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三題噺  作者: 玄米最中
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3

お題 噴火 転ぶ 胡瓜



胡瓜を買ってきて、そう同居人から言われた。いつも野菜なんか食わないくせに今日に限ってどうしたんだろう。カッパにでも転職するつもりなのかしら。


一袋150円、3本入り。時期じゃないからちょい高めだ。でも頼まれたんだから買っていく。ついでに他のも買って行こう。今日の特売品を探して歩き回る。


三周したけど何もない。びっくりするくらい何もなかった。よくよくチラシ見たら「胡瓜 150円!」しか書いてなかった。こんなチラシだったら新聞に入れなくたっていい。


周りのマダムたちも次々に胡瓜を買っていく。だんだんこれが高級品、はたまた最先端野菜に見えてきた。……うん、どうみても夏に破格で投げ売りされてる胡瓜だ。


同居人からメールが来た。

「ちゃんと買った?」

『買ったよ。何に使うの?』

「噴火っていう料理」

『なにそれ』

もしかして今、この料理が流行っているとか?マダムたちも知ってるってことはかなり浸透しているぞ。


会計を済ましいそいそと帰る。途中で猫に会った。猫って本当に胡瓜みたら跳ね飛ぶのかな?そう思い目の前に出してみたけどちっとも動かない。せめて転ぶくらいしてくれたら面白いのに。


「ただいま」

「あー!おかえり。買ってきた?」

「買ってきた買ってきた。ほら胡瓜」

「ありがとー。今から作るからまってて」


るんるんで同居人が支度を始める。シャクシャクとみずみずしい音、私が買ってきた胡瓜は木っ端微塵にされちゃうのかな。まず噴火ってなんのことなんだろう?本当にそれ料理名なのかな。


「できたよー!」

「はーい!」


食卓には青椒肉絲やエビチリが並んでいる。なるほど、噴火って料理は中華系に合うんだろうな。てことは今日の酒はビールかな。るんるんで冷蔵庫へ向かう。


「はい!噴火」


そういって出されたのは千切り胡瓜の上に赤い味噌だれがかかっているものだった。


こりゃ噴火って料理じゃないだろー。多分、同居人が勝手に名付けた料理名で、マダムたちの間でも流行ってないんだろうなー。


驚きのあまり、微かな段差につまづいて転んでしまいそうになった。危ない、ビールが泡だらけになってしまう。



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