横顔
野良猫を見つけてはしゃぐ君の横顔が好きだった。
試験勉強に苦戦する君の横顔が好きだった。
縁日で美味しそうにたこ焼きを頬張る君の横顔が好きだった。
ジェットコースターに乗って楽しそうに叫ぶ君の横顔が好きだった。
自分の話になると恥ずかしそうに目を細めて話す君の横顔が好きだった。
君の横顔しか見れなかった。
ずっと横にいた僕は、君の顔が分からない。
少し前に出るだけなのに。呼びかけて振り向いてもらうだけなのに。
前へ進もうとしなかった僕が、向かい合おうとしなかった僕が、「好きだ」なんて言えるはずもなかった。