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僕の皮肉な冒険譚  作者: リンゴ
第一章
2/6

道中記

僕の屋敷が全焼して、二週間が経った。

最初は希望を持ち、違和感を感じた部分を、国に訴えかけては見たもの最初から最後まで、結果は変わらず、僕の家は事故と処理された。

僕は結果に大いに悲しみ、レイヤさんは僕も僕の側を離れてしまうかと思っていたがそんな事は無く、共に歩む事を誓ってくれた。

屋敷が全焼した事は大きく話題になったが、僕に後ろ指を指すだけで誰も僕を救ってはくれ無かった。

人生そう甘くない事を齢十八にして感じながら、僕は残された少ない遺産の一つ、馬車を使ってレイヤさんと共に叔父の家に向かう事にした。

「____で? ご主人は叔父のユリウスさんの家に向かうと決めたんですね」とレイヤさんは確認を取ると僕は頷いた。

父には弟と妹が居る。

特に弟のユリウス叔父さんは父が亡くなる前から交流があった方、故に僕は叔父さんの家に向かう事を決めたのだ。

叔父は、この国、《ギルガルド王国》の西端、 アエートルジュ村の領主をしている。

其れを知っているレイヤさんは、

納得したのか彼女は馬車を走らせた。

「____やっぱりレイヤさんは経験が多くて凄く、安心します」と僕が素直に言うと恥ずかしいと言って、にやけ顏をする。

馬車の荷台の中は、やはり狭い。

銃と弾薬と保存が効く食料が入っているからだ、あとベンチなどの座って、休憩出来るものなどが入っているからだ。


つけられた左右対称の窓から光が漏れて眩しい、薄暗い荷台の中ではランタンが手放せないが、今日は一段と明るかったのでランタンの中の蝋燭を息で吹いて消した、と急に人が多くいた、道を一つ逸れて木々が多くある森の中を進む。

木漏れ日と涼しい風が吹く、長かった髪は切り揃えられて短くなった僕の頭に涼しい風が大きく吹く。

僕は、立ち上がって落ちていた短剣を拾う。

オレンジブラウン色の革に納められた、15センチ程の短剣の柄を握ち鞘から引き抜く、 光が反射して目がチカチカするほどに磨き上げられた刀身は、何かを切る刀剣としての物で無い事がはっきりとわかる。

僕は短剣の刃先を指で触れて軽く剣を上下させるが、切れる気配は無い。

どうやらコレは儀式用の短剣らしい、よく分からないので僕は短剣を木箱の隣の小さなスペースに納めて設置されている小さな木のベンチに寝転んだ。

そして目を閉じた。

馬車は走る、小さな揺れが心地良く眠気が高まり意識を手放そうとした時、

いきなり、車体が大きく揺れた。

「____どうしましたか! レイヤさん」

左右にある木箱の一つ、落ちて大破してしまうがどうでも良かった、僕はレイヤさんに止めるように言ってから僕はレイヤさんが入りやすいようにドアを開けたあと、荷台から降りて地面を見る。

森が深い場所に入ったのだろうか、地面を見ると結構大きな石が沢山のある、これにぶつかったのかな、と僕は思い荷台の中に入るとのレイヤさんが申し訳無さそうな顔をしている。

「此処まで、休憩無しで来ましたし、一度少し、休みましょうか」と僕が言うとそうですねと相槌打ってから、ベンチに座り、僕も隣に座った。

レイヤさんの顔をよく見ると隈が目の下にある、どうやら寝不足で作業したのが影響しているらしい。

僕はベンチから一、退くように言ってからベンチに柔らかいクッション性のある物を敷き簡易的なベットを作りレイヤさんをそこに寝かした。

レイヤさんは、有難うございますと一礼するとすぐに寝息を立てて眠ってしまった。

僕はそのままを暫くの間、彼女の寝顔を見て和んでいると一人分の足音が近づくのを感じ荷台から降りると、放浪者が近付きつつあった、この獣道は道幅が広いので利用する者も少なくないらしいここに止めるのは些か、問題がありそうだ。

そして放浪者は僕達に近付き、開口する。

「_____此処は馬車が通るには少し厳しい道のはずだぞ、引き返した方がいい。互いの身の為だぞ」と放浪者は、僕達の進行方向の危険性を説く、どうやらここは人が危険さ故にあまり通らない道らしいので少し安心し

