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天使と人間

ーリラフィエル視点ー


 あたしは見習い天使のリラフィエル。死んだ魂の導き手として天界へのいざないと転生が主な仕事。

 見習いとして天界ここで働いてから今までミスは無かったのに……なのに……。


 彼の転生をミスってしまった。だからあたしはこの責任を取る為にメルティシアに行く事を決めたの。

 彼の人生を見届けて必要ならサポートして今度こそちゃんと寿命を全うしてもらわないとね。


 天使は掟で下界に降りる事は固く禁じられてるから、転生するしか方法はないんだけど……早く追いかけなきゃ、あいつまた死んじゃう!


 時間がなくて焦っちゃって、めちゃくちゃなパラメータ設定しちゃったし、地球以上に悲惨な人生を歩んでしまう。

 

 だけど、絶望的な徳だったあいつにも問題はある。

 そうよ、たったの2点で何与えればいいのよ!

 2点よ2点! その辺の猫でも5は稼ぐのに!



「あ〜ん違う違う! 間違ったのはあたしなんだから」



 うん? 階位天使様達が上層から次々と降りて来てるんだけど、一体何事?

 あれ? 階位第6位のノエル様? あれあれ? 11位のアスティエル様……?


 あ、あわわわ嘘でしょ!? 階位第1位のユルアシエル様まで!? こんな最下層に降りてくるなんて異常事態まちがいなしじゃない!?

 


「天界全階層に住む天使達よ、私の声が届いているか。私は階位第1位の天使、ユルアシエルだ。天使達よ時は満ちた」



 12枚の純白な翼が本当に美しい……うっとりしちゃう。

 階位天使様なんて実際に初めて見たけど皆さん美し過ぎる……。



「我がアテリス神族の宿敵、ラアダルーア神族との長き闘いについに終止符を打つ時が来たのだ」



 あたし達天使はアテリス神を信仰するアテリス神族。

 背中に白い翼を持つのが特徴的で、全12次元の世界を管理する者。

 彼が転生したメルティシアもこの中に含まれてるんだよね。


 敵対してるラアダルーア神族は少数精鋭で数は少ないけどとんでもなく強い力を秘めていて悪魔や魔族、魔王を生み出したと言う伝説がある。何千、何億年と闘いが続いてるの。


 あたしみたいな見習いは、ただの雑用しかやらせてもらえないからこう言う戦争の歴史に触れる機会がなくてさ。絶賛勉強中です。



「各次元の世界の輪廻システムの精度を最高レベルまで引き上げ、速やかなる〝アーディル〟の収穫を心がけよ」



 サッとみんな姿勢を正す。

 ワンテンポ遅れてあたしも周りに合わせる。こんなの初めてで緊張する……。


 ユルアシエル様の合図と共に、天使達が各次元の世界に向かって降りて行く。

 いやちょっと待って! 天使は下界に降りるのは禁じられてるはずなのに……階位天使様を先頭にどんどん下界に降りてってるんだけど。


 やっぱり緊急事態なんだ……でもあたしは一切知らされてないのはどうして? 見習いだから?



「おい! 何してるんだよ! 早くお前も階位天使様達に続けよ!」


「あ! 天使の輪がない! と言う事は見習いよね? 何なの? 緊急事態?」


「家畜狩りに決まってんだろ! 今から人間界に行ってアーディルを収穫しに行くんだよ。何も聞いてないのかよお前」



 ちょっと待って、アーディルの存在は知ってる。

 物凄く強いエネルギーを秘めてる塊でとても貴重なもの。あたし達天使の力の源。


 家畜狩り? アーディルの収穫?

 嫌な予感がする……まさか家畜って……。



「おい! ぼーっとすんな! 割り当てられた次元は? 誰の支配下の見習いなんだよお前」


「ねぇ! 家畜ってまさか人間の事!? 人間を滅ぼすつもりなの!?」


「お前……何言ってるんだよ」



 そうだよね。

 あたし達天使は、古の遥か昔から人間の魂が豊かになるようにサポートする役割を持って生まれて来た存在。赤ん坊を育てるお母さんみたいなものだもん。

 お母さんは愛情を持って育てた子を苦しめるような事は絶対にしない。


 そっかそっか、あたしの勘違いなら全然いいんだ。

 そうそう、あたしの割り当てられた次元はメルティシア。だからあいつの転生先を選ぶ時にページの1番上にピックアップされてたんだよね。



「こんな時に当たり前の事を聞くなよ」



 深い溜め息を吐く。



「人間はアーディルを生み出す為のただの家畜だ。俺達天使は人間を飼育してるんだろうが」


「飼育って……。そ、それじゃあまるで……」



 彼の話はまだ続くんだけど、ちょっと整理させて。

 あたしは見習いに就いた時に人間について学んだ。

 その時に学んだ事と、彼が今話してる事は全く違ってるんだけど。



「俺達が効率的にアーディルを収穫する為には、人間を洗脳し俺達アテリス神族を〝正義〟の象徴として植え付ける必要があった。奴らもアーディルを狙ってるからな」



 それで、ラアダルーア神族を〝悪〟の象徴としてずっと人間を洗脳して来たんだ。

 心を豊かにして徳を積めば人生を終えた後幸せになれるって今までいくつもの魂に伝えて来たけどそれも嘘だったなんて。


 輪廻システムを使って魂を世界に閉じ込めて、何度も何度も生まれ変わらせてアーディルを奪って……いいように利用して人間を騙してたのね。

 そこには何の愛情もない。より高密度な、より純度の高いアーディルに育てる為の……ただの家畜。


 こんなの正義じゃない。

 あたしが夢見ていた天使じゃない。


 彼はモニターを宙に出してあたしの担当する次元を調べ出した。



「なんだよ、俺と同じメルティシアじゃないか」


「貴方も?」


「リューエルだ。同じラヴィエル様の支配下の見習いだよ。しかも俺より先輩だよお前」



 先輩って分かっててお前呼ばわり。

 なんなのよあんた。



「やべ……早く合流しないと!」


「あ! ちょっと! 待ちなさいよ!」



 あたしも行かなきゃ! みんな転生せずにそのまま行っちゃったし、掟を気にして転生なんかしたらあいつを守れない! あたしもこのまま行こう!


 と言う事で、とてつもない事実を知ってしまったあたしこと見習い天使のリラフィエルは、このままメルティシアへと降りて行く事にした。



 あたしのミスが偶然に重なり、神をも恐れる〝神喰〟を目覚めさせ、そして天界全ての運命をひっくり返す事になる事を、この時のあたしは、まだ知らなかった。



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