家のプール
家のプールは俺の曾爺さんが若い頃身体を鍛える為に、屋敷の裏山を流れる清流から水を引いて30✕15メートルのプールを造ったのが始まり。
曾爺さんが亡くなったあと屋敷の主になった爺さんは、プールを少し改造する。
プールの側面をガラス張りにして、泳いでいる人たちを見る事ができるようにした。
そして都会からアイドルやモデルの卵の可愛い女の子たちを呼び、素っ裸でプールで遊ばせて自分はガラス張りの側面から女の子たちを眺めていたと聞く。
その頃家の広大な土地の1角から温泉が見つかったんで温泉プールにして、夏だけで無く冬も若い女の子たちの裸を楽しんでいたらしい。
爺さんが婆ちゃんとお袋に高級老人ホームに無理矢理押し込められた後、プールは父にまた少し改造される。
婿の父は爺さんと同じ事をしようとしたら家からお袋に叩き出されると分かっていたから、温泉のお湯を膝よりチョット上くらいまでプールに入れて露天風呂として活用していた。
若い女の子は呼べなかったけど、会社の社員やお得意様たちと源泉掛け流しの温泉を楽しむ。
その後、父はお袋と共に暖かい東南アジアの国に移住。
屋敷とプールは俺に譲られた。
俺はプールをプールや露天風呂としては使わず水槽として活用している。
プールの中を熱帯の川のようにレイアウトして熱帯魚を飼っているのだ。
水の中を泳ぐ熱帯魚をガラス張りの側面から楽しむって趣向。
ただ1つ悩みがある。
此れは父の時もあったんだけど、バブルの前後から建ち始めた新興住宅街の住民が、プールだと思ってなのか人気の無い夜などに勝手に元プールに入りに来た。
父の時は、知らずに真っ暗な露天風呂に飛び込んで頭をかち割って死にかけた馬鹿が何人も出たという。
そんな事を思い出していたら、「ギヤァァァー!」水槽の方から悲鳴が響いて来た。
あ! そう言えば、最近水槽の中の熱帯魚に餌をやるのを忘れてたな。
まぁ良いか、今悲鳴をあげた奴が餌になってくれただろうから。
俺が水槽で飼っている熱帯魚はピラニアなんだよね、ハハハハ。