アニメ
「たいちゃんっていつも何読んでるの?」
大嗣が読んでいる本を覗き込んで会は訊いてきた。
「え?ラノベですけど」
「ラノベ?」
会は小首を傾げた。
「まぁ簡単に言うとアニメの原作みたいなもんですよ」
「あ~なるほどね~あの絵とかが入ってるやつね」
納得した様子でポンと手を叩いて言った。
「そうですね。会さんはアニメとか観ないんですか?」
「たまにかな~そんで面白そうだったら続けて観たり」
「なるほど」
「たいちゃんはどんなアニメが好きなんすか?」
会と大嗣にコーヒーを持ってきた鶴美が話に入ってきた。
「そうだな・・・泣ける系とかお笑い系とかかな」
あごに手を当て考える仕草をして大嗣は言った。
「アクション系はバトルとか?」
会が訊いてきた。
「そうですね、嫌いではないですけどそう言う系は設定がごちゃごちゃしてたりするとちょっとあれですね」
「あ~、「なんでこうなったの?」って言うのがあると困るよっすよね」
「そうなんだよね。つるちゃん話が分かるね」
「まぁいろいろ観てますから」
大嗣と鶴美は親指を突き立てたグッドポーズをお互いに向けて、笑い合った。同志を見つけた喜びを分かち合った。
その様子を若干引いた様子で会は見ていた。
「あ~アニオタがはしゃいでる・・・」
「ちょっと!会さん!!」
「え・・・?な、なに?」
大声で突っかかってきた大嗣にちょっと怯えるように会は返事した。
「アニオタを馬鹿にしないでください!!」
「そうっすよ!」
「え?」
「俺たちは皆がドラマを観る代わりにアニメを観てるんです!」
「そうっす!そして俳優の代わりに声優が好きになるんすよ!」
すごい剣幕で大嗣と鶴美は会に迫った。それはまるで今までアニオタと馬鹿にされてきたストレスを発散しているようだった。
「え・・・あ、はい・・・すみませんでした・・・」
会はそう言うしかなかった。完全に怖気づいて今にも泣きそうな表情をしていた。こんな会は初めて見た。