表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/31

レンジャー

「ちわーっす」

 大嗣たいしはあいさつしながらいつもの空き教室のドアを開けた。

 そして閉めた。

 ドアを開けて目の前に謎の赤レンジャーがいれば、そうせざるを得ないだろう。

「なんだったんだ・・・今の」

「どうしたんすか?」

「おわっ」

 謎の赤レンジャーのことを考えすぎて背後にいた鶴美つるみに気付かなかった大嗣は声をかけられ驚いた。

「何すか?なに驚いてるんすか?」

「いや・・・すまん」

「入らないんすか?」

「いや・・・謎のレンジャーが」

「なに言ってんすか?入りましょう」

 鶴美は笑いながら大嗣を急かしてきた。

「お、おう」

 意を決して大嗣は再びドアを開けた。

 増えていた。赤だけでなく、さっきまでいなかった青と緑もそこに立っていた。

「増えてるぅぅ!!?」

 大嗣は叫んだ。今この場で思いついた言葉をただ叫んだ。

「なに叫んでるんすか~?」

「いやいや何言ってんだよ?・・・この状きょ・・・はああぁぁぁ!!?」

 振り返って鶴美の方を向いた大嗣の目に飛び込んできたのは黄レンジャーだった。見事な早着替えで鶴美は黄レンジャーになっていた。

「な、何やってるんですかみなさん!?」

 驚き疲れた大嗣は観念して訊いた。

「なにって・・・レンジャーごっこだよ!」

 赤レンジャーもといあいが元気よく答えた。

「子供ですか・・・」

「君のもちゃんとあるよ」

「いや、俺はやらないですよ・・・っていうか何でおれピンクなんですか!?」

 大嗣に手渡された衣装は女子が着るべきであろうピンク色だった。

「大丈夫。それは男子用のピンクだよ~」

「絶対嘘です!ほらスカートのヒラヒラついてる」

 大嗣の言う通りピンクの衣装の腰の部分にはスカートのようなヒラヒラがついていた。

「ごちゃごちゃ言わずにやろうぜ」

 緑レンジャー改め新が言ってきた。

「じゃあ、あらたさんがやってください」

「断る!なぜなら私は緑レンジャーだからだ!!」

 完全になりきっていた。

 ・・・・ダメだこの人。

 大嗣は呆れてものが言えない様子だった。

「じゃあ、青レンジャーやるかい?」

 青レンジャーのそらが「やれやれ」と言ったような感じで言ってきた。

「良いんですか!?」

「だがその場合、女子高生の脱ぎたての服を着ることになるんだが・・・覚悟はできてるかな?」

「・・・・ピンクで行きます」

 口にするのも恐ろしい参事を想像してしまった大嗣はあっさり諦め、ピンクレンジャーを引き受けた。


 この日はレンジャーの集合写真を撮って終わった。

 思いのほか楽しかったが、後日ピンクの服着た自分がポーズとか決めてる写真を見た時のドン引き具合は言うまでもない・・・

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