暗闇を抜ければそこは……
これくらいの少なさで、2、3日間隔で投稿します。
ヒュンッ
ドシュッ
ヒュッ
スパッ
音だけで何が何だかわからない。
視界が真っ暗だ。なにも見えない。
確か俺は、赤ん坊を助けるために電車に轢かれて死んだはず……
なぜ、生きてるんだ?いや、これ生きてるのか?
音だけは聞こえるけど他になにも情報が無い。
≪感覚共有を実行します。≫
無機質な音声が聞こえた。
誰?
感覚共有?
何ですか、それは?
≪感覚共有に成功しました。≫
え、俺はまだ何も言ってないけど……
疑問で頭がいっぱいの中、感覚共有が成功したらしく、沢山の情報が一気に流れ込んできた。
とりあえず、目の前に化け物がいた。
巨大な蛇のような生き物。全身は紫がかった鱗で覆われていた。
そして、それをぶん殴ってる俺がいた。
何が何だかわからないって?
俺が1番そう思ってる。
だって、俺の意識下に無いんだもん。俺は何も指示を出してないのに、体が勝手に動いてるんだもん。
そんなんで、俺にどうしろってんだ。
そんな風に愚痴をこぼしていたら、蛇の尻尾が俺の右腕を切り飛ばした。
あいつの尻尾の先は、刃物のように鋭利だった。
いや、普通だったら大騒ぎして救急車を呼ぶ場面ですよ。けど、痛みも無く、血も出てないとなると何も思わない。
≪感覚共有の続行が不可能。感覚共有を強制終了します。≫
いきなり何で⁉︎
感覚共有とやらが無いと何も見えないんだけど!
視覚無しでどうやって、さっきの蛇を倒すんd
『ブツンッ』
まだ、喋ってる途中でしょうがああああああああ!!
こうして、悲痛な叫び(誰にも聞こえて無い)と共に、最初の暗闇に引きずり戻される俺であった。