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物書きの言い訳

日本語は 日本語だけで 話せない

「日本語は 日本語だけで 話せない」

 ある雑誌に投稿されていた川柳だけど。

 最近「その通り!」と痛感している。別に(ちまた)に流れてる歌謡曲のほとんどに一節は英語の歌詞がまざってるとか、「ネットにアクセスしてマップをゲットする」

 なんて科白をよく耳にするからってワケじゃなくて、自作のファンタジー小説ウェリガナイザを書いていて思うワケ。


 「地獄に堕ちた者 ディルヴィシュ(byロジャー・ゼラズニイ)」っていう小説では、翻訳の黒丸氏が固有名詞以外のカタカナを徹底排除する事にしたようで、キャラクターの服装が羽織り、袴に長靴、外套ってな描写になっている。

 どうも妙なものを想像しがちなんだけど、れっきとした洋物の話なので、ヴェスト、ズボンにブーツ、マントの事だろう。

 さすがにそれはやり過ぎだと思うので、ドレスだのスカートだのってカタカナは使ったけど、ウェリガナイザの中では極力カタカナを使わないようにしたい。(これは私のちょっとしたこだわり)


 でもさァ、テーブル=食卓、ベッド=寝台、グラス=杯なんてのは簡単に置き換えできるけど、マグカップ=把手付の杯、チーズ=乾酪、ハム=薫製肉――ちょっと苦しい、クッション――座布団でも枕でも、イメージと違うものを想像されそう。

 (建物の)ウッドデッキ――甲板だと船になっちまう、どうすりゃいーんだっ? 濡れ縁か? ってな感じでイライラする事このうえない。


 どーして私の頭の中に最初に浮かぶ文章が「タイミングが問題だ」とか「チャンスを逃すな」「ショックを受けた」「バランスを保て」「デモンストレーションだ」「ジャンプしろ」「ドアをノックした」「ウィンクした」等々、やたらめったらカタカナだらけなんだろう?

 文脈によって相応しい和語を選ぶのも悩みまくる。

 タイミング(時機)・チャンス(機会)・ショック(衝撃)・バランス(均衡)・デモンストレーション(示威行為)・ジャンプ(跳躍)・ノックした(叩いた)・ウィンクした(片目をつむった)だとしっくりこない事もあるので。


 漢字を使っている時点で日本語なんて元から外来語だらけではあるのだけれど、個人的に古めかしい感じの世界を描いている物語で使われる言葉は「キス」よりも「くちづけ」、「ハグ」よりも「抱擁」の響きや字面の方が好き。

 もちろん、これも物語の状況によりますが。



(余談)

 「ムッドレのくびかざり」という児童文学。これはどちらも日本語だけれど、絶版になっていたのが復刻されたと知った時に目にしたレビューに

 「旧訳でのユニコーンの訳語の「つのうま」が美しい響きであまりに印象深く、「イッカクジュウ」にはなじめませんでした」

 に共感。

大昔にホームページに掲載していたコラムに加筆訂正したものです。

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― 新着の感想 ―
取り込んでしまった外来語は、もう日本語なんです。きっと。 だから、使用をためらう必要もないのです。多分w つのうま、ですか。自分は昔は「ひとつつの」って称していました。 「ひとつつのの館」、とか「ひ…
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