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フリョリーテイル  作者: 浅野エミイ
第4章

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22/30

4-5

 オレらが広場に行くと、すでに5人の戦士たちは集まっていた。集まって何をしていたかというと……。


「…………」


 その景色にオレと高坂はまた閉口する。ダイヤ……鏡石と言ったっけ? に自らの姿を映し出し、ポージングしているエルフたち。朝から胃が重くなる。


「ボクって本当にかわいいなぁ♪」


「もう少し、色気のあるポーズのほうがいいだろうか……」


「なぁ、ヴィーナ! 次はペアでポージングしてみようぜ! 男同士の色気が出るかも!」


「……うん、それ、いいね」


「あんっ、ヤダァ! 今日も髪の毛サラサラァ~!! もうっ、色っぽいんだから。あ・た・し」


 うざいエルフたちは、オレたちが広場に来ていることに気がついていない。自分たちの美を鏡に映すことで精いっぱいだ。


「……さすがにうざいな」


「あ、高坂もそう思ってたのか」


「この状況を見て、『そう思わない』ほうが常人じゃない」


「まぁな」


「ここは、天誅をかまそうか」


 100均バンドを静かに外すと、構える高坂。来るぞ……。


「お前ら……いい加減にこっちに気づけぇぇぇっ!!」


 ドゴーンッ!! と大きな音が鳴り、地面に穴が開く。パンチ+静電気の合わせ技だ。


「あんッ、もぅ聖女のくせに野蛮ねぇ~」


「うっせぇ、カマナルシスト! いいか? 今からお前らは魔法を使わず戦ってもらう。相手は……サキだ!」


「……は? って、えぇぇ!? 俺ぇ!? なんでだよ! おめぇが戦うんじゃなかったのかよ!」


「私より、サキと戦ったほうがわかりやすいだろ? 私は静電気がプラスされて強いんだから」


「……戦う?」


 根暗なヴィーナがなぜか反応する。ウィンがピクリとした。声を上げたのは、やはり血の気の多いシュンだ。


「戦うんならふたりまとめてでいいよ、お姉ちゃんたち! 聖女がどれだけ強いか見せてもらおうよ!」


「シュンのおじちゃんったら……。もうやるっきゃないって感じだね」


 比較的温厚だと思ったディディまでも臨戦態勢だ。ヤバいんじゃないか? これ。


「2対5って……卑怯じゃない?」


「ダイジョーブ! あたしたちは魔法、使わないから。村を破壊しようとしたふたりだもの。5人相手くらいできるわよね?」


 パキパキと手を鳴らすネオに、嫌な予感がする。待て、こいつら今日は武器ないよな? ステゴロだったらいけるんじゃね?


 オレは調子に乗った。


「上等! 久々のド派手なケンカじゃねぇか! しかもステゴロ勝負!」


「ふふん、甘いね。お兄ちゃん」


「え?」


 シュンは魔法で青龍刀を取り出す。ディディは槍。ウィンはナックル、ヴィーナは刀、ネオは鞭を手にした。


「おいおい、ずりぃぞ……高坂、どうする?」


「サキ、おどおどすんな。どんな武器を持っていようが変わりねぇ。お前だって、ナイフとかチャカとか持った相手と戦ったことはあるだろ?」


「あるけどさ……仕方ねぇ、やるっきゃねぇのか」


「そゆこと。じゃあ、お前らのお手並み拝見と行きますかっ!! とりあえず、相手が気絶したら負けだ! いいな!? サキ、お前に好きな相手選ばせてやんよ!」


「じゃあ、ウィンとヴィーナとシュンをもらうわ」


「3人も相手にできんのか? まぁいい。行くぞっ!!」


 高坂とオレは、エルフたちに向かって突撃する。


「こっちだって上等だっ! ハッ!!」


 ウィンのナックルが頬をかすめるが、寸でのところで避ける。このくらいの速さな余裕だ。脇腹が開いたところに膝蹴りを食らわす。


「うっ!」


「はぁぁぁ……」


「日本刀か? そんなもん怖くねぇんだよ!!」


 振り下ろされるが、すっと一歩引く。それだけで避けられる。


「何のっ!!」


「だーかーらー……武器っていうのはさぁ、あるところが丸出しなんだよっ!! ていっ!!」


 刀を握っていた手の甲に、かかと落とし。これは結構痛いはずだ。当たったところがビリビリしたのか、一瞬片手を日本刀から離すヴィーナ。

 

