天使襲来まであと2日
リラが話してた天使と人間の真実。
天界が中心にあって、そこから12個の世界に繋がってるんだ。
前世でいた〝地球〟も、そして転生後の世界メルティシアも12の世界の1つだった。
天使はこれらの世界の全ての人間に、〝神や天使は正義の象徴〟〝人間を導く偉大なる存在〟として何億年も洗脳し続けて来たんだ。
その目的は〝アーディルを育て、回収する為〟。
天使の力の源でもあり、天界を豊かにする為の資源でもある天使にとってめちゃくちゃ貴重なエネルギー。
そう、俺達人間はアーディルを育てる為の文字通り家畜として、12の世界に閉じ込められた存在なんだ。
そんな天使達が5日後に下界に降りて来るらしい。
人間を滅ぼす為に。
天使達は〝アテリス神族〟と言う種族で、敵対している〝ラアダルーア神族〟と長年戦争を続けているらしいんだが、それに大量のアーディルが必要なんだそうで、簡単に言えば人間の寿命を待つのが我慢出来なくて、もう人間滅ぼしてさっさとアーディル回収すればいいじゃん。
そんでまた生まれ変わらせればいいじゃん。
「って、事らしい」
魔物の肉を頬張りながらロリ妖精ちゃんに説明する。
それにしてもリラのやつ、たった1日でまた料理の腕を上げたな。
料理得意とか言ってたもんな。このソースどうやって作ってるんだろ。照り焼きソースみたいな味なのよ。
「ほえぇ……」
「まあ、ザックリと言うとそんな感じね」
「そう言えば、フェアリーは人間の括りなのか? 一応人間界に住む人だろ?」
「お〜⭐︎ レエナは人間だったのですか」
「厳密に言うと〝人間〟って言うのは物質界に肉体を持って生まれた知恵ある者の事。だからフェアリーも種族は別だけど人間よ」
「レエナも、ゼンたんと同じ人間……⭐︎」
キラキラした眼差しでそのキラキラ光線を飛ばしてきてるんだが……。
「な、なんだよ」
「レエナ、召喚される前にいた世界では忌み嫌われ、時には怖がられていましたので、一緒って言われると胸がポカポカするのですぅ」
「え、忌み嫌われ? なんで?」
「レエナ、感情が昂ってしまうととてつもない魔導力を発揮してしまうのです…………それで、前にいた世界では大陸を2つ程、消し飛ばしてしまったのですぅ……」
ピコ。
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ステータス
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レエナ=レルア
Lv231
Hp7460
Mp∞
St100
攻撃力500
防御力500
魔力2億8931万
(※最大Lv封印結界解除時)
精神力300
行動力5000
ーーーアビリティーーーー
スペルマスター
ーーーアクティブーーーー
火炎属性魔術
氷結属性魔術
疾風属性魔術
大地属性魔術
稲妻属性魔術
水流属性魔術
ーーーパッシブーーーーー
⚫︎封印結界
⚫︎感情リミットブレイク
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うん、、まあ…………2億だもんな。
感情の昂りで……なるほど! そう言う事か!
普段は封印結界ってパッシブで魔力が抑えられてて、レエナの感情の昂りで、つまり感情リミットブレイクってやつで封印が解除されていく仕組みなんだわ。
だから2億8931万って言うアホみたいな数値の魔力を発揮する為には、レエナの感情がトリガーになってる訳ね。
と言う事は、あんまり怒らせない方がいいな……。
大陸が消し飛ぶ…………。
「それで、天使様達が人間を滅ぼしに来られるまで、あと5日と言う事なのですか?」
「そうね、あたしが時間操作魔法を使ってこの世界に来て今日で3日経ったから、あと2日後にはやって来ると思う」
あと2日か。
あれから魔島の半分ぐらいは探索が済んだと思うけど、生き残りは見つからなかった。
そうそう、3人パーティになって探索してた時からずっと疑問に思ってた事があって。
「なあ、メルティシアって瘴気に覆われてる世界だってレエナが言ってただろ? 瘴気ってなんなんだ?」
「魔素と言う生命エネルギーを吸い取る霧よ。あたしが〝過酷な世界〟って言ったのは瘴気の事もあったの。濃い瘴気の近くにはレベルの高い魔物が棲みついてる事が多いわね」
「ん? でも魔島は世界で1番凶悪な魔物が住む場所なのに、何で瘴気がないんだ?」
そう言うと暫く考え込むリラは、「勝手な憶測だけど」って言いながらまた話し始めた。
「この世界には〝聖女〟と呼ばれる天使のスキルを使う人間がいて、きっと何らかの理由でゼンのように追放されてここに辿り着いた聖女達が、瘴気を退けたんだと思う」
「流石リラたんなのです! その通りなのです!」
「天使のスキルを使える人間がいるのか!?」
「レエナのいた世界にも、聖女たんいたのです。そしてレエナの世界の聖女たんも瘴気を浄化するのです」
「そっか。ここに瘴気がないのは聖女のおかげかも知れないのか」
「〝かも〟じゃなくて100%そうなのです。それと聖女たんがいないと、島から脱出が出来ないのです」
「とりあえず、このまま島の探索を続けましょう。もしかしたら1人ぐらいは生き残りが……」
リラが突然話も途中で切り上げたんだ。
俺やレエナも同時にある方角に目を向ける。
何か今一瞬光ったんだよ、ピカって。
「あっちは確か……俺が倒れてた海辺の方角だ」
「生残者かもしれない!」
「はわわ! また光ったのです!」
「行ってみよう!」
俺達は急いで海辺の方角に向かった。
と言うのも、リラが言うにはあの光は〝マナの光〟なんだとか。
魔物との戦闘中に何らかの魔法を使った時のマナの光なのかも知れないらしい。
ただ向かってる間に光ったのはさっきの2回だけだったんだよな。
行ってみようって言ったはいいものの、ここから1時間ぐらいかかるからその間に魔物にやられてしまったら……。
「いやいや、ポジティブに考えよう!」
俺はブンブンと首を振りながら走る。
「レエナ、飛翔光翼使えるのです!」
「超絶助かるわ! 翼を使ってあたしだけでも先にって思ってたけど、正直今は少しでもアーディルを節約したいの。レエナ、お願いしてもいい?」
「ハイなのです!」
「ぜふふぇ……? なんだそれ?」
「レエナ、唱えるのです! 飛翔光翼!」
シュイン! シュイン! シュイン!
お、この如何にも増強ったようなサウンドは!?
{レエナ←魔術【飛翔光翼】}
∟{レエナ←飛行状態付与 行動力200%UP}
∟{ゼン←飛行状態付与 行動力200%UP}
∟{リラ←飛行状態付与 行動力200%UP}
なんとぉぉぉ!!
俺の背中に翼が生えたではないかぁぁ!?
「すげぇ!! 空飛んでるじゃないですかぁ!! うっひょ〜♪ 思いのままに飛べるぜぇぇ!! いぃぃぃやっほぉぉぉい☆」
「うるさい……そしてどこ行くのよあんたは! 海辺はあっちでしょう! バカ! ヘンタイ!」
「これならすぐなのです!」
「よっしゃ! そんじゃお前ら! この俺について来い☆」
「ハイなのですぅ!」
「ったくもう……調子いいんだから」