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フリョリーテイル  作者: 浅野エミイ
第4章

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18/30

4-1

 高坂が……。


「聖女ぉぉ!? はぁ!? こいつがぁ!?」


 あっさり言ったナルーさんとは逆に、オレがオーバーリアクションを取ってどうすんだって感じではあるが、驚きを隠せないでいた。


 このナチュラルボーンバンデットが聖女だったら、うちの母親は神だし、その辺にいるどんなドブスもエンジェルだっつーの。


「どこら辺が聖女なんだよ。こいつに村崩壊させられそうになってんだぞ!?」


「いやいや、私の転校した白薔薇学院はミッション系でな。そこで風紀委員をやっていたんだから、聖女と呼ばれてもおかしくない」


「風紀委員ってところがわかんねーよ! どうせおめぇのことだから、早々に先公に目ぇつけられて、暴れても差し支えのないように『風紀委員という名の用心棒』に雇われたんだろ!」


「うぐっ……まぁ、その通りだが」


「ナルーさん、頭おかしいだろ! どうしてこいつが聖女になるんだよ、ったく」


「村を崩壊されそうになったのは確かですが……そうだ、あなた方はどうしてこの村へ来たんです?」


「召喚されたんだ、異世界から。ふふふ、こういうシチュエーションだと私は余計に聖女っぽいな?」


 にやける高坂は置いといて。


「召喚の儀式でもしたのか?」


「ええ、一応。ただ、魔法が確かだったら、この村の中心に聖女が来る予定だったのですが」


「オレらが吹っ飛ばされたのは野原だったぞ」


「なんですって!? もしかして『聖なるしろつめの丘』のことですか?」


「そこかは知らないけど、私たちが目を覚ましたのは川を挟んだ先にあるところだ」


「おお!! やはり聖女!! 聖女ですよ、みなさん!!」


 うおおお!! と村人の声が響く。


 なんだかよくわからないけど、オレたちのテレポートしてきた場所っていうのが、このエルフたちにとっての聖域だったってことか? だから高坂は聖女認定されてるのか? ……マジか。


「で? 私が聖女だったらなんだってんだよ」


「遅いですよ!! 来るのが!!」


「えぇ~……逆ギレぇ?」


 困惑する高坂に、鼻息荒くナルーさんがまくしたてる。


「私たちが儀式をしたのは昨日の夜!! 一晩待っても来ないから、また今夜も儀式していたところですよ! そしたらもう……いきなり乱入するんなんて! あんた、本当に聖女ですか!?」


「だから本当に聖女かどうか怪しいって、オレは言ってるじゃん!」


「そうだ、私が聖女だ!」


「高坂ァッ!! てめぇは黙っとれ!!」


 叫ぶが、高坂はそんなオレに耳打ちしてきた。


「まぁまぁ落ち着けよ、サキ。私が聖女だってことにしておけば、この村での安全は確保される。メシにも困らないだろ? それに本当に私が聖女で、もし呼び出したのがこいつらだとしたら、元の世界への戻り方も知っているはずだろうしな」


「……確かに」


「お前、本当にバカだな」


 納得すると、高坂はボソッとつぶやいた。


「ところで、その儀式ってのは男が服を1枚ずつエロく脱ぎながらクネクネ踊って、それを見ながらメシを食うことなのか?」


「ええ、これは村の戦士たちの美しさを聖女に捧げるという意味合いがあるんですよ。聖女……そういえば、あなた方のお名前は?」


「私は高坂ユナ。こっちの下僕はサキ」


「誰が下僕だ、オラァ!!」


「んだと、聖女は私であって、お前はおまけみたいなもんだろ! 元の世界に帰りたかったら黙って従えや、コラァ!!」


「ぐっ……」


 その通りだ。聖女として呼び出されたのは高坂であって、オレはオマケ……あれ? ってことは。


「おめぇがひとりだけ異世界に来てりゃよかったんじゃねーか!」


「るせぇ! ひとりじゃ心細いだろうからって、お前も連れてこられたんだよ! 天の思し召しじゃ!」


 神様ってひどいな。こんな邪悪な女を聖女にして、関係ないオレを巻き込み異世界に転移させるなんて。オレはただ、平和を常に願う、ステゴロメインの地元ヤンキーだっつーの。そんなオレがなんでこんな目に……。


「なぁ、ナルーさん。さっさとオレらを元の世界に戻してくれねぇかな。どうせここにいたって力になれない。っていうか、どんな力になってほしいんだ?」


「コフィン国に鏡石を奪われないために、コフィン国の兵士になぜ魔法が効かないか解明したいのです。そのためには魔法の効かない聖女の力を知らなくては。そのための供物……わが村の美しき戦士たちの舞だったのですから」