「ハイハイハイハイっ!!」


「!!」


 青龍刀らしきシュンの連続突きが襲い掛かる。こいつは小柄だからな、スピードが速い。ギリのところで避けるが、小柄な相手はある意味『ここ』が隙だらけなんだ。地面を強く蹴って高くジャンプをすると、シュンの頭に手を置いて後ろに回る。


「!?」


「ばぁか、がら空きだ」


 首の後ろに手刀を食らわすと、膝から崩れ落ちた。……こいつら、もしかして肉弾戦すごく弱い? 武器持ってこの程度って……。


 3人倒したオレは、後ろで戦っている高坂に声をかける。


「高坂ァ、こいつら超余裕だぞ? こいつらが戦士って……おい、何やってる」


「何って……接待?」


 高坂は、ネオに髪の毛を解いてもらっている。小さい鏡石を持っているのがディディだ。


「ユナちゃんって、人間としてはそこそこかわいいのに、髪の毛のお手入れ全然なってないの!! 今朝も寝起きでしょぉ? ブラシで梳かすくらいしなさいよォ~」


「藁しかない馬小屋に寝かせたのはお前らだろ」


「まぁまぁ、お嬢さん。怒るとかわいい顔が台無しだよ?」


「そうか?」


「おいいいっ!! 高坂ァ!! おめぇは戦闘しろよっ!」


「そうか? じゃあ……」



 バチンッ!! 



「!?」



 髪の毛を触っていたネオが、いきなり手を引く。静電気にやられたのか。


「面白い子猫ちゃんね……あたしと戦いたいの?」


「私も、女性に手を上げるのは主義に反するのだが……」


「いや、お前ら強くなりたいんでしょ? だったら実力見せてもらうよ」


「それもそうね。デイヤの村の鏡石を守るため。キエェェェェッ!!」


「いや、鞭っていう武器自体、チョイスミスだから」


 ネオの振るった鞭だが、うまく高坂に当たらない。もしかしてネオ、鞭使うの下手……? 鞭の先を高坂に捕まれると、ぐいっと引っ張られる。


「きゃっ!」


「何が『きゃっ』だよ。おらぁ!」


 ネオを引き寄せた高坂は、あごに頭突きを食らわせる。そんな中、後ろからディディが槍で突っ込んでくる。


「おりゃぁぁぁ!!」


「お前はイノシシか」


 槍も先に刃物が付いているだけのものだ。先端を避けてしまえばただの棒。高坂はひらりと避けて棒をいなすと、また掴んでディディを引き寄せ、あごに頭突き。


 さっきから2連続で頭突きしているが、高坂、おめぇは石頭か。


「瞬殺だったな」


「エルフ、口ほどにもねぇ」


 高坂とオレが仁王立ちしていると、シュンが軽く手を上げた。


「参ったよ……ボクらの話、聞いてくれる?」


「どうしたの? シュン」


 高坂が珍しく優しく尋ねる。やっぱり見た目が子どもだからだろう。(でもシュンは最年長)


「ディディから説明して。ボクから難しい話をするのはニガテだから」


「わかったよ。……お嬢さん。私たちはもともと武術……肉弾戦が弱いのです。その代わり、魔法の力は計り知れない」


「聖女のねーちゃんにナルー様やシュンが魔法使っただろ? あの力、普通だったら人間の軍隊一隊が消滅するくらいの力だったんだ」


「……マジで?」


「高坂、『マジで』じゃねぇ。おめぇの力がマジで? だよ」


 ウィンの言葉に高坂は唖然とするが、すげぇ巨大な光の弾だったからな。それだけの威力があったと言われても、おかしくはない。


「……だけど、コフィン国の人間は、防具で魔法を吸収しているんだ。その防具の秘密がわかれば……」


 前髪が長くて表情はよくわからないが、悔しそうにつぶやくヴィーナ。


「だったらさ、コフィン国に忍び込んで、その防具をかっぱらって村で研究すればいいじゃん」


 あっさりと盗みを指示する高坂。


 次回、聖女とおつき、敵国に潜入!こうご期待!

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