再会
「待ちなさい! こっちよ!」
「ウガァ?」
俺、2階建ておじさんを挟んで向こう側に見覚えのある姿と聞き覚えのある声がする!?
金髪の巻き巻きツインテールに薄い羽衣、そして背中には白鳥の様に美しい翼が。
その翼で素早く飛んだと思ったら目の前にいた。
目で追えなかったぞ。
「て……天使……ちゃん」
「リラフィエル! せっかく教えてあげたのに覚えてないなんて最っっ低!」
この絶妙なツンツン加減、たまりませんなぁ♡
「オマエ、ニンゲン? ハネ……ダイコウブツ」
「悪いけど相手してる暇ないの。じゃあね〜」
手を振ったリラフィエルちゃんがクルッとこっちに振り返ってパッと俺の手を掴んで来た。
「……やーらかーい♡」
「バカ! ヘンタイ! ってか何この臭い」
「ウガァ! オデノエサ! グワゼロォォ!」
や、やばい!
あの棍棒の構えは【絶対クリティカル】か!?
くそ……まだ体が。リラフィエルちゃん、まともに戦ったらダメだ。逃げろ!
「ラループ!」
ヒュオォォォーン!
「え?」
光に包まれたと思ったら俺達は洞窟の入り口に。
まさか魔法? すげぇ……人生(前世も含む)初めての魔法を見たぞ!
すげぇぜ! リラフィエルちゃん!
◇◆◇
「う、うまぁぁ!!」
洞窟から無事に脱出した俺達は、魔物がいない辺りを見つけてそこでキャンプ。
結局食べ物も見つからなくて魔物を食べてみる事に。
なんとなんと、魔物をやっつけてここまで運んでくれただけでなく、料理までしてくれるなんて⭐︎
〝St0→100〟
おっ、スタミナが回復したー!
と言う事は空腹でスタミナが回復しなかったって事だったのか。今回はリラフィエルちゃんがいたからよかったけど、食事にも気を配らないとな。
「マジで天使だぁ♪」
「見習いだけどね」
「こんなに美味いんだったら、もっと早く食べとくんだったな」
「ごほん。 い、一応、料理得意なんだけど」
「もちろんリラフィエルちゃんの腕があっての事さぁ⭐︎ 俺1人だったら餓死してたよ……本当にありがとう!」
「べ、別に褒めてもらいたかった訳じゃないんだから!」
なにこのツンデレ見習い天使は。
あんた可愛いすぎだろうがよ。
「そのボロボロの格好はなに? なんで子供になってんのよ。魔女かなんかに呪われた? そして超絶臭いんだけど!」
「あ、、それは」
俺は転生されてからこれまでの事を話した。
「……めちゃくちゃなパラメータになったからだわきっと……ほんとごめん! いや、ごめんなさい!」
土下座して何度も謝るリラフィエルちゃん。
うん……まあ色々あったけど無事に生きてるし、さっきも助けてくれたから。
「そんな謝るなよ。気にしてないから」
「あんたのポジティブハートに感謝だわ」
「でも風呂には入りたい」
「気持ちは分かるけど、こんな所にお風呂なんてないし…………まあ、作れなくはないけど…………う〜ん、この先の事を考えると、無駄遣いしたくないんだけどなぁ」
無駄遣い?
「あんたには迷惑かけたから、断れないんだよね。お風呂ぐらいなら、まぁいっか」
「え?」
すると両手を地面に向けてブツブツ呪文みたいな言葉を口にし始めるマイエンジェル。
こんなにしてくれるなんて……さてはこの子、俺の事好きだな⭐︎
そうだよ、俺のピンチに現れてご飯まで作ってくれたんだもんな。おまけにお風呂も用意してくれるみたいだし⭐︎
は!? そ、そうか! お風呂を用意してくれるのって……。
もしかしたらワンチャンあるかぁ♪
え、ここで? ここでかぁ……ここでリラフィエルちゃんと……も〜ワイルドなんだから♡ でゅふ♡ でゅふふふふ♡
「なんか良からぬ事を考えてるわね……あんた」
「へぁ!? 心を読まれた……」
「よ、読む訳ないでしょ! 【読心】使ってなくてもそのスケベな表情で分かるのよ!」
こうして俺はメルティシアに転生して初めてまともな飯と風呂に入り、ピカピカのキレイキレイに♪
風呂と言っても俺が想像してたものじゃなくて、大きな水球の中を服を着たまま通り抜ける感じで一瞬で服ごと綺麗になるし、濡れたのに外に出ると一瞬で乾くんだよ。不思議だけど汚れは落ちてるし、ん〜良い匂い♪
「あんたに、話しておきたい事があるんだけど」
火を焚べて焚き火を作りながら、唐突に切り出して来た。
急にそんな真剣な顔してどうしたの?
「5日後にこの世界に天使達がやって来る。人間を滅ぼす為に」
「は? 人間を滅ぼす? 天使が?」
「うん……」