「_____仕方ないんです!」と放浪者に向かって叫ぶと彼は小走りで近付き、馬車の目の前まで迫った。

「叫ぶな、静かにしろ。 で?どうしてだ?」と放浪者が疑問を口に出したので、ここが一番近道だからと返した。

「だが、ここは昔から凶暴な山賊が住み着いている森だぞ? そんな危急存亡を掛けなければならない用事があるのか?」

どうやら僕の格好や彼女の服装にこの荷物の多さを見て僕らが商人かな何かと勘違いしたらしく、規定のコースなのかな?と独り言をつぶやいていると

不意に、自然音とは違う人為的な風切り音が僕らの周囲で発生した、それは視認できる鋭い線となり僕らの頭のすぐ隣の通り抜けて大樹に刺さった。

「____クソッタレ、もう目を付けられているぞ! ...早く馬車に乗れ!」と僕は無意識で荷台に走り、放浪者は僕に許可を得る前に彼は馬車を走らせた。

走り出した馬車の車体が荒々しく左右に揺れる。

目を凝らして遠くを見ると馬に乗った如何にも盗賊な奴らが、僕を打ち抜こうと、銃の照準を向けていた。

そして、火薬の弾ける音と風切り音がした、僕の心臓一直線の弾丸は馬車が右に移動する事によって命中する事なく代わり、馬車の車体に命中した。

僕は体制を低くして荷台の奥にある銃器の一つ、先込め式のライフル銃を拾い、銃に弾薬を込めた。

銃の銃床を肩に付けて反動を受ける足運びを済ます、リアサイトを見やり照準を合わせる、一連の動きはスムーズに運ぶのだが、僕が放つ寸前に馬に乗った盗賊の銃から第二射が放たれた。

レイヤさんが僕の方に身を投げる、ベンチの固定部分に命中して、ベンチがそのまま、馬車から飛び出し外へと投げ出される。

落ちたベンチの軌道にいた盗賊の一人が、ぶつかり、そのまま、斜面を転げ落ちた。

馬に乗った数騎は僕の馬車に最短コースで近づく、僕は起き上がり、そのまま身を乗り出して照準を合わせて引き金を絞った。

赤い血飛沫が霧となって霧散する、乗馬していた盗賊の一人は、そのまま転げ落ちた、虚ろな瞳で僕を見たまま。

馬が苛烈し、より一層素早く駆ける。

「____おい、坊主ら生きてるか!、死んでないなら返事をしろ!」と親身で貧乏くじを引いた放浪者に僕たちは返事を返して、葡萄弾___所謂ショットシェルを用いた銃器、二連装ショットガンをドアを開けて渡すと、彼は中折れ式の二連装ショットガンに弾薬を装填して左右に銃を向けて確認する。

そして、顔がこれ以上にないほどに引き締まった彼は、

「____ヤバいぞ! アンブッシュ(待ち伏せ)してやがる! ____クソッいい案が浮かばないな、良い案はないか、坊主!」と焦りが口に出して、冷や汗かきながら僕に案をねだる彼の頭には血管が浮き出ていた。

しかし良い案が土壇場で浮かぶ筈がないので、「____被害なんて関係無しに、強行突破するとかで良いんじゃないですか?」ドア越し見える景色は写り変わるなか僕は正気とは思えない事を声に出した。

放浪者は、最初は顔青ざめて、締まった顔は気味の悪い顔へと変動していく。

「____無謀を策とは言わないぞクソガキ」と思っていた以上の口が悪く、放浪者は悪態をつくので、僕は強行突破の為の切り札を出した。

それは、一見金属のだだの筒に見えるが、これにはあるギミックが存在している。

僕は、この金属の筒を上下に引っ張る、とこの大型の金属筒は簡易的なロケット砲へと様変わりした。

それを構えて僕は、タイミングを合わせて撃つと告げた後、背後で身を屈めて固まるレイヤさん方に足を進める。

______レイヤさんは僕に飛び付いて来た

体勢が崩れて腰を打った、痛い。

が、いまにも泣きそうな、悲壮な表情のレイヤさんの顔を見て、そんな考えは消えた。

いつにも増して甘い香りした気がした。

僕にレイヤさんはこれ以上ない程に密着して、キスをした。

これはきっと誓いの意味を込めたキスだ、2、3秒程、時を忘れた僕たちをげんじつにもどしたのは今までで一番大きな衝撃だった。

僕はレイヤさんから離れて、操縦士にこのロケット砲を持って近づくと彼は、横目で訴える、何してたんだお前らと。

僕は、何も言わずに体勢を低くしてロケット砲を担いで照準を合わせる。

そして、五回めの軌道変更で体勢を崩しそうになる僕の背中を、放浪者は僕を支えて、

「....橋まであと、数百メートルだ。行くぞ!」 僕らは、一気に駆け抜けてスピードを増して盗賊団のバリケードを前に躍り出た、一瞬が決行する世界の中で僕達は眩い光を纏うような感覚を感じた。

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