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借りを返す


 ピコ……ブブー。



 あれ、無理なの? もう一度……。



 ピコ……ブブー。



 そんなはずは……もう一度。



「ロックしてるから無駄だけど」


「え?」


「え? じゃなぁぁい! 何コソコソあたしのステータスを見ようとしてんのよ! あんたは!」


「あ、ほら……一応……て、天使ってどんな能力あるのかなーって。あはは……」


「ったく。プライバシーもクソもないんだから。スキャンは敵に対して使うものなの! それにしても驚いたわ。まさか人間がスキャンを使えるなんて」


「スキャンって言うんだ。この魔法」



 ピコ……ブブー。



「だからやめてってば! バカ! ヘンタイ!」


「お、大きな声出すなよ。ほら、あそこだ。俺が気絶してた場所」



 俺達はクリティカルオーガ、通称〝2階建ておじさん〟の巣窟の1番奥、俺もあのフェアリーみたいに眠らされて運び込まれたんだ。

 敷き詰められた藁の上に、大事そうにフェアリーを置いたおじさんを発見!



「ハネ……コドモ……ウマソウ」



 やっぱ食べる気らしい。

 よし! 復讐に来たぜ! おじさん!

 この前、空腹でスタミナ切れになってた俺の体をおもっきり殴りやがったからな。



「あんたはここにいて。あたしが」


「何言ってるんだよ。リラこそここで待ってろ」


「あんたね……忘れたの? この前死にかけてたじゃない」


「あれは空腹でスタミナ回復出来なかったんだよ。スキルが使えなくなってたんだ。今は空腹じゃないしスタミナも満タン。リラもスキャンが使えるなら、あいつのスキル調べられるんだろ? まともに戦ったらやばいから俺に任せとけって」


「はあ? 戦うわけないじゃない! フェアリー(あの子)を救うの! あんたを助けた時みたいにラループで!」



 それは根本的な解決になってないよリラちゃん。

 これ以上の犠牲を増やさない為に、倒しておくんだよ。



「いや戦って倒しておくべきだ。また他の犠牲者が出るんだぞ?」


「だったら、救出してから戦えばいいじゃない」


「あー。そうか、なるほど。その手もありだな。流石マイエンジェル♪ カワイコちゃん、俺の天使になってみないか?」


「既に担当の天使なんですけど。も〜ふざけてないで……あれ? なんか辺りが急に暗くなった気がするんだけど……」


「……確かに。……まさかあいつが!?」



 話に気を取られてる隙に、あのおじさんが接近して来たのかと思って、慌てて目線を戻したんだけど動いた素振りはなかった。

 大きな人差し指を舐めて、ちょんちょん羽を触ってるんだが……うえぇ臭そう……まあ俺も相当臭かったけど。



「あれ何してんだ? 唾つけて俺のものみたいな?」


「知らないけど、早く助けてあげた方がよさそう……」



 ん? 何だかさっきよりもさらに辺りが暗くなったような……。

 あれ、なんか地形変わってないか? こんな真後ろに巨大な岩なんて……。

 そう思って見上げたら、これまた巨大な顔が俺達の頭上にあったんだ。



「か、かおぉぉぉぉぉぉーー!!?」



 もう1体いたのかっ!?

 丁度巨大な股下地点にいた俺はそのままサッと通り抜け背後へ。



「え? 顔…………………………ヒィ!?」


「ウガァァァァ!」


「いやぁぁぁぁ!!」



 まずい!? あの構えは【絶対クリティカル】だ!

 俺は咄嗟に【ミスティール】を召喚する。



 ブゥゥン!



{ゼン←召喚【ミスティール】を召喚した}

 ∟{St100→87}



 この子は主にサポートに長けたヴァルガントで、特に【ミラージュムーブ】が強過ぎる。

 まさに今、それを使う為に召喚したんだ。



{ゼン←命令【ミラージュムーブ】}

 ∟{St87→37}



「キュルキュル!」



{【ミスティール】←【ミラージュムーブ】を発動した}



 ピシュン! ピシュン!



 効果は対象と【ミスティール】の位置を入れ替えると言うもの。

 【絶対クリティカル】が命中する寸前のリラと、安全地帯にいる【ミスティール】の位置が入れ替わったんだ。


 ふぅ。間一髪間に合ったな。

 【ミスティール】は一言で言うとキノコ少女だな。

 キノコの傘の部分を帽子のように被っててかわちぃ⭐︎

 ヴィジュアル系バンドマンが【狼炎】なら、メルヘンアイドルは【ミスティール】って感じ。雰囲気ね。



「え? あれ?」


「会いたかったぜ、マイエンジェル♪」


「今のって……あんたがやったの?」


「へへ、まあな⭐︎」


「あ、……ありがと」



 ズドォォォォーーーン!!



{【ミスティール】←9999ダメージ}

 ∟{【ミスティール】←戦闘不能}

  ∟{【ミスティール】←CT240sec.}



 防御力3倍のパッシブを取っててこのダメージ……耐えられなかったか。

 ありがとなー【ミスティール】!

 お前のおかげでリラを助けられたよ!



「あぁ!? あの子、あたしのせいで身代わりに……」


「ん? 大丈夫! あれはヴァルガントって言って俺の魔力で生み出した奴だよ。また復活するから気にしなくていい」


「魔力で生み出した……ヴァルガント……」


「うん。あ、魔力じゃなかったか……ステータスもMpじゃなくBpだし……とにかくめちゃ強い力で生み出した奴……あはは」



 そう言えばBpってずっと0のままなんだよな。レベルアップで増える事もないし。



「ウガァ? キエタ。アタヂノエサ」



 巨大過ぎて気づかなかったが、確かに原始人のような布で覆われたお山が2つ確認できた。

 あ、2階建て()()()()だったんですねー⭐︎



「よくも俺の大切な仲間を怖がらせたな!! 覚悟は出来てんだろうな!!」



〝St16〟



 少し回復してるな。これで【狼炎】を呼び出して……。



 ブゥゥン!



