雨上がりの空の下は、
突然の雨。
さっきまで、悠々たる足取りだった人たちが皆小走りになって行く。しかし、とうの私の足取りは変わらず遅いままだった。最近、なにも上手くいかず全てにおいてどうでも良くなってしまったのだ。
テストの点数が悪くお母さんに怒られるし、体育で派手に転び笑われるし、お気に入りのヘアゴムは無くなるし。自分にばかり、良くないことが襲いかかってる気がする。一人で勝手にイライラして、今日はとうとう友達に八つ当たりし喧嘩になってしまった後に突然の雨。最悪で、泣きそうだ。いや、もう泣いているのかもしれない。雨のせいで分からないけど。
俯きながら進む道のりは、いつもと違う気がする。隣にあの子がいないせいだろうか。いや、いきなり頭上が暗くなったせいだ。少女は勢いよく顔をあげ空を見上げる。すると、そこには大きなクジラが一匹。灰色の厚い雲の下で気持ちよさそうに泳いでいた。綺麗に一回転したとおもったら、つぎは尾びれを上下に揺らしながら何処かへ行こうとする。そんなクジラにひかれるように少女はクジラを追いかけ出した。どんどん距離が開いていくクジラを見失わないように全力で走って、走って、走りまくる。息が苦しいが、モヤモヤが吐き出されてる感覚がする。
ー気持ちいい…気持ちいいっ。
クジラを見失い、足取りを弱め立ち止まり呼吸を整える。心の中身が全部飛んでゆき、スッキリとし顔をあげ驚いた。今日喧嘩した美香ちゃんが立っていたからだ。相手も驚いているのか目を見開いている。
「凛ちゃん!! ビショビショじゃん!! 傘持ってなかったっけ?」
「うん…忘れちゃて…」
「もー、しょうがないなあ。入れてあげるよ」
そう言うと、美香は傘を近づけた。
「…ごめんね」
「ん?全然いいよー」
「そーじゃなくて…」
「あっ、なんだ晴れてんじゃん!!」
傘を下ろし空を見上げる美香につられて、凛も空を見上げた。雨上がりの空はキラキラしていて、綺麗だ。
「美香ちゃん、公園で遊ばない?」
凛はそう美香に問いかけると、美香はニヒヒと笑いながら
「いいよ。」
と答えた。