「美しい、ね」


 ふんどし状態の5人の男たちを見る。


「こいつらが戦士なの?」


 様々なジャンルのイケメンが5人。ひとりずつ自己紹介していく。


「ボクはシュンだよ。よろしくね! お姉ちゃん!」


「シュンくんっていうの? よろしく!」


 高坂は小学5、6年生くらいの少年と握手を交わす。


「えへへ☆」


「かわいい……」


 デレデレする高坂に、ナルーさんがシュンについて補足する。


「シュン『さん』は齢10000歳のこの村最高齢の戦士なんですよ。不意打ちが得意で、その容姿を生かし、人を騙すのが得意なんです。私も頭が上がらなくて。魔力も私より高いんです」


「い、10000……!? どう見ても12歳くらいじゃ……」


「ぶーっ! しっつれいだなぁ。ボクはそんな精子じゃないよ!」


 せ、精子……。まぁ10000年も生きてたら、12歳なんて精子と変わらねぇよなぁ。


「ところでお姉ちゃん、彼氏いるの? ボク、年上の人って憧れちゃうなぁ」


「彼氏は、う~ん、私より強い人がいいの。ボクはまだ早いかなぁ?」


「そっかぁ! ……じゃあ強ければいいんだね? えーい! 食らえっ、若かりし蒼い炎!!」


「はぁっ!?」


 いきなり攻撃魔法!? なんだ、こいつ! 聖女(笑)に向かって!! オレが焦っても、高坂は冷静に腕のゴムバンドを外す。


 蒼い炎はパアンッ! と高坂に弾かれる。


「ありゃりゃ。ナルーがダメでもボクならいけるかなぁと思ったのに。本当にマジックキャンセルしちゃうんだ」


「シュンのおじちゃん、さっき見たでしょ? ダメだよ、人を試すような真似をしちゃ」


「ディディ、ごめんごめん。ちょっと力がどの程度のものか気になってさ」


 シュンの……『おじちゃん』? まぁ10000歳だからそうなんだろうけど、この『ディディ』と呼ばれたエルフ、どう見ても30代のダンディなおっさんなんだが……。


「あっ、こっちはディディ。この村最年少なんだ。まだ500歳でね。ボクと世代交代するつもりで戦士になったんだよ」


「ディディです。よろしく、お嬢さん」


「はぁ」


 高坂の手の甲にキスをするディディ。まぁ高坂もポカンとするわな。30代のダンディが12歳の子どもをおじちゃん扱いしてる上に、実際に年下らしいなんて。


「おーっとぉ、楽しそうにしているところ悪いが、さっさと俺たちの紹介もしてくれないか? な、ヴィーナ」


「……うん」


 赤毛の短髪細マッチョなさわやかふんどしと、V系なのか少し根暗そうな黒髪長髪イケメンふんどしが割って入る。こいつらも一応戦士なんだよな……。細マッチョのほうは、少し筋肉もついているし、強いのかもしれないが……根暗のほうはどうなんだ? と若干疑問がわく。


「俺はウィン。そして、こっちがヴィーナだ。よろしくな!」


「ふむ……どちらもなかなかなイケメンね。肩を組んでいるということはカップリングしてほしいということかしら?」


「カップリングってなんだよ」


 高坂がなんかブツブツつぶやきだしたところを、オレが止める。なんだかだんだんカオスになってきたな。あと残るはホストみたいなひとりか。


「あらぁ、アナタ。髪の毛が少し痛んでるわよ?」


「え? マジか」


「もぅ、人間のオンナってなんて無頓着なのかしら!」


 一番強烈なのキタなぁ……。ピンクのロンゲを縛っているインフルエンサーのホストみたいなオネェ系ふんどしが、高坂の髪をいじりながら自己紹介をする。


「あたしはネオ。気軽に『ネオちゃん』って呼んで? あたしに遠慮なんていらないわよ。というか……アナタ、磨けば光るタイプでしょ? あん、もっとかわいくならなきゃ!」


「そ、そうか? まぁそう言われて悪い気はしないな」


「高坂! デレデレしてる場合かよ……ホントに」


 ふんどし姿の戦士全員が自己紹介を終えると、ナルーさんが腕を掲げた。


「さぁ聖女よ! これらの戦士たちに力を与えよ!」


「力をって私が? ……どうやって?」

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