表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フリョリーテイル  作者: 浅野エミイ
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/30

3-4

「彼女には魔法が通用しないようですね」


「は?」


 ナルーと言ったパツキンロン毛エルフ野郎は、不思議そうにあごに手をやった。隣でメシを食っている高坂に、魔法が使えない?


「どういうことだ? ナルーさん」


 一応年上っぽいので、敬称を使うオレ。一応年功序列には従いたい。高坂は別だが。メシも恵んでもらっているからな。


「先ほどあなたの動きを止める魔法……アレを彼女にもかけたのですが、まったく通用しなくて。どういうことでしょうか」


「どういうことって、オレに聞かれても……。でも、コトバはわかるようになっただろ? 翻訳の魔法だっけ。高坂にそのまま聞いてみれば?」


「それが……翻訳の魔法も効いていないみたいで」


「そーなの?」


 何故だろう? 異世界人だからとか? いや、だとしたらオレだけ魔法が効いているのはおかしい。異世界人だから魔法が通用しないというならば、オレも魔法は効かないはずだ。なんで高坂だけ……。本当に魔法、聞いてないのか?


「なぁ、高坂」


「ん?」


 果物がなくなり、隣で固い石のようなパンをかじっている高坂に声をかける。こいつは腹が満たされればなんだっていいのか。


「ナルーさんのコトバ、さっきから聞いてるだろうけど理解してるか?」


「は? 相変わらず何言ってんのかわかんねぇじゃん」


「おめぇ、わかんねぇのに勝手にメシだけ食わせてもらってたのかよ!」


「え? このままだと村を壊されると思って私に降参したんじゃねーの?」


 なんだ、こいつ。女王様かよ。まぁ女王様と言えばそうなんだろうけどな。元いた世界でも、こいつに殴られることに快感を求める変態もいたことだし。


「やっぱり魔法効いてねぇのか?」


「おかしいですね……。こうなったら、試させていただきたい」


「試させてって……は?」


 ナルーさんは構えると、また何か呪文を唱えだした。


「万物の光となる空に住む身を傷つける風の精たちよ……」


 ナルーさんの周りに、小さい竜巻のようなものが現れる。


「おっ、なんだなんだ」


 高坂はそれを珍しそうに眺めている。お前、今魔法をかけられようとしてるのに、のんきだな。高坂はオレとナルーさんの会話を聞いていないから、試されることに気づいていない。


 オレはナルーさんを止めようとはしなかった。純粋に、高坂は本当に魔法が効かないかどうか、知りたい。物理が強くて、異世界で魔法が通用しないってことは、もしかしたら最強なんじゃないか?


「わが手に集まるかまいたちよ、眼下の敵を捕縛せよ――!!」


 ナルーさんが手を高坂のほうへと振ると、イタチのような風の精たちが高坂の周りをぐるぐると回る。


 高坂はというと……。


「おい、果物おかわり!」


 ダメだ、本当に魔法は効かない。その上ずうずうしいことにおかわりを要求している。


「魔法が効かない人間……困りましたね。こうなったら!」


 村人とオレが見守る中、ナルーさんは大きく息を吸った。



「すうっっ……シュォォォォ……」



 あっ、なんか見たことある。武術家が本気を出すときの呼吸法だ。マンガで読んだことがある。


「お、おい、何する気だ?」


「魔法が効かない人間……非常に興味深い! 彼女を倒せたら、コフィン国を倒すヒントが得られるかもしれない。彼女には二人分の一食の恩を返すという意味で、死んでもらいます!」


「はぁっ!? ちょ、ちょっと待てよ!」


「コホォォォ……行きますよ」


 い、いや、マジで待て! メシをゴチったからひとり殺してもいいなんて、どんな部族だよこいつら! 


「高坂、臨戦態勢取れ! 攻撃されっぞ!」


「……あ? っていうか肉はねぇのかよ。まっじぃ野菜の煮物とか、そんなもんしかねぇじゃねぇか」


「お前、わがままばっか言ってるから――」


「火の神よ、焔を司る黒龍の吐息を我と契約し、目前の敵に火球を降らせ! 食らえっ、闇夜の炎魂烈弾!!」


「高坂ぁぁぁ!!」


 空が光り、大きな火球が高坂の真上に落ちてくる。しかし、その火球は高坂に当たる前にパアンッ!! と大きくはじけ飛んでしまった。


 高坂はと言うと、平然と何もなかったかのようにメシを食らい続ける。


「……あん? なんか光ったか? ま、いいや。だからさぁ、果物! 若しくはまずくないメシ! サキ、言ってやってよ」


「き、効いてない……? 最高位の魔法が……弾かれた?」


 ナルーさんが膝から崩れ落ちる。今のを見ていた村人たちは、余計に騒ぎ出す。


『西東京の魔女』――本当に魔女だった、とか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