王宮へ
「そうか……ではルークは今王宮に向かっているのだろうな。レナ、ルークの呪いを解いてくれてありがとう」
「いえ、私は自分がしたいようにしただけですから。それより今はフレディさんの呪いを解いてルークを追いかけないといけませんね」
「そのことなんだが……俺の呪いは解かずこのままにしておいたほうがいいと思っているんだ」
「どうしてですか?」
意外な申し出にレナが首を傾げるとフレディは険しい顔になる。
「不甲斐ない話だが、私の体は今、魔族に操られているんだ」
「え? では今の子虎の姿は?」
「今私は体と精神が分かれている状態なんだ。私が抵抗し、体を思い通りに動かせないとわかると、魔族たちは体と精神を分ける魔法かけ、精神を人形に閉じ込める呪いをかけたんだ」
「そんな……それではフレディさんの体は魔族に操られているってことですか?」
「そういうことだ。なんとか奴らから逃げ出したが、もし今呪いが解け、この人形の体から精神が離れられたとしても自分の体に戻れるかわからない。それならば魔族を倒し自分の体を取り返した後の方が確実だと思うんだ」
確かに体と距離が離れた状態で、しかも魔族がフレディの体に何かしている可能性も考えると今人形の体から精神を切り離すのは危険だ。
「わかりました。それでは体を取り戻したあと、呪いを解きましょう」
「すまない。感謝する」
フレディは頭を下げると、早速だがと切り出した。
「私たちもルークのいる王宮に向かおう」
「そうですね。フレディさん、失礼しますね」
レナはそういうとフレディを抱き上げた。
「う、うわっ! な、何を……」
「フレディさん足を怪我をされてますよね? 窮屈かと思いますが、私が抱えて歩いた方が早いと思うんです」
「う……確かに先ほど魔物に足をやられたんだ。ではすまないがお願いできるか? 王宮への道は私が案内する」
「はい、よろしくお願いします!」
元気よく返事を返して、レナは先ほどのフレディの言葉を思い出し顔をさっと青くした。
「あの……そういえば先ほど魔物にやられたと言われてましたがこの辺って魔物が出るんですか?」
「魔族が獣王国にやって来てからはこの辺も出るようになってしまった……ここまで来れたということはレナも魔物を倒しながら歩いてきたのだろう?」
レナははダラダラと汗をかきながらブンブンと顔を横に振る。
「ち、違います! 私は倒すことはできません……まさか魔物が出るなんて……フレディさん、もし魔物に遭遇したらどうしましょう……」
「まさか……レナは戦えないのに獣王国に乗り込んできたのか?」
フレディのありえないという表情にレナはうっと言葉に詰まる。
「魔物がそんなに出るなんて知らなかったんです……光属性の魔法が少しでも役にたればと思う一心で……」
フレディは呆れたように息を吐くと、仕方がないというようにレナの手をポンポンと軽く叩いた。
「無鉄砲すぎるぞと言いたいところだが仕方ないな。とりあえずできるだけ慎重に行動しよう。私は虎の獣人だから気配の察知には自信がある。私の指示に従ってくれ」
「す、すみません……」
「ルーク様、ギャビン様、ここは私たちに任せてください!」
「しかし、こいつらの相手をお前たちだけに任せるのは……」
「ルーク様、私たちはそんなやわではありませんよ! 獣王国騎士団は実力主義なのですから!」
「そうです! 我々をもっと頼ってください!」
ルークたちと共に獣王国に入った騎士たちは頼もしい笑みを浮かべながらルークとギャビンに先に進むように促す。
「う……」
「ルーク様? 大丈夫ですか? まさかまだ呪いが影響しているのですか?」
ギャビンが駆け寄るとルークはギャビンを押し戻す。
「大丈夫だ」
「……ルーク様、ここは彼らに任せましょう」
「だが……」
「少しでも体力を温存し、魔族の頭を倒すのが一番でしょう。こんなところで倒れては意味がない。レナさんと約束したのでしょう? 礼をしに戻ると」
ルークはおし黙ると小さく頷いた。
「わかった……お前たち、すまないがここを任せた!」
ルークの声に騎士たちが大きな雄叫びで答える。
「ルーク様とギャビン様に道を開けるぞ!!」
「「「おーーー」」」
至る所から上がる頼もしい声にルークとギャビンは王宮の奥に向かって走り出した。




