道中記 その5
淡いオレンジ色の光に暗闇色が混ざる、荷台についた天窓には、鈍色の雲が浮かんでいた最初の頃は浮いていたが次第に空は澄み、空には煌めく星が光っていたそして色々な持つ星が天窓の限られた枠の中でその存在を示す。
私は、この希望で膨れるお腹は、いつまで続くだろうか? そしていつこの親切な人達は同じ様に血を出して地面に伏せてしまうのだろうか。
それを思うだけで震えが出る。
赤いリボンの付いた麦わら帽子をより深く被り、今日も眠ている振りをするいつ私を見捨てるか、売って金を稼ぐのか見定める為に。
カウボーイの男性が私に近付き、私をじっと見つめる、恐怖感が行成、ドッと出て体が震える。
カウボーイハットの男性は、私に彼が身に纏う上着を私の身に纏わせて、見透かすように笑った。
「____っで? 双子街のここから出て行く時間帯は決まったのか?」
「明朝には出発をしたいと思っています、ご主人は問題ございませんか?」
「エッ? ああ..問題ないよ。 でも、このルートって検問があるよね、あの子...いやリリーには面倒な事が起きそうなルートじゃないかな」 私に名は意味を持たない事を知らない彼らは、己が欲の為に私の耳と首に名の枷を付けた。
「_______そうですね、リリーを奴隷として扱うならば、そのままでも構わないのですが、そうとも行かない様子ですし_____」彼女は私の軽い体を包む土色の混じった薄汚れたワンピースを見てから、
「_______糸と布を使ってを服を作ってしまっても良いですか? 」と確認を取った。
勿論、今晩中に作ると約束して。
元使用人なだけあり、行動が非常に素早かった、彼女は息を切らしながらも布屋で花柄の染色をされた色々な色の生地を買い、それをまさに継ぎ接ぎをして、動きを止めず機械の様な様でひたすら寝ずに私に着せる服を作り続けた。
朝になった。
絶え間なく動かしていた手は次第にスピードを落として、既に手は止まっていた。
日が昇り、まさに明朝な時間帯。
青年とおじさんは目を覚まして使用人の女性を壁に沿わせて眠らせて、邪魔にならない様に静かにとハンドサインを出しながら荷台を運ぶ馬を馬小屋から引っ張り出した。
馬を荷台に繋げて、邪魔にならない様に振動で目を覚まさない様に冷静沈着に村の奥、スター・シサードの双子街である、スター・シーストの方向に向かって馬を走らせた。
出口近くで使用人は目を覚まして周囲を見渡して私を寝ていると判断して口元を隠して静かに欠伸をする、案外可愛らしい顔。
視線を下に移して、殆ど完成の服はまだ出来ていないどうやらミシンなどの道具を使わないと完成には至らないらしい。
青年は、荷台の出口で付近で、猟銃とも呼べそうな、無骨な木と金属で出来た銃の銃床を木張りの床に置いて銃口を天井を向けている、やや緊張をしている様に見える、トラブル発生時の迅速な行動の為だろうけど、ちと表情が固い。
操縦しているのは勿論ヴェーンだ。
そのまま村の外壁に着く、盗賊等の被害に遭ったのだろうか? 人の数が昨日より多い。
「______どうかしたんですか!」と見た目の落ち着きから放たれる意外な声のデカさに僅かに反応する私をスルーして、声は帰ってくる。
「_____昨日、盗賊らが検問を通らずに小川の方から侵入して物を盗んだんです!」それで警戒が大きくなっているのか。
と青年は納得した表情で馬車を進めて、検問の者に穏やかに応援して、銃を持っている説明と双子町に向かう旨を言うと、軽く会釈して去っていった。
そうして、私達は双子町の一角、スターシーストに向かうのだった。
町を出たすぐは近場の街に資材を運ぶ名目で沢山の資材が乗った馬車が多く広い整頓された道を走ったいたが、何度か道を他の馬車に3台ほど譲った頃には川が近くに流れる渓流に近い森の中を走っていた。
木々を通った風に潮の匂いが混じり始めて、僕は初めて見る海の光景を妄想し始めた。
荷台が小刻みに揺れる、もう既に二匹の老馬は度重なる疲労で息が上がっており、スピードは出始めの頃を比べると落ちていることがわかる。
「____昨日、確か明朝に出れば昼には着くって計算しましたけど...誤差が出そうですね」
「ああ、この感じじゃ天が天辺に昇っても多分つかないんじゃないか?」窓から声が帰ってきて、より一層風に潮の匂いが混ざる。
「______スター・シサードに着く前は人が全然居なかったのにこの道は結構、人が居ますね」
「_____そりゃ、あの道は人が通らない道だからな、ったく...チャンと奉仕しろよ!坊主」
「______勿論! 叔父さんは領主だからね、護衛してくれたってちゃんと説明すれば一個二個の金の延べ棒をくれるんじゃない?」
「___領主って言っても、辺境の田舎町のですけどね」と毒を吐くレイヤさん、僕はニッコリと笑顔。
馬車が大きく揺れて左に曲がると、窓から見た事の無い景色が広がった。
繰り返して満ち引きをする空のように青い海は、幾つもの宝石を散りばめた様で、海には色々な魚を取ろうと沢山の船が行き来する、豪華客船のプルラ・アリナマが港で止まっている、僕は興奮して立ち上がり、荷台荷台の出口から景色を見る。
景色の隣に見える多種多様の色をした屋根は、スター・シーストだろうか? 僕が危ない事をしているので、レイヤさんが僕の体を引っ張って、戻す。
僕が興奮してな感想を言おうとするが、レイヤさんは浮かない顔だった。
「____どうかしたんですか?」はっきりと言って無粋な僕に対して呆れているのかと思ったのだが、それも違う気がした。
寂しい思い出を思い出すような哀愁を感じされる物悲しげな目をしていたレイヤさんだったが、それは直ぐにそれは消えて僕を優しく律して僕の体を離した。
「_____所で、レイヤさん。 この海って確か内海でしたよね?」 僕はレイヤさんに聞き、そうですと返事を返す、やっぱりいつもと変わらない、僕は完全に安心してさっきまであった興奮を抑えて、荷台のおくへと歩を進めた。
案の定、疲労を露呈させた馬車の速度では昼迄には付かず日が傾き始める頃に僕達はスタ-・シーストに着くのだった。