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かみてん。  作者: あゆみのり
風の大陸。
32/89

穴。

 金の力を使うまでもなく。

 容姿と能力で名声を稼ぎ、女をはべらせた。


 この世には悪魔がいる。闇の化身ヤウとかいう奴が産み出しているらしい。

 俺にとっては好都合だ。得た力を振舞える「敵役」で「適役」だ。


 転生して半年。

 最強のハーレムパーティーは完成していた。


 おっぱいがでかくて、エロい女剣士。

 おっぱいがでかくて、エロい女魔法使い。

 おっぱいがでかくて、エロい女戦士。

 おっぱいが超でかくて、エロくて踊りの上手い女。


 戦闘はどうせ俺一人で事足りる。

 助けた「背景人間」達からの感謝なんて、もう浴び飽きた。


 金ならある。

 戦う理由は正直ない。


 ある夜。酔った勢いで酷い事をした。


「オレのタメならどこまでできる?」

 くだらない確認作業。

 「あなたのタメなら死ねます!」とでも引き出したかったんだろうか?

 自分の小ささに嫌気がさす。


 でも、どうしても、確かめたかったんだ。


 無理やり――とても酷いコトをしてしまった。酔ってたから。

 

 それが口火となり、女達のセキが外れ、罵詈雑言の嵐。

 ゴミ人間だのクズ人間だの。このオレ様に投げかける。

 

 だが、怒る気にもなれなかった。

 

 知っていたから。


 お前たちがオレに抱かれている間、感じているフリをしていたのも。

 裏で秘密の合図を作って、馬鹿にしていたことも。

 影で悪口を言ってたのだって。


「お前たちを選んだのはな、胸がデカいからだけなんだよクソ女!!!」

 その場で、みんな、切り殺した。


 挿絵(By みてみん)



 どうして、こんなことに。


 呆然として肉の塊を眺めるオレに、ぎゅっと誰かがすがり付いた。


「カメ……」

「…」

 どんくさくて、使えないからカメ。そう呼んでいた。

 昔俺が付けられたあだ名、一番最初に買った奴隷。


「そうか…お前まだいたんだな……」

 忘れていた。

 次々に新しい女を手に入れ、楽しんで…。


 そういえば、ずっとそばにいた。使いっぱしりの奴隷として置いといたんだ。


「そばに……いますから」

 こんな声だったか。普段あまり声を出さないからな……。

 そうだ、鬱陶しいからしゃべんなって昔怒ったからだ。


 俺がそう指示したんだった。


「オレが、クズなのは一番最初にしってただろ?」

「……私を選んでくれたから」

 目をつぶり、顔を押し付け、俺の腰を抱きしめる。


「見た目だよ。見た目。好みだっただけだ」

「…それも含めて私だから……」

 なんで、しっくりこないのかが分かった。

 みなが褒める所も、尊敬する部分も、何一つオレのモノじゃなかったから。

 だから、評価されればされるほど、ムカついて、ムカついてたまらなかったんだ。


 唯一残ったオレの部分が腐っていると証明されて。


「うぜぇ…」

 血に濡れた剣をゆっくりと振り上げる。

 白銀の刃は血で赤く――ではなく、黒く染まっていた。


 それでも、カメはオレから離れない。


「死ねよ。うざい……」

 カメがオレを睨みつける。

 しっかりと抱きしめたまま。


 初めて見た。そんな顔できるんだな。


「死ねよ」

 悪魔も魔物も沢山殺した。

 野盗も悪党だって散々殺した。

 気に食わないというだけで、何人も殺した。


 今更奴隷の一つぐらい、なんだというのだ。


 オレはこの日から。

 役割を果たすことだけを考えることにした。

 どうせ何をしていても、心から楽しむ事などできないのだから。


 なぜ神がオレを選んだのが、どうして「お前こそがふさわしい」と言ったのか、その理由を知るために。 

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