。
「……意外でしたわね。あのボンボン貴族どもが、こんなにも根性あるとは思いませんでした。いえ、無謀ですね。浄化の使い手もなしに何をするつもりです」
「どうします? 【疾風の仕事屋】もサポートメンバーを続けているようだし」
「だったら、わたし達は一足先に村へ帰りましょう。父と母に挨拶して、娘にしてもらわねばなりませんし」
………やっぱり本気だったのかよ。
あきらかに良家貴族のお嬢さんであるエルフィリア様を、ド田舎平民の俺の家の娘にするって、どうすりゃいいんだよ。
8才だし、普通に上に通報されるだろ。
どんな天才的なストーリー考えりゃ、エルフィリア様をウチの娘にするなんて奇跡が、可能になるっていうんだよぉぉ!
「どうしました? シーザ。顔が青いですよ」
まったく、人の気も知らないで。
俺はあえて、もう一つの気になっていることを聞いた。
「いえ。でも勇者パーティーは放っておいて良いんですかね。彼らが失敗したら、魔王は……」
「もともとシェインに魔王を倒せるとは思っていません。だから、わたしは心置きなく離脱したのです」
まぁリッチの件で、それは俺でも分かったが。
「じ、じゃあ魔王は誰が倒すんです?」
「大丈夫ですよ。勇者パーティーは他に二つあります。とくに第四王子【ジョイスロウ殿下】が勇者となったパーティーは素晴らしいですよ。殿下自身、仲間も民も大切にするお方なので結束も固いですし、必ずや魔王を討伐していただけるでしょう」
「そんな絵に描いたような勇者様もいるのですか。あのシェインしか知らないので、実際の勇者ってのは、あんなもんだと思いましたよ」
「ええ。強いだけのサイコパス勇者とはまったく違います。わたしも、あのパーティーに居られたままなら、魔王討伐が終わるまで逃げるのは保留だったのですが」
「え? どういうことです。エルフィリア様は、そこのパーティーの聖女だったのですか?」
「そうです。とある事情で、直前にシェインのパーティーに配されてしまいました。もっともそのおかげで、【疾風の仕事屋】をサポートメンバーにすることができましたがね。殿下と違って、シェインは平民への伝手はからっきしでしたから」
ああ、Bランクのウチがサポートメンバーに選ばれたのはそういった事情か。
やっぱり普通はAランクを頼むもんな。
となると、あとは俺達の帰還準備だ。
必要なものを買おうと、店を探している時だ。
何やら怒声、罵声が聞こえてきた。
「ケンカですかしら。騒がしいですね」
街の片隅のヤジ馬が集っている中心が、罵声の元のようだ。
「いえ、あれは浮浪者が痛めつけられているようです。どうやら何かを盗んで、その報復に……といったようですね」
「ふふっ。こういった祭りも平民の街ならですわね。もっとよく見たいですわ。シーザ、肩車しなさい」
ハイハイ。
まったくリアル子供だね。
彼女を肩車で持ち上げると、こっちの方に視線が集中してきた。
エルフィリア様の愛らしさは、やっぱり厄介だよ。
また誘拐のターゲットにならなきゃいいけど。
さて。騒ぎの方だが、どうやら浮浪者の食い逃げらしい。
「このゴミが! ウチの商品に手ェ出しやがって!」とか罵声をかけられ、ボロを纏った男が複数人に蹴飛ばされている。
体格はいい男だし、官憲で仕事を世話してもらえたら良いね。
「ヒ、ヒィィィ! シシシシシシーザ! 助けなさい!!」
突然、エルフィリア様が驚きの声をあげた。
なに!? 集団に紛れての誘拐魔か!
――――と、ざっと周囲を見回すが、ヤバそうな奴は見当たらない。
「曲者はどこです? 俺には見えませんが」
「わたしではありません! あそこで殴られているあの……あのお方を!」
そう言って、彼女は殴られている浮浪者をまっすぐに指刺した。
しかし”あのお方?”
なんで浮浪者なんかを、そんなかしこまった呼び方するんだ?
エルフィリア様を肩から降ろすと、彼女は俺の耳元であせった風にまくし立てた。
「あそこで殴られているお方こそ、さっき話した【勇者ジョイスロウ】殿下です! どういった事情でここに居て、ああなっているかは分かりませんが、官憲に出される前に早く!」
な、なにいいいいい!?
あ、あれがエルフィリア様が絶大な信頼をおいている、魔王討伐の最有力勇者のなれの果て!?
せ、世界はどうなってしまうんだああああああ!!!
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