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チョコレートプシコ#1

予備校の廊下。


何故だろう

いつからだろう

俺には全ての景色が灰色と茶色に見える。


一足先に志望校受かった奴らが

胴上げなんかして。

悔しい。けど…

楽しそう。

全力で浮き足立ってる歓喜の様は

ドブ色のフィルター越しでも一目瞭然。


浮かれやがって。


「本命!本命!本命ゲット!」


待って、違…

田中の志望校、俺と同じ…明日……

今日………そっか、バレンタインだ。


まじか


今だけは、あの馬糞みたいなツラした

ガリ勉クソ野郎が輝いて見える。

あくまでも馬糞でドブ色、だけど光っている。


結局、女子は

健康的で真面目な奴を選ぶもんなのか?

顔で選ぶのは高2までか?

モテない奴に限ってモテ自慢したがるのは何故だ?

アイツの家には鏡が一枚も無いのか?

俺が女子なら100均の手鏡100個くれてやる。


「夏哉くーん」


…来た来た女子来た誰誰誰誰

振り返らない振り返らない

余裕綽々男子気取る気取れ俺…


「第一志望、明日ですよね?」


「…………」


「よね?、…ねえ!?」


何コイツ…初めて声聴いたんだけど。今までずっと男だと思っていた。正確にはオバサンみたいなオジサンかと。髪型…ピース又吉じゃねーかよ。

アレ、アレ誰だっけ?みうら!三浦翔平じゃないほうの三浦……おっ!!みうらじゅん!!!しかも制服?初めて見たし。いつも変な黒タートル着てて東京上野クリニックのCMみたいだったよな。

制服って……

え、じゃあ浪人生じゃないのか…という事は俺の1コ下?ガチ??現役???嘘だろ!?

老け(メン)にも程がある。職業:老けメン 感、やば。


喋りたくない喋りたくない喋ったら、し…し…ん


「聞こえませぬかっ?」


「はい」…しんだ。


俺しんだ。

条件反射

喋っちゃった。しんだ。



「田中くんから聞きまして。私も受けるから、三人で共に行きませんか?というご提案です」


老けメン と 馬糞 … と、一浪の俺?

何その掃き溜め感??

フレッシュさ皆無。

果汁0%!負のオーラ100%!!()えねー!!!



ただでさえ背水の陣の俺は

お友達ごっこしてる場合じゃない。




俺の友達は、チョコレートだけ。

毎日チョコ食ってる。愛してる!の域。

友達だなんて烏滸がましいや。

チョコは女神様かつ俺の精神安定剤

といったところだな。


あい あむ「チョコレートプシコ」


この一年間、予備校の奴らと極力話さない遊ばないを貫いた結果、付けられたニックネーム。

チョコばっか食ってるから、という安易なあだ名、

愛称…という事にしておこう。




「いや彼女ん家に泊まるんで。俺は直接行きます」


「わお!さすがイケメン夏哉くん、大人ですなーっ。あーなんかいいですねーそういうの。うらやまー」


「別に。つーか下の名前呼び、やめてくれます?」


わお、ってなんだ?

コイツ帰国子女か?

つか喋り方きしょ!武士かよ。いや落ち武者か。


「まるで異次元夢物語なのだ!リア充って憧れるぅぅぅ!くぅぅぅぅっ!」


そうだ、夢だ。妄想だ。妄想族だ。

最近、即答で嘘を吐けてしまう自分が

少し怖くなってきた。

彼女なんか居ない。

っていうかさ、名前のクダリ完全無視かよ。


「あ、田中くんもリア充か~。さっきチョコ貰ってたし。ほら、きゃんきゃむモデルみたいな美人さん!…果て?お名前なんでしたっけかな」


一緒にすな。なんで馬糞のことは名字で呼ぶ?

キャンキャムってなんだよ、CanCamだろ!男でも

キャンキャンぐらい知ってるぞ。帰国子女疑惑抹消。

っていうかコイツやたら喋くり倒すなぁ…黙れ…

や、黙るな「今なんつった?」


「チョコ貰って…」

「だから、誰に!?」

「えっと、名前が出て来な……」

「まさか美冬?」

「そう、美冬ちゃん!」




………終わった………


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