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三題噺  作者: 玄米最中
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お題 鳥 隠れる 紙袋



春にしてはまだ寒い昼下がりだった。散歩しようと思って外に出たのはいいが、服装を先取りしすぎて肌寒い。やはりもう一枚、何か着てくるべきだった。用事を済ませて急いで帰ろう、駅ビル内に入り雑貨屋へ向かう。今日は親友の誕生日プレゼントを見にきたのだ。


すれ違う人は紙袋を持っている。そういやここ最近、ビル内に美味しいスイーツ屋さんができたらしい。可愛いケーキがウリで、インスタ映えすると評判らしい。しかし、どうにもわかりにくい場所にあるらしく一部のインフルエンサーにしか流行っていないとか。まあ、流行なんて一部の人が作り始めるものだし。


上へ上へとエスカレーターで登る。冷えていた体はビルの暖房でだんだん適温になってきた。お目当ての雑貨屋の階に着くと少し甘い匂いが漂っていた。カフェから香るコーヒーとはまた別の匂いだ。匂いの元を辿るとプレゼントを選ぼうと思っていた場所にたどり着いた。


なるほど、確かにこれは一部の人しか流行らない。いかんせんこのスイーツ屋、誰のセンスなのか疑うほど奇抜な雑貨屋の中にあるのだから。商品の合間の通路はまるで迷路のようになっていて冒険心をくすぐる。


「いらっしゃいませ」


その声でハッと前を見ると噂のスイーツが売られていた。可愛らしい飾りが施された周りの奇抜さとはアンバランスな区画。こんな雑貨屋の中にファンシーが隠れていようとは。本は本棚に隠すのではないのがこの世の中なの定番になってきたのかな。


せっかくだから、一個買っていこう。どれも動物がモチーフになっている。真っ白いウサギのケーキやアザラシの顔が印刷されたロールケーキ。


「じゃあ、この、鳥が休んでるケーキを1つ」


真っ黒い、カラスのようなケーキを買って私は家に帰ろう。

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