Ⅳ予想外×想定外
ギルドへ入ると、ギルドが大きいのもすぐに納得した。
入ってすぐの所は酒場にもなっているらしく、冒険者がかなりいる。
奥の方には武器や防具、道具を売っている店がいくつかある。
これだけの施設を集約されているのだ、建物が巨大になるのも無理はない。
とりあえずクエストを受けてみたいな。
建物の中を1通り見たので、さらに奥へと進んで行くと、ようやくギルドカウンターにたどり着く。
「クエストを受けに来た」
そう受付嬢に告げると
「初めてのご利用ですね。冒険者登録をします。まず、お名前をお聞かせください」
名前・・・か。
ここは俺の2つ名混沌の捕食者の名を告げる時が来たようだなぁ!
「佐藤 蓮だ」
無理だ。
初対面の相手に混沌の捕食者だなんてとても言えない。
「サトウレン様ですね。次は魔力を計ります」
そういうと水晶を取り出して
「この水晶に手をかざしてください。魔力の高さによって水晶の色が変わります」
これは冒険者登録恒例イベントではないかと思い、水晶に手をかざすと・・・
ッッッパリン!
そう割れて受付嬢がびっくり仰天
「あなたは何者ですか?!」
の返答まで考えていたのに、水晶は割れるどころか色1つ変わらない。
「少しでも魔力があれば水晶の色が変わるはずなんですけど・・・」
滅多にないことなのか、想像とは真逆の意味で受付嬢が驚いている。
しかし、俺は先ほど魔法を使ったばかりだぞ。
何より体の内に力を感じる。
これは魔力では無いのだろうか?
それとも先ほど使用した魔法は、魔力のかからない程弱い魔法だったのだろうか?
「残念ながらあなたには魔力が無いと言わざるをえませんね」
「そんなことは無い。先ほども火炎魔法と飛翔魔法を使ったばかりだ」
「伝説の風魔法の1つ飛翔魔法をですか?そもそもそんな魔法が使える人は居ませんし、2属性の魔法を使える人なんて滅多にいないんですから。嘘つくとしても、もう少しましな嘘にしてください。」
1人1属性しか使えない?そもそも属性ってなんだ?
「魔法には何属性あるんだ?」
「魔法には、火、水、風、光、闇の5種類の属性があり、大抵どれかの属性に適正があり、その属性の魔法のみ使うことができます。よくそんな知識で嘘つきましたね」
「そうだったのか。感謝する」
魔力が無いからといって知識も無いのはどうかと思いますよ。と、余計な一言も言われたが丁寧に教えてくれた。
そんな話をしながらも受付嬢が冒険者登録を終わらせた。
「これが冒険者カードです」
受け取ったカードには、サトウレンの文字とランクGと表示されていた。
「冒険者は、魔力によってランクをAからGに振り分けられます。ですが、クエストを達成するとポイントが増えランクを上げられますので頑張って下さい。Gランクの冒険者は、とりあえず薬草採集がいいですよ。場所はさっき隕石が落ちたこの辺ですね」
最低ランクに振り分けられてしまったようだ。
地図で薬草が生えている所を教えて貰ったが、どうやら先ほどまでいた草原らしい。
まさか隕石とは俺の魔法なのでは?
そう思ったが、確かめる術がないためここはスルーしよう。
「瞬間移動」
・・・やはり使えるか。
今までギルドにいたはずだが、今は先ほどの草原に戻って来ている。
どこまで使えるのかは分からないが、魔法はある程度思い通りになると見て間違えないだろう。
やはり転生の際にチート能力でも授かっていたのだろうか?
そうと分かればあとは簡単だ。
「亜空収納そして回収」
収納魔法を使い、そこに回収されるよう魔法をかけることで、あっという間に周囲の薬草を採集することに成功した。
十分すぎるほど採集ができたので、帰ろうかと思ったら・・・
「ぐおおおぉぉぉ」
後ろでおぞましい鳴き声がした。
ふりかえると、そこにはドラゴンと思わしき存在が今まさに降り立つ所だった。
異世界が日本語なのは、そういうものです(説明放棄)