序章 いつもの朝
洋梨の缶詰めと申します。この作品に目を止めてくださり、本当にありがとうございます。まだ未熟者の作品ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「正論」とは何だろうか。ネットや辞書なんかでは「道理にかなった正しい意見や議論」といった意味で記載されている。
最近、テレビでもジャーナリストと名乗る人がニュースを解説していて、筋の通った意見を並べたりしているのをチラホラ見たりしている。それが仕事だから当たり前といえば当たり前なのだろう。
では俺の姉、「貴船まりあ」のいう「正論」とは何だろうか。彼女の言う通り、清く、正しく、間違えなどないのだろうか。
俺から言おう。俺からすると、「彼女の言う正論」というものは、単なる「押しつけ」と「わがまま」でしか構成されていない。
ジリリリリリ……。
朝を告げる目覚まし時計の音が俺の部屋中に鳴り響く。うるさいそいつを一押しで黙らせると、途端に静かになった。これでまた安らぎの時間を得られるはずだ。
コンコン、バタン!
「お兄さん、もう朝ですよ!」
一応ノックはしたものの強制的に俺の部屋に入ってきた妹、「貴船まりか」が俺の寝ているベッドへと近寄り体をゆすってくる。この程度でたやすく起きるはずもない俺だったが……。
「まりか、いつも遅刻寸前まで寝ようとするポンコツ野郎は思い切り叩いた方がいいわよ」
考えが甘かったようだ。部屋には入ってこないものの、まりかに向って的確な指示をだす。そう、姉のまりあだ。
「分かりました、お姉さん!せぇ、の……!」
バシーン!
こうして、まりかの強力なビンタ一撃から今日の朝が始まった。