{ゼン←召喚【狼炎】を召喚した}

 ∟{St16→3}



 よっしゃ【狼炎】! 2体まとめてぶっ倒すぞ!

 スタミナが回復するまで撹乱してくれ!


 レベル1の時は何か行動する度にStを消耗してたけど、スキルツリーで召喚系のパッシブを取りまくってたら基本行動でStが減る事が無くなったんだよなー。


 呼び出す時と、さっきの【ミスティール】みたいに技を使う時以外ではStを消費しないのよね。


 う〜ん♪ 良き良き☆



「ウオォォォン!」



 了解、と言わんばかりに遠吠えで2体にアピールした【狼炎】を見届けた後、フェアリーの所にいたおじさんが綺麗に釣られて行くのを確認。


 今のうちに助けよう。



「リラ、今のうち……」



 翼を使って低く滑空しながらフェアリーが眠ってる所へ向かうリラを見つける。



「へへ……さっすが」



〝St42〟



 スタミナが戻ってきた!

 【狼炎】を一旦こっちに戻して……と。



 ピシュン。



「ウガァ! キエタ! イライラ!」


「…………アゾゴダァ! アタヂノエサァァァ!」



 ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン! ドスン!



 や、やば。走って来やがった!?



「よ、よっしゃ狼炎! 霊神召喚で決めるぞ! はあぁぁ……我が言霊の……力を……えと、こ、虚空へ……あの……なんだ……もういいや霊神召喚!!」



 ヒイィィィィィィィィィィン!



 うん……まあ、言わなくても出来るんだが。

 せっかく地球から転生してきて、やっぱ呪文詠唱とかやってみたかったし、カッコつけたいじゃん。


 【霊神召喚】はヴァルガントを霊神化させる、簡単に言うと超美形の人型になる、人格が入る、めちゃくちゃ強くなる、Stの管理が楽になる、霊神技が使えるなどなど、良い事しかないんだよなー。


 特にSt管理が楽になるのが良き。

【霊神召喚】はSt100、つまり全部使うんだけど、リザーブと言ってSt100を〝占有〟する形で召喚するスキルなんだ。

 Stが100だったら消費無しで召喚が可能。


 その代わりStを消費するスキルが一切使えなくなる。

 

 デメリットはあるけど、それ以上にメリットが大き過ぎて気にならないくらい。



 ギュイィィン!



{ゼン←召喚【霊神狼炎】を召喚した}

 ∟{St100→[100]をリザーブした}



 お! このサウンド!

 霊神化した【霊神狼炎】の召喚完了だ。



「よう、待たせたなゼン。あのデカブツをぶっ倒せばいいんだろ?」


「うん。遊ばずに頼むぞ」



 【霊神狼炎】の姿を一言で表すと、超イケメンワーウルフ。

 人間に赤と黒の燃えた髪に犬耳、燃えた尻尾がついたって感じかな。

 あと、トゲトゲのヘビメタブレスが首や手首、足首とかに嵌めてあるし、鎖とかも服やズボンにつけてるし本当地球にいそうな容姿。

 まあこれって俺のイメージから来るみたいだから、納得。



「ご主人様の命令じゃ、しゃーねぇーな! て事だデカブツ。まずはテメェからだ!」



 ドガァ! バキィィ! ドグゥア! ドムゥ! ドガズガァン! ドゴォォ! バキィ! バキィィ!



「あれもヴァルガント? も、物凄いスピード……見習いと言っても天使の神眼でも捉え切るのが難しいなんて……あんたのアビリティ本当に、とんでもないものなのかも……」



{クリティカルオーガA←9HIT 15760ダメージ}

  ∟{Hp35900→20140}



「ほう、やるじゃねーかデカいの。オレサマのパンチをくらってまだ立ってられるなんてよ」


「ガァ……ァ!?」


「ウガウガウガァァ!!!」



{クリティカルオーガB←【ハイパーチャージ】}

 ∟{クリティカル率→650%}



「狼炎っ!」


「わあってるよご主人様。遊ばずに……なぁ!! ちょっと早えが、オレサマの必殺技をくらいやがれえぇぇ!!!」



 【狼炎】が足蹴りで素早く2体を集めると、腰を深く落として力を溜め始めた。

 霊神技【ブレイズビートストーム】だ。

 燃える拳で猛連撃したあと、トドメに火炎大岩メテオを落とすと言うめちゃくちゃな技。


 一見、火炎属性なのかと思いきや〝霊属性〟と言うRPGでよく出てくる4属性(火、風、土、水など)にはカテゴライズされない特別属性なんだよな。


 だから火属性に耐性があっても関係なし!



「ブレェェイズ!! ビートストォォォォォム!!!」



 ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!


 ズガァァァァァァァァァァーーーーーン!!!



{【霊神狼炎】←霊神技【ブレイズビートストーム】}

{クリティカルオーガA←45HIT 190590ダメージ}

 ∟{クリティカルオーガA←戦闘不能}

{クリティカルオーガB←41HIT 189920ダメージ}

 ∟{クリティカルオーガB←戦闘不能}



 おほー♡

 いちじゅうひゃく…………19ま〜ん♡


 

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