穴。
金の力を使うまでもなく。
容姿と能力で名声を稼ぎ、女をはべらせた。
この世には悪魔がいる。闇の化身ヤウとかいう奴が産み出しているらしい。
俺にとっては好都合だ。得た力を振舞える「敵役」で「適役」だ。
転生して半年。
最強のハーレムパーティーは完成していた。
おっぱいがでかくて、エロい女剣士。
おっぱいがでかくて、エロい女魔法使い。
おっぱいがでかくて、エロい女戦士。
おっぱいが超でかくて、エロくて踊りの上手い女。
戦闘はどうせ俺一人で事足りる。
助けた「背景人間」達からの感謝なんて、もう浴び飽きた。
金ならある。
戦う理由は正直ない。
ある夜。酔った勢いで酷い事をした。
「オレのタメならどこまでできる?」
くだらない確認作業。
「あなたのタメなら死ねます!」とでも引き出したかったんだろうか?
自分の小ささに嫌気がさす。
でも、どうしても、確かめたかったんだ。
無理やり――とても酷いコトをしてしまった。酔ってたから。
それが口火となり、女達のセキが外れ、罵詈雑言の嵐。
ゴミ人間だのクズ人間だの。このオレ様に投げかける。
だが、怒る気にもなれなかった。
知っていたから。
お前たちがオレに抱かれている間、感じているフリをしていたのも。
裏で秘密の合図を作って、馬鹿にしていたことも。
影で悪口を言ってたのだって。
「お前たちを選んだのはな、胸がデカいからだけなんだよクソ女!!!」
その場で、みんな、切り殺した。
どうして、こんなことに。
呆然として肉の塊を眺めるオレに、ぎゅっと誰かがすがり付いた。
「カメ……」
「…」
どんくさくて、使えないからカメ。そう呼んでいた。
昔俺が付けられたあだ名、一番最初に買った奴隷。
「そうか…お前まだいたんだな……」
忘れていた。
次々に新しい女を手に入れ、楽しんで…。
そういえば、ずっとそばにいた。使いっぱしりの奴隷として置いといたんだ。
「そばに……いますから」
こんな声だったか。普段あまり声を出さないからな……。
そうだ、鬱陶しいからしゃべんなって昔怒ったからだ。
俺がそう指示したんだった。
「オレが、クズなのは一番最初にしってただろ?」
「……私を選んでくれたから」
目をつぶり、顔を押し付け、俺の腰を抱きしめる。
「見た目だよ。見た目。好みだっただけだ」
「…それも含めて私だから……」
なんで、しっくりこないのかが分かった。
みなが褒める所も、尊敬する部分も、何一つオレのモノじゃなかったから。
だから、評価されればされるほど、ムカついて、ムカついてたまらなかったんだ。
唯一残ったオレの部分が腐っていると証明されて。
「うぜぇ…」
血に濡れた剣をゆっくりと振り上げる。
白銀の刃は血で赤く――ではなく、黒く染まっていた。
それでも、カメはオレから離れない。
「死ねよ。うざい……」
カメがオレを睨みつける。
しっかりと抱きしめたまま。
初めて見た。そんな顔できるんだな。
「死ねよ」
悪魔も魔物も沢山殺した。
野盗も悪党だって散々殺した。
気に食わないというだけで、何人も殺した。
今更奴隷の一つぐらい、なんだというのだ。
オレはこの日から。
役割を果たすことだけを考えることにした。
どうせ何をしていても、心から楽しむ事などできないのだから。
なぜ神がオレを選んだのが、どうして「お前こそがふさわしい」と言ったのか、その理由を知るために。




